長澤まさみさんが考える、本当の自分。影響を受けている人気俳優についても

見た目も人柄も、澱みなく流れる水のように清らかさを保ち続けるひと。人にも仕事にもまっすぐに向き合う長澤まさみさんが考える本当の自分とは？

濁りのない肌とこころで。長澤まさみ彼女の強さと、やさしさと

1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年に芸能界入りし、同年に映画『クロスファイア』で俳優デビュー。以降、ドラマや映画、舞台など数々の話題作に出演。2024年2月29日よりNetflix映画『パレード』が配信、9月13日に映画『スオミの話をしよう』が公開予定。

彼女はどんなひと？

出会った誰もが「優しくて強い人」と口を揃える長澤さん。そんな彼女自身は、自分のことをどんな人間だと捉えている？

恥ずかしがりで、甘えベタ。自分から甘えるのは苦手でした。

「この仕事を始めた頃は周りが大人ばかりで、まだ何もわからない私を気遣って下さる方がたくさんいたんです。でも自分から甘えにいくのは恥ずかしくて、“ありがたいな”と思いながらもじっと見ているだけのムッツリ系でしたね（笑）。ただ、そんな甘えベタな私でも、年齢がすごく上の俳優さんにはわりと言いたいことが言えるんですよ。というのも、ある程度の年齢を超えてくるとみんな不思議と性別を超えて、“人間”って感じになるじゃないですか。それこそお節介焼きなおばさんのように可愛がって下さるので（笑）、遠慮なく甘えさせてもらっています」

真剣に仕事に向き合えば、感情の波が生じるのは当然のこと。

「私も感情のアップダウンはありますよ。穏やかな時がある一方で、真剣に仕事に向き合う中でピリッとしちゃう場合だってもちろんあって。でもみんな自分の持ち場で忙しいから一人の気分に左右されることはないし、大変なのは誰もが同じ。だからこそ、何も言わずともそれぞれの状況を察することができるんですよね。そうやって一人ひとりが自分のやるべきことに集中しつつお互いに尊重し合えるのは、“いい作品を作る”という同じ目標を持って苦楽を共にしている関係性ならではかもしれません」

お節介気質は昔から（笑）。ついお世話を焼きがちです。

「子供の頃からお節介気質。6月生まれな上にもともと身体が大きかったこともあって、同級生の中では動けるようになるのが早かったのが影響しているのかも？ 昔のホームビデオで同い年の幼なじみのお誕生日会を映したものがあるのですが、プレゼントを開けるのに苦戦しているその子を幼い私が横から手伝おうとしているんです。今見ると“いやいや、本人が開けるから大きなお世話！”と思うけれど、そうやって世話を焼くのが好きだったみたい。自分もまだちっちゃいくせに、トイレで同級生のおしりを拭いたりもしていたそう（笑）。迷惑と紙一重でいいのか悪いのかわからないけれど、そんなお節介気質を残したまま大人になっちゃいました」

作品ごとに理想があるので芝居に対してはシビアになる時も。

「たまに“自分に厳しい”と言って頂くことがあるんですが、みんな持ち場は違えどそれぞれが厳しさを持って仕事に臨んでいるはず。なので、私自身は特に厳しいとは思わないかも。ただ、作品ごとに理想を掲げて取り組むタイプではあるので、自分の芝居に対してシビアになる時はあります。“こういう風にやりたいな”っていうイメージがいつもあるんです。そうやってひとつの目標を達成するために自分なりに努力をするのが仕事だと思うので、大変ではあるけれど苦ではないですね」

年齢を問わず、素敵なところは素直に真似させてもらいます。

「人間的に成長したいとは思うけれど、そこに関しては人頼み（笑）。周りの人の素敵だなと思うところを見つけて、取り入れるようにしています。影響を受けるのは年上とは限らなくて、例えば普段から仲良くしている橋本環奈ちゃん。彼女のどこへいっても落ち着いて自分らしさを発揮できるところが本当に素晴らしいなと感じるんですが、それができるのは準備を積み重ねているからこそ。生活もキッチリしていて、日々のルーティンを終わらせないと遊びに行かないと決めているそう。俳優としてはもちろん、人としても尊敬しますし、私も真似しようって思います」

本当の意味で強い人には受け入れる優しさがあると思う。

「自分に強さがあるかはわからないけれど、頑固な部分はたしかにある気がします。“自分がされて嫌なことは人にもしない”とか、たわいもないルールを自分に課していて、守れないとすごく落ち込んじゃう。それってある意味冒険できないということでもあって、心配性の裏返しなのかも。ただ、ルールを守る方法にもいろいろあることに気づいたので、いいなと感じるものを取り入れながらアップデートを実践中です」

「私自身が強さを感じるのは、変化に強い人。生きている限り変化は避けられないので、そういった時に前向きに対応ができるかはすごく重要だと思うんですよね。あとは、気の長さも大切。場の流れや人の言葉が終着するのをじっくり待てる人は強いなって感じます。一般的には、自分を主張する人が“強い”とされるじゃないですか。私もそうなりやすいからわかるのですが、自信がない時や不安要素がある時って自分を強く押し出しがち。なので、本当に強い人っていうのは、受け入れる優しさや柔軟さを併せ持っている気がします。ただ、そういった“本当の強さ”を持つ人を尊敬する一方で、自分はそこまで強くならなくてもいい気がしていて。仕事ではいくらでも気長になれるので、プライベートではちょっとくらい気が短くてもいいかって（笑）。さらなる強さを目指したら今よりもっと甘えることができなくなっちゃうから、そこでバランスを取るのもいいかも……なんて思ってます」

Information

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

『四月になれば彼女は』川村元気のベストセラー小説が映画化。精神科医の藤代 俊（佐藤 健）の元に、初恋相手の伊予田 春（森 七菜）から手紙が届く。同じ頃、婚約者の坂本弥生（長澤まさみ）が姿を消してしまい……。ウユニ塩湖やプラハの美しい景色を交えながら、愛とは何かを探し求める男女の姿を描く。3月22日より全国東宝系にて公開。

MAQUIA 4月号
撮影／矢吹健巳〈W〉 ヘア＆メイク／佐川理佳 スタイリスト／吉田佳世 取材・文／真島絵麻里 構成／木下理恵（MAQUIA）
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