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自分で捌いてつくる"真鯵のお刺身"|カメラマン・富貴塚悠太

  • 2024.3.27

カメラマンの富貴塚悠太さんのひと皿は、丸の真鯵を自分で捌いてつくる刺身です。特別なときに食べるハレの料理でもなく、いつもの普段の食事でもなく、ただ美味しいとか、好きだとか、ということでもなく、常に身近にあって食べ続けたいもの。人生や思い出と、いつも、いつでも結びついている。そんな、一生食べ続けたい「ひと皿」を食いしん坊に聞きました。

自分で捌いてつくる"真鯵のお刺身"|カメラマン・富貴塚悠太

■飽きないひと皿

釣ったお魚をその場で捌けるくらいにはなりたいな、と始めたのが真鯵の三枚おろしでした。
今、僕が住んでいる駒込にある霜降り商店街には、昔なじみの常連さんがしっかりと根付いている個人店が多々あり、その内のひとつ、二木商店(創業65年!)には豊洲市場で仕入れたお魚たちが綺麗に並んでいます。

霜降り商店街
霜降り商店街
二木商店
二木商店

夏が旬の真鯵ですが、鮮度の良いものが通年置かれているので、自分で捌きたい僕みたいな人にとってはかなり有難い存在です。
ちょっと値段は高いのだけれど、一度食べたら他では買えなくなってしまいました。

捌き方も日々精進しているのですが、とあるお鮨屋さんの取材で見た捌き方がとても印象に残っています。
冷蔵庫から出てきたのはまだ皮がついた柵の真鯵で、大将はインタビュー取材をこなしつつ、手際よく包丁の峰でズズ~っと皮引きをしているのがめちゃくちゃ格好よかった。
調理場に潜入できる取材はいわば特等席!カメラ越しに興奮しているのはバレていないはず、です。正直撮影中も帰ったらすぐ真似することしか考えていませんでした(笑)。

真鯵
真鯵

そんな仕事中でも鯵を見ると目の色が変わってしまう僕なのですが、大分県で仕事を終え、ひとり小さな居酒屋さんでお刺身の盛り合わせを頂いた時、凄い弾力と旨みのあるお魚があり、びっくりして「これなんですか?」と聞いたらいわゆる関鯵でした。鮮度が良すぎて何を食べているのか全くわからなかったという……恥ずかしかったけれど、これも新しい真鯵の扉でした。

お刺身
お刺身

薬味を変えたり、酢締めにしてみたり、家であれこれ工夫するのが楽しく一向に飽きません。これからも捌き続けて食べ続けるだろう「ひと皿」です。
ただ、入ったお店のメニューに刺身があれば必ず頼み、参考のためいろんな角度から眺めているのですが、盛り付けだけは上達しません……。

文・写真:富貴塚悠太

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