人手不足の解消へ。一度、会社を辞めた元社員を、再び採用する企業が北海道内で増えています。
お互いにとって、どんなメリットがあるのでしょうか?
培ったスキルを元の会社で…
札幌市清田区の、北海道コカ・コーラボトリングです。
坂東豪さんは新規事業の開発部門で、管理職として陣頭指揮を執っています。
坂東さん、入社年は2019年の今年5年目の社員。
というのも、実は、「再入社」なんです。
前職は自動車販売の営業マン。
ですがその前に、この会社に勤めていました。
いわば「出戻り」の形です。
前職の自動車販売で、顧客への接し方や提案力で難しさを感じていたという坂東さん。
そのタイミングで、今の会社の再雇用制度を見つけました。
「培ったスキルを元の会社で違う目線で取り組んでみたいと思った」と話します。
人手不足に悩んでいたこの会社では、自己都合で退職した元社員を再雇用する制度を2019年に導入。
これをきっかけに、坂東さんは古巣にカムバックしました。
坂東さんは「職を転々とすることは、家族からもどうなのかという言葉もあったが、『おかえり』と言ってくれた社員もいた」とうれしそうです。
こうした「アルムナイ採用」を導入する企業が北海道内で増えています。
「即戦力」としても期待
「アルムナイ」とは「卒業生」のこと。
定年前に退職した社員とつながりを持ち続け、再雇用を可能にする仕組みです。
北海道コカ・コーラボトリングの井馬智行執行役員は、「人材を確保するための手段や選択肢を増やしたかった」と話します。
一度会社を出て、違うスキルや経験を身につけた人材が戻ってくれたら、即戦力としても期待されます。
帝国データバンク札幌支店の調査では、「正社員が不足している」とした道内企業の割合は、58.8パーセントと2006年の調査開始以来、過去最高となりました。
特に「建設業」、宿泊施設などの「サービス業」、「運輸・倉庫業」で人手不足が深刻です。
企業が期待を寄せる「アルムナイ採用」ですが、実際に再雇用に結びつく数は、まだ限られています。
北海道コカ・コーラボトリングでも、5年間での採用実績はグループ全体で4人。
その背景について井馬役員は「元社員には、抵抗感もあるだろうし、次のキャリアの選択肢のひとつになれるような制度であったらいいと思う」と今後の展望を話してくれました。
「アルムナイ採用」は、会社のカルチャーをわかっている人を採用するので、すぐになじめるというのも大きなポイント。
また、別の会社などで新たな経験を積んでいるということもメリットです。
採用する側としては、「戻って働きたい」と思ってくれることがうれしいといいます。
そうすると、「ミスマッチ」も起こりにくいですよね。
「転職」をプラスに受け止める考えが広がる中、「アルムナイ採用」も人材確保のかたちとして定着していくかもしれません。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年3月13日)の情報に基づきます。