Text by 立野敦史(Qoly LFB Vintage)
まさに衝撃のニュースだ。ドイツサッカー連盟(DFB)は21日、現在のキットサプライヤーadidasとの契約が2026年をもって終了となり、2027年から新たにNikeをパートナーに迎えることを発表した。契約期間は2034年までとなる。
DFBのベルント・ノイエンドルフ会長は、このサプライヤー変更を“公平・公正な入札に基づく結果”だとしている。
また、Nikeとの新たなパートナーシップに期待を寄せると同時に、adidasとのこれまでの関係に謝意を述べ、2026年12月までの残された契約期間をadidasと成功を共有できるように全力を尽くすと語っている。
これにより、1980年から続く現在の契約は46年間で終了が確定した。なお、両者は一時期のerima時代(契約期間は諸説あるため、あえて記さない)を除き、1950年代からパートナーの間柄だった。
ここでは、現在までにドイツ代表がadidasと「歴史を作り上げた」5つのユニフォームをご紹介したい。
1980 ホーム
西ドイツ代表 1980 adidas ホーム ユニフォーム
選手:カールハインツ・フェルスター
ドイツが東西に分かれていた時代。まだ“西ドイツ代表”だったチームは、1980年の欧州選手権(EURO1980)で1972年大会以来2度目の優勝を成し遂げた。この時のユニフォームはかつてのプロイセン王国に由来し、白を基調に黒の差し色というシンプルなものだ。
ユニフォームにはadidasのロゴマークが付いていないが、これはUEFAがサプライヤーロゴの掲出を禁止していたことによるもの。そのため出場国はユニフォームからロゴを外す、もしくは隠すという措置をとる必要があった。
1990 ホーム
西ドイツ代表 1988-90 adidas ホーム ユニフォーム
選手:ローター・マテウス
1990年10月のドイツ統一により、東西のドイツ代表チームはひとつに合体し「ドイツ代表」が誕生する。そのため、同年6月から7月にかけて開催されたワールドカップが、西ドイツ代表として出場した最後の大会となる。
この大会の決勝戦では、ディエゴ・マラドーナを擁するアルゼンチン代表と対戦。試合はアンドレアス・ブレーメが85分に決めたPKが決勝点となり、西ドイツが1-0で勝利。1974年以来4大会ぶり3度目の優勝となった。
このユニフォームは、ベスト4入りを果たした1988年の欧州選手権(EURO1988)でも使用したもの。折れ線グラフのような胸の3色グラフィックは時代のアイコン的な存在となり、後に復刻版も発売された。
1996 ホーム
ドイツ代表 1996 adidas ホーム ユニフォーム
選手:ユルゲン・クリンスマン
1991年以降の大会はチーム名から“西”が取れたドイツ代表として参加。1996年にイングランドで開催された欧州選手権(EURO1996)では、EURO1980以来となる3度目の優勝を成し遂げている。
イタリア、チェコ、ロシアといった強敵ぞろいのグループステージを首位で通過し、ノックアウトステージではクロアチア、イングランドを退けて、決勝で再びチェコと対戦。そんなハードな連戦を選手とともに戦い抜いたユニフォームは、「adidas×ドイツ代表」で名作の一つに数えられているこの1996モデルだ。
派手なドイツ国旗路線デザインから一転して、国旗色を最小限に抑えた白と黒が印象的、黒地の盾形エンブレムも大きな特徴で、このスタイルがドイツのユニフォームに採用されたのは数えるほどしかない希少なデザインだ。
2014 ホーム
ドイツ代表 2014 adidas ホーム ユニフォーム
選手:マリオ・ゲッツェ
1990年大会以来、実に24年ぶりとなるW杯優勝を成し遂げた2014年ブラジル大会でのユニフォーム。アルゼンチンと激突した決勝戦はスコアレスのまま延長戦に突入するが、膠着状態を打ち破ったマリオ・ゲッツェの一撃が決勝点となり歓喜をもたらした。
そんな記念すべき優勝ユニフォームは、2013年11月に行われたイタリアとの試合でデビューを飾っている。胸のV字がドイツ代表としては異色のデザインで、赤のグラデーションはドイツ国旗色を斬新な視点で解釈したものだった。
また、このユニフォームでは白のパンツも大きな話題に。ドイツのユニフォームといえばパンツの色は黒が定番だった。この黒から白への変更は、adidasのデザイナーによれば「ドイツ代表の軽やかなサッカーをイメージ」したものだったという。
かつてのドイツのサッカースタイルには軽やかさなど微塵も感じられなかっただけに、時代が変わったのだと痛感させられるエピソードである。
2017 ホーム
ドイツ代表 2017 adidas ホーム ユニフォーム
選手:ラース・シュティンドル
ワールドカップも欧州選手権も開催されていない2017年は「谷間の年」という印象だが、ドイツ代表は少々異なる。この年に開催された最後のFIFAコンフェデレーションズカップを優勝したのだ。これが3回目の出場だったが、初めて同大会を制している。
この2017モデルのユニフォームも若干印象は薄いかもしれないが、立派な優勝ユニフォーム。そもそもコンフェデのために用意されたようなものだったので、adidasにしても作った甲斐があっただろう。
全体的なデザインは1990年のユニフォームを彷彿させるが、薄っすらと落とし込むグラフィックは80年代的なものだった。
この2017年のコンフェデは、現時点でドイツが獲得した最後のタイトルとなっている。
DFBとadidasに残された契約期間は、残り約1年9ヶ月。両者は喜びを分かち合うために、2024年の欧州選手権と2026年のワールドカップで優勝を目指し全力を尽くすことだろう。