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今、振り返る“Sexy時代”――『少クラ』初披露「With You」の衝撃から始まった「Sexy Zone」の道

  • 2024.4.1
今、振り返るSexy時代――『少クラ』初披露「With You」の衝撃から始まった「Sexy Zone」の道の画像1
12年あっという間だったよ(写真:サイゾーウーマン)

3月31日で中島健人が脱退、4月1日から新しいグループ名になるSexy Zoneについて、その歴史を楽曲面から振り返ります。

目次

・「With You」の衝撃
・Sexy Zoneというグループは“自信作中の自信作”
・「Sexy Zone」曲構成から伝わる気合
・これからも“Sexy時代構想”は続く?

「With You」の衝撃

果たして“Sexy時代”は作り出せたのだろうか、まだ道の途中なのだろうか。

Sexy Zoneの2012年のデビュー曲「Sexy Zone」。グループ名がそのまま曲名になるというのは、ほかには嵐をローマ字表記にした「A・RA・SHI」ぐらいしか思い浮かばない。それだけのこのグループ名と曲への自信がうかがえるようである。

この曲について語るその前に、のちに彼らの持ち曲になり、デビュー曲のカップリングとしても収録された「With You」の衝撃に、まず触れておきたい。

11年7月放送の『ザ少年倶楽部』(当時・BSプレミアム)のラスト、司会のHey!Say!JUMPメンバーに「それではこの曲でお別れしましょう」と紹介されて登場した面々。

ズラリと並ぶジャニーズJr.(現ジュニア)たち。その中でも黄色い衣装を着て中心に立つ6人は、ほかの黒衣装のメンバーたちに比べ明らかに目立っていた。

中央前列にはジュニアのフレッシュ枠で少しずつ登場の機会が増えていた佐藤勝利、倉本郁、松島聡、そしてマリウス葉(当時・葉マリウス)。後列には当時、中山優馬と一緒にCDシングルもリリースした人気ジュニアグループのB.I.Shadowの中島健人と菊池風磨。この6人が黄色の衣装を着用している。

黒い衣装のメンバーは、B.I.Shadowの松村北斗と高地優吾をはじめ、岸優太や神宮寺勇太、ルイス・ジェシー(現・ジェシー)、田中樹、中村嶺亜、井上瑞稀、橋本涼らが並ぶ。

そして、披露されたのが「With You」という新曲だった。

歌唱パフォーマンスの中心は黄色衣装の6人で、黒衣装組はバック的役回り。人気ジュニアが選抜されてパフォーマンスをすること自体は当時も特に珍しいことではないが、中島・菊池以外の4人はまだフレッシュ。そこに、やたら完成度の高い新曲をあてがう。

絶対何かが始まっている……!?

そんな香りしかしない、衝撃のパフォーマンスだった。

実際、その通りだった。

Sexy Zoneというグループは“自信作中の自信作”

それから2カ月後、同年9月の帝国劇場で行われた会見で発表された新グループ・Sexy Zone。のちにメンバーもインタビューなどで、「With You」は“Sexy Zoneを形作った曲”と語っていたりするが、11年7月放送の『ザ少年倶楽部』で披露された黄色メンバーはほぼそのプロトタイプで、あのステージは最終チェックだったとみていいだろう。

その衝撃的なグループ名と、当時一部スポーツ紙が「今後は他ジャニーズJr.も巻き込んで、年齢別にユニットを拡大する計画もある」と伝えた“Sexy Family“という壮大なプロジェクトも明るみになり、とにかくSexy Zoneというグループは“自信作中の自信作”であることがひしひしと感じられた。

冒頭にも記した通り、グループ名をそのまま曲タイトルに使うというところも、この名前にいかに自信があったかの裏付けになりそうだが、実際に相当力の入った気合のデビューであったことは間違いない。

「Sexy Zone」曲構成から伝わる気合

この気合は、なにより曲構成のすごさから伝わる。

短めのイントロから始まるのは、いわゆる「ラスサビ」的メロディ。KAT-TUNの「Real Face」やKis-My-Ft2の「Everybody Go」など、メインのサビをしっとり歌い上げてから曲に入るパターンはほかにもある。しかし「Sexy Zone」は、そうではなくサビとは別のフレーズから入り、それが終わるとともに弾けるようなタイミングでメインイントロにつなげていく。

Aメロ、Bメロ、サビ……キャッチーでいかにもデビュー作らしい、新しい世界への誘いが描かれる。そこで歌われるのが、彼らが担う使命であったかのような、<Sexy時代を作り出す><時代を作ろう>というフレーズだ。

195カ国の夢を乗せて回る地球、Mildが地球の裏側でひっくり返るとWildになるという仰天の発想、歌詞のそこらじゅうに気になる箇所がありすぎるところにも、大きな気合が感じられる。

さきほど記したようなサビのメロディをしっとり歌う「落ちサビ」は、間奏のあとで挟まれる。そして佐藤勝利がささやく「Sexy Rose……」というセリフ! そして再びサビへと突入、おなかいっぱいだ。

しかし、おなかいっぱいになっているところに、デザートというよりさらに「豪華な一品追加」といった具合にアウトロ的にやってくる冒頭のメロディ……足し算につぐ足し算、これぞデビュー曲のご祝儀! といった感じだ。

そんなふうに、とにかく気合の入ったデビュー曲だったが、グループとしては決して順風満帆とはいえない運命をその後たどることになる。

B.I.Shadowという既存の人気グループの解体を伴うドラマ性が時代に合わなくなってきたのか、歴が浅くなじみの薄いメンバーにいきなりファンがつくような時代でもなくなってきたのか、少女漫画から飛び出した王子様的な“薔薇とキラキラの世界観”が受けなくなってきたのか――Sexy時代を作り出す使命をもって送り出された5人のメンバーは、その後も名曲を数々送り出すものの、メンバーの活動休止や脱退が続いた。

これからも“Sexy時代構想”は続く?

4月1日にグループ名は新たに生まれ変わる。「セクシーサンキュー」など、Sexy広報委員のごとく、グループ名につながる「セクシー」を12年にわたり布教し続けた中島健人は、3月31日にグループから卒業した。

新グループ名では「Sexy」が消滅している可能性だってある。12年の活動の中、Sexy時代は作り出せたのか? まだまだ道半ばでこの先も3人で作り続けるのか? はたまた中島健人が一人でこれからも「セクシーサンキュー」の言葉とともに持っていくのか? もしかしたらマリウスの中にも、今なおSexy魂は残り、マリウスなりのSexy時代を作り出そうとしていくかもしれない。

2つ、または3つの場所からこれからも伝播されていく“Sexy時代構想”。そういう状況が訪れるかもしれないと思うと、なんだかワクワクしてくる気がする。

太田サトル(ライター、アイドルウォッチャー)
ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。

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