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【体重計の数字は信じるな!】ダイエットに失敗する原因は?「正しい痩せ方」をボディのプロが解説!

  • 2024.4.3
教えてくれたのは……

日本体育大学 教授/現役ボディビルダー

岡田隆さん

長年、柔道日本代表チーム、日本オリンピック委員会強化スタッフとしてオリンピックのメダル獲得に貢献する一方で、自身もボディビルダーとして数々の大会で入賞を果たす。また、骨格筋評論家「バズーカ岡田」の名で、さまざまなメディアで情報を発信中。著書に『最高の除脂肪食』(ポプラ社)ほか多数、YouTubeチャンネル「新・バズーカ岡田チャンネル」なども人気。

なぜ、いつもダイエットに失敗してしまうの? その原因を聞いてみた!

理由1:「我慢すること」を前提にダイエットするから

岡田隆さん

どんなダイエットも続けられなければ意味がありません。糖質をガッツリ減らすような極端な食事法だと満足感が得られず、自分に無理を強いることになります。すると、結局短期間しか続けられず、痩せても体重は逆戻り。
続けられるダイエットとは、極端なことをしない方法をベースに、自分の生活にフィットするようアレンジして習慣化することがいちばん。例えば炭水化物を全く摂らないのではなく、量を少しずつ減らすなど、「これなら続けられる」という方法を用意しましょう。そしてそれを毎日の生活に組み入れれば、ダイエットをしているのが当たり前の状態になり、結果的に痩せることができます。


理由2:「短期間で痩せること」を目標にしてしまうから

岡田隆さん

これまで1週間や1ヵ月など、短期間で急激に痩せようとしていなかったでしょうか? そのせっかちな目標設定がダイエット失敗の大きな原因。車で考えてみましょう。2時間かかるところを1時間で到着しようとすると絶対事故になりますよね。多くの人はSNSで大量痩せしている人の情報に惑わされて、自分が無理な目標設定をしていることに気づかないのです。
健康的に痩せるために落としていい体重の目安は1ヵ月で体重の5%程度が上限。それを上回る減量はリバウンドをしやすいですし、体にも悪影響を及ぼします。例えば50kgの女性なら1ヵ月で2.5kgまでの減量が目安。1週間にすれば500g強の減量です。それを念頭におき、目標体重までの期間を逆算しましょう。しかしこれはあくまでも上限です。ちなみに体重が80kg程度ある私は月2kgを目安にしています。5%は私には苦しいですから、無理はしていません。


理由3:野菜中心の食生活なら痩せると思い込んでしまうから

岡田隆さん

ビタミンやミネラルが豊富な野菜はヘルシーなイメージがあります。でも野菜中心の食生活だと、体をつくる最も大切な栄養素・タンパク質が不足しがちに。また、ドレッシングをかけすぎれば脂質過多になり、太る原因にもなります。野菜ばかりを食べるのではなく、肉、魚、卵、大豆などのタンパク質もバランスよく摂ること、ドレッシングにも意識を向けることが大切です。


理由4:体重計の数字に一喜一憂してしまうから

岡田隆さん

体重は、水を飲めば増え、尿や便を出せば減るように、簡単に増減します。ですから体重計の数値で一喜一憂する必要はありません。
ただし、体重や体脂肪率はボディづくりを上手く管理する材料になるので、体重を測ること自体はとても大切です。ポイントは毎日同じ時間に測ること。おすすめは朝起きて排尿した後。体重は1日のうちでも増減しますが、一番安定しているのがこのタイミングです。そして、日々の体重の変化にとらわれるのではなく、1週間トータルでどれくらい変わったかに目を向けましょう。


理由5:運動しないで痩せようとするから

岡田隆さん

食事だけでダイエットするよりも運動を取り入れたほうが、効率よく痩せられます。筋トレを習慣として取り入れましょう。糖質を摂取すると筋肉と肝臓に蓄えられますが、過剰に摂り過ぎた糖質は体脂肪としてため込まれてしまいます。自宅でスクワットをしたり、階段上りや歩く時間を増やしたりして筋肉をつければ、糖質や脂質を効率よく使える、体脂肪をため込みづらい体になります。
また、脂質を消費するには有酸素運動が有効。筋トレ+有酸素運動の組み合わせがおすすめです。


短期集中はNG! 食べながら痩せる【除脂肪食】のススメ

これまでなぜダイエットに失敗してきたのかがわかったら、今度こそ成功するダイエットをスタート! 毎日の生活に無理なく取り入れられる「食べながら痩せる」食生活のコツを岡田先生が伝授します!

痩せたいなら【除脂肪食】がおすすめ!

岡田隆さん

ダイエットをする目的は、ただ体重を落とすことではなく、キレイなボディラインをつくることですよね。
そのためにおすすめしたいのが、「体脂肪を落とすこと」に着目した除脂肪食です。除脂肪食ではダイエットのストレスの原因となる「食事量を減らすこと」はせず、体脂肪を減らすために有効な食品の摂取量を増やすことから始めます。無理な食事制限をしないので、ストレスなく継続できます。

※除脂肪食は「体脂肪を取り除くこと」を目的とした食事法です。「食べ物の脂質を完全にカットする」というわけではありません。


除脂肪食のポイントは5つ!

・食物繊維の摂取量を増やす。イチオシは「スーパー大麦」!

