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【韓国ラブコメディ】調停中に記憶喪失になった夫婦は離婚できるのか!?『ラブリセット 30日後、離婚します』公開中! 【伊藤さとりの映画レビュー】

  • 2024.4.3
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映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、公開中の『ラブリセット 30日後、離婚します』。「イカゲーム」シーズン2に出演が決定しているカン・ハヌルと、『還魂』で注目を集めたチョン・ソミンが8年ぶりに共演、離婚寸前に記憶喪失となった夫婦を演じる。記憶をたどる夫婦二人に、離婚させたい両家の家族が絡んだ韓国映画らしい上質なコメディ。


登場人物すべて愛おしくなるコメディ

“夫婦喧嘩は犬も食わぬ”と言うけれど、映画ではいつの時代も面白いネタになる。マイケル・ダグラスとキャスリーン・ターナー共演『ローズ家の戦争』(1989)、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー共演『Mr.&Mrs.スミス』(2005)、どちらも命懸けバトルだけれど、この映画『ラブリセット 30日後、離婚します』は、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバー共演『マリッジ・ストーリー』(2019)のような口頭での相手へのブスブス系から幕を開けます。けれど、そもそも二人のスタート地点がもはや『猟奇的な彼女』(2003)のような韓国映画らしい強気過ぎの美女だと分かるシチュエーション。それはまるであの映画の主人公キョヌと彼女のその後のような夫婦関係であり、本ビジュアルもどちらも女性が男性の首に手を回すポーズなので、もしやのオマージュ作品なのではと疑ってしまいます。

それはともかく、いつか殺し合っても可笑しくないのでは?と思う夫婦エピソードは散々、こすられた展開ですが、まさかの交通事故で二人の記憶が無くなることから互いを見つめ直すのは夫婦バトルではなかったと思うし、そこに妻の妹の監視付きで夫婦生活をしばらくやってみようというのも更なるスパイスとなって笑いを巻き起こすのです。

韓国の演技レッスンは、感情表現をはっきりさせるというのを以前、『新聞記者』(2019)に主演したシム・ウンギョンさんから聞いたけれど、まさにその通りと言える苛立ちも喜びも表情でしっかりと見てとれるほどで、それが笑いを誘い、コメディとして物語を確立させていくのだから、夫婦を取り巻くどの人も皆、楽しみながら面白おかしく演じているのが手に取るように分かるのです。夫の友人も妻の友人も、しいては親たちまで愛おしいとはこんな映画のことを言うのですよ。

黙っていれば誠実そうなイイ男であるカン・ハヌルの振り回され演技は面白過ぎていつまでも見ていたいし、チョン・ソミンの透明感ある美しさなのに生意気そうな表情はチャーミング。マンネリ気味の夫婦やカップルで見たら、良い刺激になってまた相手への「愛おしさ」も戻ってくるやもしれぬ映画『ラブリセット 30日後、離婚します』、今の世の中に笑いを求める方にもオススメします。
——伊藤さとり

☑公開中 TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開 『ラブリセット 30日後、離婚します』

【あらすじ】自称知的でイケメンの弁護士だがヘタレで情けないノ・ジョンヨル(カン・ハヌル)と、名家出身のお嬢様で、仕事は出来るが破天荒なホン・ナラ(チョン・ソミン)。二人はドラマチックに出会い、映画のような大恋愛をし、親の反対を押し切って結婚。しかし、生まれ育った環境や価値観の違い、更には嫁姑問題も勃発し、遂に夫婦は離婚を決意する。
裁判所の調停で、離婚のために30日の熟慮期間を持つことを言い渡された二人だったが、その帰り道で交通事故に遭い意識不明に。病院で奇跡的に目が覚めたジョンヨルとナラ。しかし、二人それぞれが、家族のことも、結婚していたことも全ての記憶を失っていた。二人を離婚させたい両家の両親は、離婚を決心した当時の記憶を取り戻させるために、かつて夫婦が一緒に住んでいた家で再び共同生活をさせようと計画する。
但し、間違っても元のさやに納まることのないように念には念を入れてナラの妹を同居させることに。家族や友人も巻き込み、記憶を取り戻すために奮闘する二人だったが……。 2023/韓国/119分
監督:ナム・デジュン
主演:カン・ハヌル、チョン・ソミン
提供:楽天
配給:松竹 ©CINEMA WOOLLIM, TH STORY AND MINDMARK

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