計算式に「0」が出てくると、「計算が簡単になってラッキー」と思いますか?
足し算や引き算であれば式の中に「0」があると、楽に計算ができてしまいます。
しかし、割り算のときは注意しなければいけません。
今回は、そのような問題に挑戦してみましょう。
問題
次の計算をしなさい。
(1)0÷1
(2)1÷0
(3)0÷0
「0の計算だから、答えはすべて0」と考えないようにして下さい。
解説
今回の問題の答えは以下の通りです。
(1)0
(2)存在しない
(3)無数にある
なぜこのような答えになるのか?
今回は「割り算の意味」を考えながら、求めてみましょう。
小学校で初めて割り算を学習した際、九九を用いて計算をしたはずです。
例えば、「12÷3」を計算するために、「3の段の九九で、答えが12になるもの」を考えます。
3×4=12と計算できるので、12÷3=4が割り算の答えです。
これは、それぞれ次のように考えることができ、言葉は異なりますが、同じことを意味しています。
12÷3=4
12を3ずつに分けると4組。
3×4=12
3が4組あると12。
つまり、「12÷3の計算をしなさい」という問題は「3×□=12の□に当てはまる数を求めなさい」という問題と同じと考えられます。
それでは、今回の問題も掛け算の形に変えて考えてみましょう。
(1)0÷1
これを掛け算にすると、次のようになります。
1×□=0
この□に当てはまる数は「0」しかありませんね。
したがって、0÷1=0ということになります。
(2)1÷0
これを掛け算にすると、次のようになります。
0×□=1
「0に何かを掛けて1になる」ということですが、このような数は存在しません。
0にどんな数字を掛けても、結果はすべて0になってしまいます。
つまり、1÷0の計算の答えは「存在しない」ということになります。
一般に「÷0」の計算は、数学的には定義されておらず「不能」と言います。
(3)0÷0
先ほどと同じく「÷0」の計算ですが、これはなぜ「1÷0」と違うのでしょうか。
掛け算にすると、次のようになります。
0×□=0
□に当てはまる数ですが、
0×1=0
0×2=0
0×3=0
・・・
どのような数を入れても正しい式になります。
つまり、□は「何でもよい」ということになってしまい、計算結果を一つに決めることができません。
よって、「0÷0」の計算結果は「無数にある」ということになり、数学的には「不定」と言います。
まとめ
簡単なように見える「0を含んだ割り算」ですが、計算の際は注意が必要です。
ただ単に結果を暗記するのではなく、「なぜ」ということを考えると、それぞれの違いが分かるはずです。
※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
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