料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は家でつくる“餃子”。あんが足りなくなって“皮”だけが余ったら、どう食べきる?
■餃子の“皮”だけが余ってしまう問題
“餃子”はそれぞれの家によって定番のレシピがあるのが面白い。野菜はキャベツか白菜か、ニラを入れるか入れないか、などなど……。尾身さんの定番は「豚ひき肉、キャベツ、にら、生姜」。つくり方も聞いてみたところ、下ごしらえの工夫に目からウロコ!
「キャベツのみじん切りって、まな板からはみだして飛び散っちゃうでしょ?だから、あらかじめ電子レンジにかけてしんなりさせてから、みじん切りにしています。水分を出すために塩もみにする手間も省けて一石二鳥!」
そんな手があったとは。確かに、いつも床にまでキャベツのみじん切りがちらばってます……!尾身さんのアドバイスを実践すると誓いつつ、本題へ。今回は家で餃子をつくるときに余らせがちな“皮”をどうやって食べきればいいのか、というお悩みである。
■皮は無限の可能性を秘めている!
余った皮の活用法といえば、スープに入れたり、カリッと揚げてサラダのトッピングにしたりといったレシピが定番だが、まだまだ無限の可能性があるはず。すると、「餃子の皮を太めに切れば、“フェンピー(粉皮)”みたいに使えるんです」と尾身さん。それは意外な使い道!
ここで、“フェンピー”を食べたことがない人のために、解説しておきたい。緑豆の粉でつくられる、春雨を太くて平たくした麺のような食材で、中国料理でよく使われる。野菜などの具材と炒めたり、和えたりすると、独特のコシがあって美味しいのだ。
「今回は、和え物にしましょう。太めの幅に切ってゆでてから和えますが、切ったら1枚1枚はがして、ほぐしてから使うのがコツ。皮のふるふるしたおいしさを味わうには、ゆでているときにくっつかないようにするのがポイントです」
ゆであがった皮を、薄焼き卵、きゅうり、ハム、ザーサイと和えると、餃子の面影はまったくなし。皮と具材のいろいろな食感が混ざり合ったおいしさに、ザーサイの塩気がアクセントになって、これは箸が止まらない!もちろん、お酒にも合いそうだ。
餃子をつくるときは多めに皮をスタンバイしても、これで安心。「実はこれ、もっと皮が入っててもおいしいの。皮だけ買ってつくっちゃうかも……」と、こっそり話す尾身さん。“フードロサない”レシピなのに本末転倒!?いえいえ、その価値アリのおいしさってことで!
□“フェンピー風和え物”のつくり方
◇材料 (2人分)
残った餃子の皮:10枚
サラダ油:少々
★ 具材:
・ 薄焼き卵:卵1個分
・ きゅうり:1/2本
・ ロースハム:2枚
・ ザーサイ:20g
★ タレ:
・ 塩:少々
・ 胡椒:少々
・ 胡麻油:少々
・ 醤油:ほんの少し
(1)具材を切る
具材はすべてせん切りにする。
(2)餃子の皮を切ってほぐす
餃子の皮を4等分の帯状に切る。1枚ずつはがして軽くほぐしておく。
(3)餃子の皮をゆでる
鍋に湯を沸かし、サラダ油を入れる。餃子の皮を投入し、くっつきそうな皮を菜箸で離しながら、1分ほどゆでる。水に取ってしめてから、ザルで水気をきる。
(4)皮と具材をタレで和える
ボウルにタレの材料を混ぜ合わせ、餃子の皮と具材を入れて和えたら出来上がり。
――教える人
「尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター」
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之