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その恋愛が「愛憎関係」に陥っている5のサインと6つの原因

  • 2024.3.28

映画『恋のからさわぎ』『プライドと偏見』『クルーレス』を観たことがある人なら、愛憎関係という概念にピンとくるはず。ラブコメでよくありがちだけれど、実生活でも割と陥りやすい関係性なんだとか。

カリフォルニア州ニューポートビーチを拠点に活動する臨床心理士でパートナーシップのエキスパート、ベッツィ・チャン博士いわく、愛憎関係とは、人間関係でアップダウンを頻繁に経験する人の間で起こるという。「関係が安定することがないのです」とチャン博士。ダイナミックな関係を経験するために、『プライドと偏見』に出てくる主人公たちのようなロマンチックな緊張感はまったく必要ない。また、これは恋愛に限らず、友人、家族、同僚など、どんな関係性においても起こり得る関係性なんだそう。

不健全な関係性のように聞こえるかもしれないが、愛憎関係であることが必ずしも「問題」であるわけではないと話すのは、認定セックスセラピスト兼心理学者のケイト・バレストリエリ博士。お互いがその関係から得たいものを効果的に伝えることさえできれば、必ずしも悪いことではないそう。

愛憎関係って一体なに? 自分が愛憎関係にある見極め方や回避策は? 専門家が詳しく教えてくれた。

愛憎関係とは、具体的にどんな関係?

チャン博士いわく愛憎関係とは、2人の間で「お互いに対する気持ちの変動」がある関係。繰り返しになるが、このタイプの関係性は家族や友人間だけでなく、恋人や性的パートナーとの間でもよく起こりがち。

例えば交際中、相手が好きで好きで、世界で一番最高な人だと実感した翌日には、喧嘩になって世界で一番最低な人だと感じたりする。チャン博士いわく、その後はその相手とこの先もずっと一緒にいたいかさえ疑問に思えてくる。これが、愛憎関係というもの。

愛憎関係は恋人以外でもみられる。例えば、兄弟と大喧嘩したあとは、何週間もお互いを無視して過ごし、再会した途端に良好な関係に戻るというパターン。「好きなときもあれば、耐えられないときもある、こうしたサイクルが2人の間にできてしまうんです」とチャン博士。なぜこんなことが起きるのか。結局のところ、どちらかが相手に対して強く揺れ動く感情を抱き、それに基づいて行動しているからだという。

あなたが愛憎関係に陥っているサインとは?

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別れと仲直りを繰り返している

別れたり戻ったりを繰り返すカップルは、まさに愛憎関係の典型だという。「なにかがうまくいかなくなるたびに別れたり、別れるという言葉を脅し文句のように使うことさえあります」とチャン博士。例えば、パートナーがパーティーで他の人と話しているのを見て嫉妬し、不安になることがある。当人はこの状況に対して強い感情が湧き上がるため、わざと相手を拒絶したりして、相手の気持ちを試したりする。だから、別れと復縁が繰り返されてしまうとか。

あなた(またはあなたのパートナー) は、考える前に行動する

感情をコントロールする方法がわからず、感情の起伏が激しい人が周りにいない? 「誰かに怒っていて、怒りでいっぱいになったとき、人は怒りのままに行動を起こしてしまうことがあります。冷静になって考える時間を与えられると、感情は最終的に静まるものなのですが......」とチャン博士。

健全で良好な関係を築けている人でさえ、ときには喧嘩したり、相手にイラッとする瞬間はあるもの。相手のネガティブな部分しか見えなくなることだってあるはず。でも、一旦冷静になると、そのイライラした気持ちが本当の自分の気持ちを反映しているわけではないということをよく理解している。一方で愛憎関係にある人は、怒りを感じている間はその感情に従って行動を起こしてしまう傾向にあるとか。

いいときは本当にいい、でも悪いときは......

本当にひどい......。「いいときは本当にいいんだけどね......」と友人に話している自分に気づいたら、その関係は愛憎関係にあるかも。「このような人たちは、あまりうまくいっていない瞬間を適切かつ効果的な手段で乗り越えることに苦労しているかもしれません」とチャン博士。

長い間会話をせずに過ごすことがある

頭に浮かんだ人は? もしかしたら父親と疎遠になり、もう5年も話していないのに、それでも友達には常に父親の話をしていたりするかもしれない。「これは、愛憎関係の別の形かもしれません。あなたは誰かに対して非常に強い感情を抱いているのですが、それをどう解決したらよいのかわからないんですね」とチャン博士。「でも同時に、内心ではその人のことを本当に本当に大切に思っているのです」

相手に対する自分の気持ちが常に変わることに気づいている

「相手と親しくしたい日もあれば、距離を置きたい日もあることはないですか?」とバレストリエリ博士。相手に対する気持ちや考えが白黒はっきり分かれるもののように感じるなら、それは愛憎関係にあるサインかも。

実のところあなたは、相手に対する感情がどこから来ているのかわかっていないのかも。例えば、相手を自分から家に招待したのに、相手が家に着いた途端、何で誘ったんだろうと疑問に思い始めることは? あるいは、「相手に親切なことをしたあとで、するべきじゃなかったと後悔することがあるかもしれません。なぜならそれが、この関係に対する自分の気持ちを示すものではなかったからです」とバレストリエリ博士。

愛憎関係になる原因はなに?

