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バンクシーからカウズまで! “アーバン・アート”のアイコン的な作品と出合える展覧会

  • 2024.3.28

今、ヨーロッパで高い人気を誇る“アーバン・アート”。ドイツ・ミュンヘンにあるMuseum of Urban and Contemporary Art(MUCA)のコレクションから、このジャンルを切り拓いてきた10名の作品がやってくる。都市の壁や橋に絵を描く覆面アーティストのバンクシーをはじめ、彼らの大胆な活動を見聞きした人も多いはず。まずアーバン・アートとは何? とMUCA共同創設者のステファニー・ウッツさんに聞いた。

都市を駆け抜けるアーティストの声なき声を聞け。

「今回紹介するアーティストの多くは大規模な絵画であれインスタレーションであれ、都市の公共空間で制作しており、“Urban”という表現はそれを強調しています。振り返れば1968年の五月革命の際、エコール・デ・ボザール(パリ国立高等美術学校)の学生たちが描いたポスターが彼らの初期のインスピレーションだったといえるでしょうし、1980年代のニューヨークで起こったグラフィティ・ムーブメントも大きな影響を与えています」

バスキアやキース・ヘリングと同時代に活躍したリチャード・ハンブルトンの作品が展示に加えられているのも、そうした流れを汲んでのこと。もう一つ触れておきたいのは、アーバン・アート作品の多くが無許可で制作されており、その点が行政の承認を得て作られる「パブリックアート」とは異なること。なぜ彼らはあえて都市景観の中に自らの作品を刻もうとするのだろうか?

「アーバン・アートの共通点は、誰でも見ることができるという民主主義の原則にあります。彼らが世界中の都市の公共の壁に作品を制作するのは、アートに出合ったことのない新しい観客を取り込むことに本質的な関心を持っているからでしょう」

何の権威の後ろ盾もないインディペンデントな立ち位置にありながら、過去20年間に多くの国際的なアーティストが生まれたのは、“新しい観客”たちの熱い支持によるに違いない。なかでも注目したい作品は?

「バンクシーの“Are You Using That Chair?”は芸術の歴史を風刺する見事な例。ヴィルズのポートレートは卓越した技術とメッセージ性を兼ね備えています。インベーダーも要チェック。ポップカルチャーにインスパイアされた彼の作品は、モザイクアートで世界中の壁を『侵略』するプロジェクトと完璧に合致しています」

過去に話題をさらいながら、現在では見ることができない作品も多い。この展覧会でアーバン・アートのアイコン的な作品とぜひ出合って。

NYの街のバスシェルター広告にキャラクターを描き込む「サブバータイジング」によって一躍時の人となったカウズ。「×」印の目が特徴の「コンパニオン」は世代を超えたファンを持つ。
カウズ「4フィート・コンパニオン(ディセクテッド・ブラウン)」
Photo by ©MUCA / wunderl and media

国籍、年齢など一切不明の覆面アーティストの代表的な彫刻作品。古典的な彫刻の額に生々しい弾痕が。西洋の伝統芸術に強烈なアンチテーゼを突きつけているようにも。
バンクシー「ブレット・ホール・バスト」
Photo by ©MUCA / wunderland media

壁の表面を爆発物などを利用して削り取るスクラッチ技法で描かれたポートレート。ポルトガル人アーティスト、ヴィルズの代表作で、人々の移動や都市化に伴って起こる社会的な変化がテーマ。
ヴィルズ「ディスパーサル・シリーズ #14」
Photo by ©MUCA / wunderland media

「スペース・インベーダー」の愛称で親しまれ、1970~’80年代のビデオゲームに影響を受けたモザイクアートを制作。文化的、歴史的に重要とされる場所で作品を発表している。
インベーダー「ルービック・アレステッド・シド・ヴィシャス」
Photo by ©MUCA / wunderland media

現代のストリートアーティスト、グラフィックデザイナーのなかでも際立った才能を持つ一人。キング牧師の威厳ある姿から正義と平等を求めて非暴力で闘った牧師への敬意がうかがえる。
シェパード・フェアリー「MLK JR」
Photo by ©MUCA / wunderland media

テレビ朝日開局65周年記念 MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art~バンクシーからカウズまで~ 森アーツセンターギャラリー 東京都港区六本木6‐10‐1 六本木ヒルズ森タワー52F 開催中~6月2日(日)10時~19時(金・土・祝・祝前日、4/27~5/6は~20時。入館は閉館の30分前まで) 会期中無休 一般2400円ほか ※事前予約制 TEL:050・5541・8600

※『anan』2024年3月27日号より。取材、文・松本あかね

(by anan編集部)

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