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「大手の事務所は “スターの人権は重要だ”といいながら…」“成功したオタク”と呼ばれたドキュメンタリー監督がKPOP産業の問題を指摘

  • 2024.4.11
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「大手の事務所は “スターの人権は重要だ”といいながら…」“成功したオタク”と呼ばれたドキュメンタリー監督がKPOP産業の問題を指摘
『成功したオタク』

推しがある日突然犯罪者に? オ・セヨン監督「本当に辛いことでした」

もしも大好きな「推し」が犯罪者になってしまったら、ファンとしてどう行動すればいいのか? 韓国芸能界を震撼させた性加害事件をきっかけに制作されたドキュメンタリー映画『成功したオタク』。本作の公開を記念してオ・セヨン監督が来日、3月30日の公開初日に渋谷イメージ・フォーラムにて舞台挨拶とQ&Aを開催した。

本作は、あるK-POPスターの熱狂的ファンで、「推し」に認知されテレビ共演も果たし「成功したオタク」と呼ばれたオ・セヨン監督が、推しの性加害による逮捕をきっかけに同じような経験をした友人たちの話を聞きに行き、真の「成功したオタク」とは何なのかを問うた作品。釜山国際映画祭ドキュメンタリー・コンペティション部門出品、韓国のアカデミー賞と称される大鐘賞映画祭最優秀ドキュメンタリー部門ノミネート、そして2022年に韓国国内で公開され大きな話題を呼んだ。

イベント当日、オ・セヨン監督は満席の会場を嬉しそうに見つめ、「初めまして、私は『成功したオタク』の監督、オ・セヨンです」と日本語で挨拶。公開前に行われたインタビューで「韓国での上映時には『私は〇〇のファンで』と誰かが言うと、他の観客も『あ~』ってリアクションをして、みんなで慰め合う雰囲気になりました。なぜか私は“推し活博士”のようになって(笑)、たくさんの悩み相談を受けました」と話していた通り、推し活にまつわる悩みも交えながら、終始和やかな雰囲気でイベントは進行した。

同じような経験をした観客から、監督はどのようにケジメをつけたのか問われると、「映画をつくる過程で事件と向き合い自分と向き合うことは、本当に辛いことでした。ですが、友人たちと話をすることは私にとってとても重要なことで、この映画をつくったことで気持ちの整理ができたように思います」と返答。

また、心の整理をするために、長年かけて集めたグッズを処分しようとするも、途中で楽しかった思い出について語り出し戸惑う様に思わず笑い泣きしてしまう「グッズのお葬式」シーンを受け、「グッズは捨てられたのか」と質問が飛ぶと、「残念ながら…捨てられていません(笑)」と監督。「まだ好きだからということではなく、映画監督として映画に使った小道具はきちんと保存し、いつか私が巨匠になった時にアーカイブ展を開催したいと思います」と笑いを誘った。

その後、何枚もCDを買ってイベントに参加するようなアイドルビジネスについて質問が及ぶと、「映画の中では取り上げられませんでしたが、KPOP産業は過剰な状況にあると思います。ファンたちの意識も重要ですが、それ以上に産業の構造そのものが問題なのだと思います。大手の事務所などでは “スターの人権は重要だ”といいながら、スターのプライベートを見せて親近感を与えようとします。そういった問題を解消するためにはシステムそのものを変えること、エンタメ産業にいる人たちの意識を変えることだと思います」とコメント。

さらに「近年、韓国ではアイドルを労働者と見た場合、サービス業なのかアーティストなのかの論争が巻き起こりました。彼らは音楽や演技などの表現活動をしながらもサービス業に従事するものとしての役割を求められます。どのようにこの状況を変えていけばよいのか悩ましいですが、韓国のファンダム文化ではこうした状況に対して“変化をもたらさなければいけない”という意識が生まれつつあります」と問題点を述べた。

重いテーマながらも不思議と明るく、思わず笑ってしまうようなシーンも多い本作。観客から「見た人の経験によって感じ方が変わる映画だと思いました。私はずっと泣きそうになりながら見たのですが、笑えるシーンもたくさんありました。そういった笑えるシーンは意図的に入れたのですか?」との質問が出ると、監督は「この映画にはつらくて悲しい内容が多く含まれます。でも、泣いている私たちの姿を見せるのは違うと思ったんです。あの人たちのために涙を見せたくなかった。誰しも心に何らかの悲しみを抱いていると思うのですが、これからの人生において、そのことが大きな制約にならないことを願っています」と返答。「みなさまにはどうかこの映画を見て、たくさん笑って泣いて、おしゃべりをして気持ちを癒して、家に帰ってもいろんなことを考えてほしいと思います」と締め括った。

『成功したオタク』は現在公開中。

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