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感情をコントロールできないのは、幼少期のトラウマが原因かもしれない

「どんな状況であれ、私たちは自分の気持ちに基づいて行動します」とチャン博士。「安定した人間関係を築くのに苦労するのは、あなたの感情の対処の仕方や特定の状況の捉え方が関係していることもあるのです」。これは、幼少期の経験やトラウマに起因しているとか。

チャン博士いわく、子どもの頃からあなたの両親のどちらかが批判的だった場合、それが大人になったあなたの実生活に影響を与えていることがある。例えば、仕事に対して上司に少し批判されると、当時の感情が揺さぶられ、すぐに自分を守ろうとする傾向にあるかもしれない。でも、その翌日でさえ、上司に仕事を褒められたときは、上司にもっと認められたいという欲求が芽生えたりする。この場合は、幼少期のトラウマが関係している可能性があるとチャン博士は言う。「感情の対処の仕方や、なにかに刺激されると沸き起こる特定の感情の対処法を、幼少期の頃にどんなふうに教わっていたかが関係しているんです」

あなたとパートナーには、補完的(かつ正反対)な特徴がある

あなたとパートナー(または親戚や友人)は、性格が全然違うかもしれない。それには、いい面と悪い面の両方がある。「自分にないものをパートナーが持っていることを高く評価する一方、相手が自分と異なるやり方でなにかをした際には、本当にイライラすることがあるかもしれません」とバレストリエリ博士。

例えば、あなたにはとても散らかし癖があり、パートナーはとてもきれい好きだとする。最初はバランスがとれているように思えるが、このパターンが数日続くと相手は痺れを切らし、相手の望む通りの片付けを求めてくるかもしれない。幸いにも、このタイプの愛憎関係は解決の余地がある。それは、お互いの違いについて徹底的に話し合い、お互いが幸せでいられる妥協点や中間点を見つけて、お互いがこの関係から必要なニーズをきちんと得られるようにすること。

「相反する感情」を感じている自分に気づいている

このタイプの愛憎関係は、必ずしも誰かが不健全な態度をとっているからではなく、もっと深い問題に起因している。もしかしたらあなたは、自分が正しい恋愛をしているのか、そもそも恋愛をすべきかどうかもわからず、不安を感じることがあるかもしれない。そうなると「私たちは極端になりがちなのです」 とバレストリエリ博士。「今自分がしていること(人間関係も)を、好きになることも、嫌いになることもできるのです」

相手と「愛着スタイル」が異なる

バレストリエリ博士いわく、アンビバレント(相反する感情や考えを同時に持ったことで、葛藤状態に陥った精神を意味する)、または恐れを感じる回避的愛着スタイルは、愛憎関係を引き起こす原因とされることがよくある。「相手と一緒にいることで親密感や安心感、繋がりを感じられるときもあれば、その安心感が曖昧に感じられたり、関係に圧倒されるときもあるんです」とバレストリエリ博士。そのため、パートナーと距離を取り、自分を取り戻そうとすることがある。

これは、幼少期に安心できなかったり、虐待されたり、構ってもらえなかったり、保護者との関係が一貫していなかったことが関係していることも。「相手が自分のそばにずっといてくれるとは、心底信じられないのかもしれません」とバレストリエリ博士。「この場合は少し深刻で、古い傷に根ざしていることがあるんですが、この人はずっとそばにいてくれるのかという恐れにつながっている傾向もあります」

どちらか一方が、過去の恋愛で不当な扱いを受けている

「誰かと付き合っているということは、その相手を信頼できると思うものですよね」とバレストリエリ博士。そのため、誰かがあなたの信頼を裏切ったことがあると、その関係だけでなく、将来の関係にさえも愛憎関係が生じる可能性がある。付き合っている相手に不誠実な態度をとられたり、浮気されたり、突然フラれたりするなど、予期せぬ出来事を経験すると、人は自信をなくしてしまうもの。

その場合は、新しいパートナーの期待に応えるのが難しく感じることも。「相手のニーズに圧倒され、その気持ちをどう伝えればいいかわからず、自分の気持ちを抑えてしまうこともあるのです」

メンタルヘルスの問題を抱えている

不安障害、境界性パーソナリティ障害、自己愛性障害などの精神疾患を抱えている人は、愛憎関係に陥ってしまう傾向にある。「かなり極端な性格をしていて、世界を極端に捉えてしまうからです」とチャン博士。例えば不安を抱えている人は、相手に対して感じている恐れをどう解釈したらいいのかわからず、不安を感じるたびに自分を守ろうとするかもしれない。この場合は、セラピストの力を借りることで救われるかも。

愛憎関係は、有害な関係なの?

