持続可能な未来のために、高校生が社会問題の解決に向けたアイデアを発表する「SDGsQUESTみらい甲子園」。
私たちが着ている服が捨てられるなどして、環境問題を引き起こしています。
札幌藻岩高校の生徒は、着なくなった着物をリメイクしてもう1度命を吹き込みました。
札幌藻岩高校2年の池内萌さん(17)が「着られるものもまだあったのでもったいない」とつぶやきます。
この服は、全て家庭で着られなくなったとして捨てられる予定のものです。
環境省によりますと、可燃や不燃ごみに出される衣服の量は47万トン。
1日平均で、1200トンの衣服が廃棄されている計算になります。
このうち再資源化されているのはわずか5%。
残りの95%は焼却や埋め立てで処分されています。
廃棄される衣服をリメイクして新しい服を作れないか?
挑戦したのは、札幌藻岩高校の生徒3人です。
札幌藻岩高校2年の池内萌さん(17)は「廃棄される前の服からこんなすごいものができるんだって。リサイクルする事例、用途の一つの例として発信できる」と考えたといいます。
3人は、授業をきっかけに「服飾」、「環境」、「多様性」の3つをかけ合わせたテーマを設定。
捨てられる予定の衣服の中でも、着物に目を付けました。
「誰でも着られる」外国人からも反響
札幌藻岩高校2年の池内萌さん(17)は「着物はもともとリメイクされる前提で作られているので、形を変えて何年も、伝統が現代まで受け継がれていく」と話します。
和風の着物と洋風のドレスを融合させた「着物ドレス」を作ることで、環境問題を日本人だけでなく外国人にも訴えられるのではと考えました。
しかし、服作りの知識が無かった3人。
ある人に連絡を取りました。
「車椅子に乗りながら着られる着物」を制作したデザイナーの石岡美久さんです。
「本当に高校生かなって思うぐらいしっかりしているな」と3人の最初の印象を語ります。
「ユニバーサルな世界を目指す」という目標とテーマをもつ石岡さん。
着物ドレスはのアイデアは、そんな石岡さんの世界観と「リンクしている」と感じたそうです。
着物の上下を分けて、下は巻きスカート、上は法被のような形にすれば、着回しもできて、洋服としても和服としても楽しめるのではと考えました。
制作期間は、およそ2週間。
石岡さんからのアイデアをもとに3人で改良し「着物ドレス」を完成させました。
下のドレスは、ウエスト幅や丈が変えられるようにマジックテープがついています。
上着の部分だけだと、柄が素敵なはっぴとして着られます。
ポイントは誰でも簡単に着られること。
身長160センチほどの女性が着るサイズに合わせつつ、身長の高い外国人でも着られるようにしています。
完成後、大通公園で開かれたイベントでは英語のポスターを作り、外国人観光客にも着物ドレスをアピールしました。
そこでは、予想を超える反応があったと言います。
アンケートはさまざまな国の人が書いてくれました。
札幌藻岩高校2年の池内楓さん(17)は「簡単に着物を着れるっていうのは私達が工夫した点でもあるから、伝わったのが良かった」と話しました。
着なくなった衣服にもう1度命を吹き込む。
3人は、次の活動に向けて既に動き始めています。
池内さんが感じたのは、「よりよい世界にするには、もっとたくさんの人に知ってもらう必要がある」ということ。
服の回収ボックスをスーパーに置いてもらい、回収した衣服を使って新たなドレスを作るほか、インスタグラムで「着物ドレス」や環境問題の発信を続けたいと話しています。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年3月20日)の情報に基づきます。