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世界からお届け!SDGs通信 北京編。巨大製鉄所の跡地に誕生したラグジュアリーホテル

  • 2024.3.31
世界からお届け!SDGs通信 北京編。巨大製鉄所の跡地に誕生したラグジュアリーホテル

製鉄所跡地に誕生した豪華ホテルが、産業遺跡の活用例としてホットスポットに

〈首鋼集団〉といえば北京では誰もが知る、国営の巨大製鉄メーカーだ。20世紀初頭からの歴史を誇るが、近年は環境保護のため多くの工場が北京中心部から移転および操業停止に。その産業遺跡の活用例の一つとして、いまホットスポットになっているのがシャングリ・ラグループの手がけるホテル「北京首鋼園香格里拉」だ。

開業は2021年12月末。敷地面積は3.06万㎡、客室数283室。パブリックスペースのA棟は、首鋼集団の旧発電所の構造をそのまま残し、ガラスで包んでいる。産業遺跡を提示すると同時に、あふれるほど置かれたグリーンに十分な自然光と温度を与える環境に配慮したデザイン。斬新な空間は「Ahead Asia2022」など多くの国際アワードを受賞している。

らせん階段
パブリックスペースを彩る鋼鉄製のらせん階段。ホテルの設計はイタリアの著名建築事務所、Lissoni Casal Ribeiro S.p.A。
パブリックスペースのアートピースは日本のStudio Sawada Designによるもの
パブリックスペースのアートピースは日本のStudio Sawada Designによるもの。ホテルの近くに流れる永定河に毎年やってくる渡り鳥をテーマにしている。

ホテルの所在地である「首鋼園」は、2022年北京冬季五輪開催地には、会場の一部にもなった。ホテルを出るとすぐ近くに、冬季五輪に使用されたジャンプ台がある。「ハイヒール」の愛称で呼ばれるジャンプ台は、冬季五輪競技で使われた後もそのまま残されていたが、ホテル建設時に周囲に残る産業遺跡との視覚的バランスが配慮され、角度などが調整された。周囲の産業遺跡も入れて自撮りする観光客がひっきりなしに来訪。工業遺産の魅力を新しい形で伝える、刺激的なスポットになっている。

ラグジュアリーホテル〈北京首鋼園香格里拉酒店〉のA棟ロビーラウンジ。
A棟ロビーラウンジ。産業遺跡の魅力を新しい形で伝えるデザイン。床のタイルには、再生時の建築廃棄物を再使用している。
ラグジュアリーホテル〈北京首鋼園香格里拉酒店〉の客室
ゲストルーム棟の屋上には太陽光パネルが設置され、太陽光エネルギーをホテル内に供給する。飲用水は蛇口から直接飲用可能。グルーミング用品も大型ボトルを使用し、プラスチックゴミの削減を目標としている。
首鋼集団の跡地を再生させた「首鋼園」の中心部に立つ。「首鋼園」
首鋼集団の跡地を再生させた「首鋼園」の中心部に立つ。「首鋼園」は2022年北京冬季五輪の会場の一部で、左手には競技に使われたジャンプ台が。

Information

北京首鋼園香格里拉

2021年12月末オープン。283室。産業遺跡を活用した画期的なデザインと環境保護への施策が注目される。

HP:http://www.shangri-lajingan.com.cn

profile

原口純子

はらぐち・じゅんこ/ライター。1993年より北京在住。著作に『歳時記 中国雑貨』(木楽舎)、『中国の賢いキッチン』(メディアファクトリー)など。ライフスタイルを主テーマに北京ほか地方都市でも幅広い取材を行う。

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