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大人が意外と解けない「2個取り出す → 同じ果物である確率は?」

  • 2024.4.23
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確率の問題を考えるときは、特定の条件になるパターン数をもれなく数えられるかどうかがポイントになります。

今回は、数え方がキーになる確率の問題に挑戦します。

「どのように数えるか」を考えながら解いてみてください。

問題

みかん、りんご、なし、もも、キウイの5種類の果物がそれぞれ3個ずつ袋に入っています。
2個同時に取り出したとき、2個とも同じ種類の果物になる確率を求めてください。

手元に紙や計算機がない場合は正確な数字を出さず、「解き方」を考えるだけでもOKですよ。

解答

正解は、1/7です。

では、計算方法を詳しく見ていきましょう。

2個とも同じ種類の果物になるパターン数を求めます

確率は「特定のケースが起こる場合の数(パターン数)÷起こりうるすべての場合の数(パターン数)」で計算できます。

今回は、「2個とも同じ種類の果物になる」というのが「特定のケース」にあたりますので、まずはこのパターン数を求めていきます。

最初にみかんに注目してみましょう。

みかんは3個ありますが、確率では同じ種類のものでもそれぞれを別のものとして区別します。

ここでは、分かりやすいようにみかん1、みかん2、みかん3と番号をふっておきましょう。

この中から2個を選ぶパターン数を数えます。

パターン数を数えるコツは、1個を固定しておくことです。

まずは、みかん1を固定しましょう。

みかん1とペアになるのはその他の2個ですから、以下のようになります。

  • みかん1、みかん2
  • みかん1、みかん3

計2パターンです。

次にみかん2を固定するパターンを数えます。

これも考え方は同じで、みかん2とペアになるのはその他の2個ですから、同様に2パターンができます。

  • みかん2、みかん1
  • みかん2、みかん3

最後にみかん3を固定します。やはり2パターンができます。

  • みかん3、みかん1
  • みかん3、みかん2

すべてのパターン数は3(最初に選ぶみかんのパターン数)×2(残ったみかんのパターン数)=6になります。

ここまでの流れでおかしなところに気が付いた人もいるかもしれません。

実は、この数え方では重複が起きています。

例えば「みかん1、みかん2」と「みかん2、みかん1」は並び方が違うだけで、2個同時に引くペアとしては同じパターンですよね。

先の数え方では先に固定したのがどのみかんかによって、すべてのパターンが2度数えられているのです。

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よって、正しいパターン数を求めるには、先ほど計算した6パターンを2で割る必要が出てきます。

6÷2=3

これで、みかんを2個引くのは3パターンあると分かりました。

さて、5種類どの果物においてもみかんの場合と同じ数え方ができるため、「2個とも同じ種類の果物になる」パターン数は次の式で求められます。

5(5種類の果物)×3パターン=15パターン

起こりうるすべてのパターン数を求めます

次に、みかん1~みかん3、りんご1〜りんご3、なし1〜なし3、もも1〜もも3、キウイ1〜キウイ3の5種類×3個=15個の果物から2個引くすべてのパターン数を考えます。

先のみかんの例と同様に考えてみましょう。

先に選ぶ果物は15パターンあり、それぞれのペアとしては最初に選んだ果物以外の14パターンが考えられるため、合計は15×14=210パターン。

しかしこれは、最初にみかんを数えたとき同様、順番違いのペアを2度重複して数えています。

よって210を2で割る必要があります。210÷2=105

起こりうるすべてのパターン数は、105パターンになります。

確率を求めます

最後に確率を計算しましょう。

「2個とも同じ種類の果物になる」のは15パターン、起こりうるすべての場合は105パターンあるので、計算は次のようになります。

15÷105=1/7

ポイント

この問題では、同じ種類の果物を2個取り出すパターンを正しく数えられるかがポイントになります。

「果物が5種類ある」という問題文を読んだとき、「2個とも同じ種類の果物になる」パターンとして、次のように考えてしまった人はいませんか。

  • みかん、みかん
  • りんご、りんご
  • なし、なし
  • もも、もも
  • キウイ、キウイ

これだと「2個とも同じ種類の果物になる」パターン数は5になります。

しかし、これは同じ種類の果物3つを区別していない考え方です。

解説で見た通り、同じ果物でも番号をふってみれば、「みかん、みかん」のパターンは決して一通りではないことが分かるはずです。

このように確率の問題では、同じ種類のものでも別物として区別し、数え上げることが大事です。

まとめ

今回の問題では、同じ種類のものを選ぶパターンを正しく数えられるかどうかがポイントになりました。

確率の問題で「同じ種類のもの」が複数出てきたら要注意、自分で番号をふって区別できるようにしておきましょう。

※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。


文:編集(監修):VY

数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。