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4WDミニバンなら最強!パジェロを祖にする「デリカスペースギア」

  • 2024.3.25

「デリカスペースギア」って、どんなクルマ?


ミニバンという言葉が日本で一般的に使われるようになったのは1990年代のことでした。

1990年にマツダからMPVが、トヨタからエスティマが相次いで発売されたことで、セダンやステーションワゴンとは異なるジャンルの乗用車が人気を博すことになったのです。

マツダMPV(初代)

当時はワンボックスといえば、ハイエースやタウンエース、キャラバン、デリカといった商用車が主流でしたが、MPVやエスティマが登場したことで、「ワンボックス型乗用車」に注目が集まるようになったのです。

デリカスペースギア(クリスタルライトルーフ2800ディーゼルターボ)

デリカにもスターワゴンと呼ばれる乗用モデルが存在し、ミニバン的に使えるクルマとして再注目されることになります。

ですが、そのルーツはやはり商用車。ルックスも性能もワンボックスという呪縛からは逃れられません。そこで三菱自動車はスターワゴンに変わる新たなモデルとして、1994年に「デリカスペースギア」を発売するのです。

本格オフローダー譲りの「ワンボックスRV」

デリカスペースギアが従来のワンボックスたちと異なるのは、その車体構成にあります。

荷物を満載することを想定した商用車をベースとするのではなく、本格的なオフロード性能を有する2代目パジェロをベースに選んだのです。

どうしてパジェロだったのかといえば、スペースギアのコンセプトがスーパー・プレジャー・RV(レクリエーショナル・ビークル)だったから。

2代目パジェロは、堅牢なハシゴ型フレーム(ラダーフレーム)に、ボディの骨格であるモノコック構造を融合させたことが特徴でした。これは、大勢を乗せてあらゆるシチュエーションにも対応できる走行性能を与える。そんな開発コンセプトとを掲げたデリカスペースギアにも最適な車体構成だったというわけです。

多彩ラインナップも人気を後押し

悪路を難なく走れるデリカスペースギアは、登場と同時に熱心なキャンプファンに大歓迎されましたが、大人数で乗る機会が多いファミリー層にも同じことが言えます。

標準ボディのエアロルーフ

それは多彩な仕様が用意されたことも手伝っていたのではないでしょうか。

前から2・2・3人掛けシートの7人乗りまたは2・3・3人掛けシートの8人乗りが選べる「標準ボディ」や、10人乗りも存在する全長が5mを超える「ロングボディ」。さらに、標準ボディにはエアロルーフやハイルーフもあり、エアロルーフにはツインサンルーフ、ハイルーフにはクリスタルライトルーフも設定されていました。

開放感あふれるクリスタルライトルーフ

エンジンは2.4Lの直列4気筒にはじまり、2.5Lと2.8Lのディーゼルターボ、3LのV6まで用意され、それぞれに5速MTと4速ATが組み合わせ可能です。

さらに駆動方式がFR(フロントエンジン・リヤドライブ)と4WDが選べたのですから、まさに自分だけの1台を見つけることが可能でした。

フルフラットにも対面にも自由自在

パジェロ譲りの悪路走破性だけでなく、シートアレンジの自由度が高かったのも人気を博した理由のひとつです。

1列目こそ普通のクルマと同じですが、2列目は前後にスライドさせられるだけでなく、回転させたり横向きにすることも。3列目にいたっては取り外せるので、乗員や荷物の量に合わせて空間の有効活用もなんのその。

おまけに全席を倒してフラットな室内にできるうえ、前2列はウォークスルー、車内を歩いて移動できたのですから魅力的です。

観月ありささんにワクワク!そのままキャンプできる「ネスト」なども

デリカスペースギアには、キャンピングカー並みの架装が施された特装車も追加されました。

収納式2段ベッドやカセットコンロと10Lタンクを備える「ネスト」が1997年に発売。その翌年にはルーフキャリアとオートロールタープを装備する「ジャスパー」まで追加されたのです。

ちなみに、ジャスパーのテレビCMには「観月ありささん」が起用されたのも、当時ならではの出来事です。タープを広げて自然を楽しむ姿が印象的で、筆者にとっても「かわいい彼女とアウトドアを楽しみたい!」 と思わせるに十分過ぎるインパクト。

2ドアクーペばかり乗っていた自分の考えを改めなければいけないのか、真剣に悩んだものです…。

中古車在庫は潤沢。ただし仕様によっては争奪戦

デリカスペースギアは1994年から2007年まで販売されるロングセラーモデルとなりました。

マイナーチェンジこそ受けつつも、大掛かりな変更を受けずに製造され続けたのですから、完成度が高くユーザーの満足度も高かったと言えるでしょう。そのため現在でも豊富に中古車が流通しているようです。

3L V6エンジンが最後まで存続しました

とはいえ、さすがに1990年代の個体は減ってきているのも事実。特に前述したキャンプ仕様の特装車を見つけるのは至難の業ですが、それでもフタケタ万円から選べることも魅力です。

ちなみに、中古相場を見ていて筆者がおもしろいと感じたのは、年式の新旧を問わず価格が安定しているところです。1990年代の個体でも200万円を超えるケースがあったり、走行距離がヒトケタ万kmと短いのに格安なものがあったり。

あなたはどれを選ぶ?次回はラシーンをお届け予定

このように、仕様の違いなどで大きく相場が変わりますから、何を優先すべきか決めてから選ぶのがよさそうです。2004年にディーゼルエンジンが廃止され3L V6エンジンのみになりますので、ディーゼルターボ仕様車が欲しいなら年式は古めになることも知っておきたいところです。

自分のキャンプスタイルやクルマとの付き合い方にマッチする相棒が見つけられるのも、デリカスペースギアが魅力的とされている所以。最強の4WD性能と積載能力を体験できる、まさにキャンプな1台を試してみてはいかがでしょうか。

【基本情報】
1994年・デリカスペースギア・ロングエクシードIIハイルーフ4WD
・全長×全幅×全高:5,085×1,695×2,070mm
・車両重量:2,030kg
・エンジン種類:V型6気筒SOHC24バルブ
・排気量:2,972cc
・最高出力:185ps/5,500rpm
・最大トルク:27.0kgm/4,500rpm
・発売当時価格:319.8万円

次回は、現行車にはなかなかないデザインをもつ、1994年登場の小型RV車「ラシーン」の魅力をお届け予定です。キャンプの相棒を探している人はお見逃しなく!

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