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相続税、かえって高くつくかも?「母が全額相続すれば相続税ゼロ」の落とし穴

  • 2024.3.24

「相続税って確か母が相続すればゼロだったよね…」
配偶者が1億6000万円まで相続税が非課税になる配偶者控除について、ネットで聞いた情報をうのみにしている人が実に多いようです。

「母が全額相続すれば相続税ゼロ」これ実は、タイミングによっては数百万円税金が高くつくかもしれないので、注意が必要です。今回は多くの人が間違いがちな「相続税の常識」についてFPの筆者が解説します。「あれ、かえって高くついてない?」そんな落とし穴にはまらないよう、しっかりチェックしてください。

■父逝去後、母が全額相続すれば相続税ゼロ?

配偶者には1億6,000万円もしくは法定相続分まで相続税の控除枠が用意されています。簡単にいうと「妻が受け継ぐ財産の額が1億6,000万円までだったら相続税はかからない」と考えてかまいません。

「それなら、お父さんに万が一のことがあったら、お母さんが全部相続すれば良いじゃない!」と思うかもしれませんが、話はそこまで甘くありません。

●かえって高くつくかも

例えば、夫の相続財産の額が1億円で、法定相続人が3人(妻および子ども2人)いたとしましょう。

夫が亡くなったときに妻だけが相続すれば、相続税はかかりません。しかし、その後妻が亡くなったときに子どもが5,000万円ずつ相続すると相続税は770万円かかります。

一方、夫が亡くなったときに妻が5,000万円、子どもが2,500万円ずつ相続した場合、相続税は315万円です。その後、妻が亡くなったときに子どもが2,500万円ずつ相続すると、相続税は80万円になります。

合計395万円になるため、妻が最初に1億円相続したケースに比べると300万円以上安いのがわかるはずです。

もちろんこれらの数字は、家族構成や相続財産によっても異なります。

■税理士に相談して最善の道を探ろう

両親がいる場合、相続は父親・母親それぞれの万が一のときでトータル2回経験するはずです。最初に発生する相続(一次相続)だけでなく、2回目に発生する相続(二次相続)も見据えて計画を練りましょう。

相続税対策として生前贈与や死亡保険金の非課税枠を活用するのもひとつの手段です。いずれにしても「どうすれば相続税を抑えられるか」は、個々の家庭によって答えが異なります。早い段階で税理士に相談するのをおすすめいたします。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日商簿記検定1級、貸金業務取扱主任者(試験合格)

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