岡田隆さん

除脂肪食の第一歩は食物繊維を増やすこと。食物繊維は特に食前に摂ることで血糖値や食欲をコントロールしてくれますし、余分な体脂肪がつくのを抑えてくれます。また、便秘改善や腸内環境の改善にも有効です。おすすめは食物繊維の含有量が多いスーパー大麦。ゆでたスーパー大麦を食前によく噛んで食べると満足感も増しますし、血糖値も上がりにくくなります。主食を雑穀米や玄米に変えたり、豆類、野菜、きのこ、乾燥類をたっぷり入れたみそ汁を食事にプラスするのも、手軽にできる食物繊維量を増やす方法のひとつです。


・噛む回数を10回増やして、体脂肪を2kg減らす!

岡田隆さん

食事をすると体がポカポカと温まるのを感じますが、それは食事誘発性熱産生と呼ばれる体の現象で、エネルギーの消費量が高まっている状態です。この食事誘発性熱産生は、食べ物を口に入れた時、しっかり噛むことでより高まり、エネルギー消費が増えると言われています。また、ある研究では、1年間、毎日3食よく噛んで食べると、1万6425kcalを消費するという試算も。これはよく噛むだけで体脂肪を約2kg分も減らすことができるという計算です。いつもより10回多く噛む回数を増やして、体脂肪を減らしましょう。


・調味料や調理法を「脂質少なめ」に、少しずつチェンジする

岡田隆さん

除脂肪食では『PFCバランス』を考えた食事が欠かせません。Pはプロテイン=タンパク質、Fはファット=脂質、Cはカーボ=炭水化物、つまり三大栄養素をバランスよく摂ることを示しています。特に除脂肪食ダイエットでは、F=脂質を段階的に減らし、その分P=タンパク質を増やすことを目指します。
脂質を減らすというと、「茹でた鶏胸肉しか食べない」というストイックな手段を取り入れがちですが、脂質は食事の満足度や腹持ちにも関係するので、極端な制限は心にも体にもストレスになるし、ダイエットが失敗する原因にもなりかねません。
だからこそ「段階的に」減らすことが重要。まずは調味料や調理法を見直すことから始めます。マヨネーズを塩やポン酢に変える、調理法を「揚げる」から「焼く」、「焼く」から「茹でる」や「煮る」に変えていくなど、少しずつでいいので、脂質少なめの食スタイルに体を慣らしていきましょう。


・「いい油」でドレッシングを作る

岡田隆さん

そもそもなぜ脂質を減らすのかというと、タンパク質や炭水化物と比べてカロリーが倍以上あり(タンパク質・炭水化物=4kcal/g、脂質=9kcal/g)、エネルギーとして使いきれず体脂肪として蓄積されやすいから。さらに、最も体脂肪として蓄積されやすい性質を持つ栄養素だから。
脂質の摂取量を減らすうえで、意外と見落としがちなのがサラダにかけるドレッシングです。市販のものは脂質が多く含まれ、カロリー量も増えてしまいがち。だからこそドレッシングは手作りするのがおすすめです。
その際、使用する油の質にもこだわりたいですね。エネルギー代謝を高めるには良質な脂肪酸が不可欠。特に、魚介類に多く含まれるオメガ3脂肪酸は毎日摂取したいもの(エゴマ油やアマニ油にも含まれます)。また、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)は、素早くエネルギーに変換されて体脂肪として蓄積されにくい油です。塩やポン酢に、オメガ3を含む油やMCTオイルを少量加えて、オリジナルのドレッシングを楽しむといいでしょう。
もちろん、ドレッシングに限らず、食事全般の「脂質の質」を見直すことが大切です。


・断食するより、1日「5〜6回」×「少量」の食事に!

岡田隆さん

ダイエットのために断食する人も多いですが、断食は強烈な空腹の反動で、猛烈な食欲を感じさせるのでおすすめしません。食事を長時間断つよりも、むしろ少量の食事で摂る回数を増やしたほうが結果的に空腹を感じづらく、効率的に栄養を摂取でき、脂肪がつきづらい体になります。
つまり、食事を「高回数」×「少量」にするということ。
「高回数」の目安は5〜6回ですが、「そんなに食べると太る!」と思う人もいるでしょう。しかし、食事回数に「間食」も含めるとどうでしょう。多くの人が4食以上摂っているのではないでしょうか。
間食も食事(栄養補給)と考えれば、内容を見直すきっかけにもなります。間食における糖質と脂質の同時摂取を避けるだけでも、変化を感じるはず。甘いものが欲しいなら、洋菓子ではなく、脂質が少なく糖質メインの和菓子を選ぶ。できればプロテインバーやプロテインドリンクなど、タンパク質を積極的に摂っていきたいですね。


理想は「筋トレ×除脂肪食」!

岡田隆さん

「食べても太らない体」とは、食べたものをガソリンとして燃やし、全て使い切れるだけの筋肉を備えた体です。
筋トレを日常的に行えば、筋肉内の糖質をガソリンとして消費できるので、糖質を摂っても太りづらくなります。だから筋トレはダイエットの強い武器になるんです。でも、どうしても運動が苦手なら無理は禁物。やりたくないことをやるよりも生活の中で階段を使う、歩く機会を増やすなどして体を動かす機会を増やすことから始めてみましょう。そして除脂肪食を続けていればそれが生活の一部になり、自然に太らない体を手に入れられるはずです。


イラスト/腹肉ツヤ子 取材・文/山本美和

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