持続可能な未来のために、高校生が社会問題の解決に向けたアイデアを発表する「SDGsQUESTみらい甲子園」。
今回紹介するのは、レモンの木でタイの子どもたちを貧困から救おうと動き出した、函館ラ・サール高校の取り組みです。
函館市の高校生がタイの学校と英語でやり取りしています。
高校生たちが作った今回のアイデアは、2023年に行ったボランティア活動がきっかけでした。
新千歳空港からタイへと向かう13人の高校生。
高校生たちは函館ラ・サール、函館の遺愛女子、旭川藤星の混合チームで、7月25日から8月4日までの11日間、タイでボランティア活動をしました。
場所はタイのサンクラブリー。
ミャンマーと国境を接するマチです。
高校生たちは、貧困のため親が育児放棄するなど、国籍のない子どもたちが通う学校を訪問。
支援物資を届け、交流をしました。
接するほど感じたのは「無国籍何て忘れてしまうほど、自分たちと同じ、『普通』の子どもなのに」という思い。
みらい甲子園に応募した函館ラ・サール高校の岩本勝太郎さんと横井謙一さんは、このボランティア活動の中からあるアイデアを練りました。
それは「レモンの木」です。
発信することで動くプロジェクト
タイではレモンの木を100本植えてきました。
2人が計画したのは、収穫したレモンをジャムにすること。
そして、タイより物価の高い日本で販売し、売り上げをタイの子どもたちに渡せば、息の長い支援につながると考えました。
タイでは、レモン3つが約20円で販売されています。
一方、日本で販売すれば値段は30倍。
ジャムに加工することで、より多くのお金を支援に回せるのもメリットです。
函館ラ・サール高校2年の横井謙一さんは「一過性のものじゃなくて、これから成長していくものを植えられたので、これからの期待も込めて、タイのレモンに焦点を絞った」と話します。
あれから7か月あまり…。
レモンの木は今、どうなっているのか、タイの現地とオンラインでつなぎました。
乾季のあるタイ。
100本あるレモンの木のうち、26本が枯れてしまっていました。
一方で進展も…。
現地では新たに散水するための設備が整えられていたのです。
函館ラ・サール高校の岩本勝太郎さんは、発信することの必要性を感じたといいます。
「発信しないと動かない。別に賞を取るとか、テレビに出るとか思っていなかったんですけど、何かしらアクションを起こしたほうがいいと思った」
横井謙一さんはここまでの経験で、タイの貧困の子どもたちの厳しい現実を目の当たりにしたといいます。
「15歳とか自分よりも幼い年齢で学校出て、国内じゃなくて海外に働きに行ったり…。助けなしで自分たち1人の力で行かされるというのは非常に厳しい。そういう意味でもより一層、今回のプロジェクトで何か手助けできれば」
“発信や行動をしなくては何も変わらない”
SDGsの基本理念、「誰一人置き去りにしない」に挑む高校生たち。
「SDGsQUESTみらい甲子園」で、今回のプロジェクトは秋山記念生命科学振興財団賞に輝きました。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年3月19日)の情報に基づき、一部情報を更新しています。