あなたがどのように対処するかによるけれど、チャン博士いわく、有害になる可能性は間違いなくある。「特定の感情が引き出されると、脳の一部が停止し、物事をクリアに考えることができず、全体的に物事を見ることができなくなります。このような状況下で行動を起こすと、結局後になって後悔するようなことをしてしまうのです」とチャン博士。もしこれがパターン化すると、相手に恨みを抱くようになり、不健全な関係に発展することがある。

つまり、常に別れると言って相手を脅したり、別れと復縁を繰り返す関係に陥りやすいそう。こうなると、「相手はその関係を不安定に感じるようになります」とチャン博士。それだけでなく、この押したり引いたりといった行動が、恐れや不安、悩みにつながり、メンタルヘルスや人間関係そのものに悪影響を及ぼすこともある。例えば、話し合いの途中で適切なコミュニケーションを取ることができなくなることも。実際に不安や恐怖を感じていると、精神的、身体的健康上の問題を引き起こし、慢性的な神経不全につながる可能性もある。

もし誰かとの間で感情がヒートアップしたときは、その感情に従って行動に移さないようにすることが大切。こうした感情は、いずれ過ぎ去るということを心に留めておこう。「感情のままに相手を傷つけたり、結果を考えることなく関係を壊すような行動を起こさない限り、こうした怒りの感情を自分の内側で感じることがたまにはあってもいいのです」とチャン博士。

バレストリエリ博士いわく、感情を「出発点」として利用すること。お互いが冷静になれたら「より効果的なコミュニケーションをとり、建設的な方法で(自分の)ニーズを相手に伝えることができるようになります」

愛憎関係の対処法とは?

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自分の感情を理解することを学ぶ

愛憎関係の対処としてできる最善のことは、ソーシャルインテリジェンスのスキル(他人との関係を形成する能力)を磨くこと。「自分の感情を理解(そして特定)することを学ぶことです」とチャン博士。ある状況が引き金となって感情を取り乱した場合、なぜ感情を取り乱してしまうのかが自分でわかるようになる。誰かを激しく非難したくなるような感情に従って行動することもなくなるはず。

コミュニケーション能力を向上させる

「不適切な行動を起こす理由の多くは、内側で起きていることを言葉にする方法がわからないからです」とチャン博士。「コミュニケーションを通して、自分の内側の状況を外に表現することができます」。自分の気持ちをうまく言葉にできるようになると、「私はこれが必要だ」「私はこう感じた」というふうに、相手に的確に伝えたり、境界線を設定できるので、愛憎関係に発展したり、関係が悪化する可能性は低くなる。

白黒をつけようとする思考の中で、グレーゾーンを見つける

「なにか」が、または「誰か」が完全によくて完全に悪いということはないと、バレストリエリ博士は言う。「自分の心の中で相手の完璧でない部分を受け入れ、相手の振る舞いを尊重したうえで、相手を評価するように試みてください」。自分の内面と向き合い、相手との関係に対する不安や悩みはどこから来るのかを考えてみること。それがわかったら、今度はその知識を利用して、私が相手になにをしてどんなふうに接したら、相手が安心感を感じられるようになるかを明確にしてみよう。第三者と話したいときは、セラピストに相談することをバレストリエリ博士は勧めている。

「もし、今のパートナーと一緒にいて安心感を得るのが難しいと思うなら、あなたがその関係に留まっている理由を考える必要があるでしょう」

「愛着スタイル」に関する理解を深める

人間関係に対する期待や考え方を新たに形成したいと望むなら、トラウマ経験がある人はとくに、「愛着スタイル」や「トラウマ」に関する知識を磨いてみるといい。

ちなみに『Wired for Love』スタン・タトキン/著 『Healing Developmental Trauma』ローレンス・ヘラー、アライン・ラピエール/著 『I Hate You—Don’t Leave Me「境界性パーソナリティ障害の世界」』ジェロルド・J・クライスマン、ハル・ストラウス/著 は、バレストリエリ博士のおすすめの書籍。

愛憎関係に発展することは、ある時点で避けられないこともある。バレストリエリ博士いわく、関係が長い2人の場合はとくに、相手に対する自分の気持ちがわからなくなることはあるし、その関係の長さが、安全や安心という感覚につながるときもある。

結局のところ、どんなにうまくいっている関係でさえも人間関係は複雑で、相反する感情を抱くことは普通のことでもある。「大人になってからも、自分の感情を理解するのが難しく、感情に対処する方法がわからない人もいるのです」とチャン博士。あなたがもし別れと復縁を繰り返しているなら、その背景になにが起きているのかを一度掘り下げてみるべき。

だからこそ、パートナーシップにおいて本当に重要なのが、オープンコミュニケーション。自分の感情をうまく扱えるようになり、たとえ愛憎が入り混じる相手でも、健全な方法で乗り越えられるようになるはずだから。 ※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。Text: ADDISON ALOIAN Translation : Yukie Kawabata

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