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親しくなると性的魅力を感じなくなる?「フレイセクシュアル」を専門家が詳しく解説

  • 2024.3.22
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数ヶ月前から体の関係を持っている人がいて、その関係が少しずつ深まってきた。でも、ちょっと気持ちが入ってくると、性的に萎えてしまう。そういう人は思いのほか多いけれど、彼らは決して親密な関係が築けないわけじゃない。

感情的なつながりが生じると性的魅力を感じなくなる人は“フレイセクシュアル”と呼ばれている。このセクシュアリティはアセクシュアル(Ace)スペクトラムの一部で、デミセクシュアル(感情的なつながりがある場合にのみ性的魅力を感じるセクシュアリティ)の真逆と言える。

このセクシュアリティは少し難解なので、あなたの頭には多くの疑問が浮かんでいるはず。フレイセクシュアルの定義とは? どのタイミングでパートナーに対する性的魅力を感じなくなるものなのか? フレイセクシュアルの人と付き合う/体の関係を持つとはどういうことか? フレイセクシュアルの人が恋愛を楽しむことはできるのか?

そこで今回は、フレイセクシュアルというセクシュアリティの特徴と、それが人間関係や性生活に与える影響を専門家が詳しく説明してくれた(最初に言っておくけれど、なにも心配することはないからね!)

フレイセクシュアルとは?

簡潔に説明すると、フレイセクシュアルは、感情的なつながりがないときにだけ性的な魅力を感じることを言う。「フレイセクシュアルの人は、あまり親しくない人に対して性的な魅力を感じます」と説明するのは、認定マスターソーシャルワーカーでセックス・恋愛カウンセラーのレイチェル・クレチェフスキー氏。「要は相手が心安らぐ存在になる前の段階ですね」。でも、フレイセクシュアルの人が感情的なつながりを感じる相手に対して恋愛感情を抱くことは大いにありうる。ちなみに“フレイロマンティック”の人は親しくなりすぎた相手に対して恋愛感情を抱けなくなる一方で、性的な魅力は感じ続ける。

とはいえ、フレイセクシュアルの定義は、その人の認識と見方によって異なる。「フレイセクシュアルを一時的に親密な関係を築くことと捉えている人もいれば、感情的/肉体的な親密さの満ち欠けと捉えている人もいます」と説明するのは、オルタナティブ・ライフスタイル(多数派とは異なるライフスタイル)とセクシュアリティを専門とする心理療法士/コーチ/コンサルタントで認定マスターソーシャルワーカーのタリン・ディール氏。

フレイセクシュアルは特定の性的指向やジェンダーアイデンティティに縛られない。つまり、バイセクシュアルやノンバイナリーの人が自分をフレイセクシュアルと認識することもある。また、フレイセクシュアルの人はモノガミーの可能性もノンモノガミーの可能性もある。

フレイセクシュアルの特徴は?

人間の一生はもともと流動的なので、時間と共にジェンダーアイデンティティ、性的指向、性的な魅力を感じる相手が変わるのは自然なこと。そして、私たちの考え方や認識が常に進化していることを考えれば、時間と共に魅力の感じ方が変わるのも当然とクレチェフスキー氏は考えている。

「フレイセクシュアルな人は、パートナーとの関係が親密で調和したものになってくると性的な魅力を感じなくなります」とクレチェフスキー氏。「その人を愛していないわけでも、その人と一緒にいたくないわけでもありませんが、性的に惹かれることはなくなります」

フレイセクシュアルの人は、初対面の人に対して強い性的魅力を感じることもある。「フレイセクシュアルの人は交際期間が長くなるにつれ、自分がアセクシュアルなのではと考えるようになりますが、初対面の人に対しては性的魅力を感じることに気付きます」

クレチェフスキー氏によると、フレイセクシュアルだからといって恋愛にコミットできないわけじゃない。「フレイセクシュアルの人にも、本格的なコミットメントを伴う長期的な交際をすることは可能です。

フレイセクシュアルはアセクシュアル・スペクトラムのどこに位置する?

Women's Health

まずは、性的魅力の観点から広義のスペクトラムを見ていこう。クレチェフスキー氏によると、すべてのスペクトラムは本質的にバイナリー(二元論)で、すべての認識をカバーできるわけではない。でも、広いスペクトラムの一端にあるのはアセクシュアル(性的魅力を感じないセクシュアリティ)で、もう一端にあるのはアロセクシュアル(従来/通常あるいは半ば通常の性的魅力を感じるセクシュアリティ)。そして、その中間にあるのがグレーセクシュアル(性的魅力の感じ方が常に変化するセクシュアリティ)。

でも、アセクシュアル・スペクトラムは広義のスペクトラムと少し違い、「アセクシュアルの人が性的魅力・欲求を感じる/感じない程度を示しています」とディール氏。そして、このスペクトラムでは、フレイセクシュアルがアセクシュアルとグレーセクシュアルの中間に位置している。

「アセクシュアル・スペクトラムは少なくとも性的魅力と恋愛感情の2層から成っています」とクレチェフスキー氏。フレイセクシュアルの人の中には「性的魅力と恋愛感情が一致している人もいれば、まったく一致していない人もいます」

アセクシュアル・スペクトラムに含まれるセクシュアリティは以下の通り。

デミセクシュアル/デミロマンティック:感情的なつながりがあるときにだけ性的魅力や恋愛感情を抱く人。

グレーセクシュアル/グレーロマンティック:他人に対する性的魅力と恋愛感情をごくまれにしか抱かない人。

クィアプラトニック:性的な関係や恋愛感情を持つことなく、友情よりも深い絆を築くことができる人。

フレイセクシュアル/フレイロマンティック:感情的なつながりがないときにだけ性的魅力や恋愛感情を抱く人。

フレイセクシュアルの人に真剣な恋愛は可能?

もちろん! フレイセクシュアルの人にはモノガミーの恋愛もノンモノガミーの恋愛も可能。「ここでは個人の自己認識とコミュニケーションスキルが重要になります」とクレチェフスキー氏。「フレイセクシュアルの人は自分の性的魅力の感じ方と、それが意味するところをパートナーに伝えなければなりません」

クレチェフスキー氏によると、現実的に考えて、フレイセクシュアルの人にはアセクシュアルの人が合っている(ただし、フレイセクシュアルの人は最初のうちだけセックスを求める可能性がある)。

ポリアモリーでもいいけれど、クレチェフスキー氏はスラプル(3人1組のカップル)というコンセプトに否定的。唯一の例外は、スラプルのうちの2人がアロセクシュアルかデミセクシュアルで、あとの1人がフレイセクシュアルのとき。要するに、すべては個人の状況と認識次第で、パートナーとの密なコミュニケーションが絶対不可欠ということだ。そもそも親密さ=セックスではないので、パートナーに性的魅力を感じなくても、愛に溢れた健全な関係を築くことは100%可能。

「一般的な恋愛トークではセックス、ロマンチシズム、愛が一緒くたにされていますが、何十年もセックスを望むことなく、誰かを深く愛したり、誰かにロマンティックな感情を抱いたりすることは可能です」とクレチェフスキー氏。「同様に、恋愛感情抜きで素晴らしい性生活を送ることも可能です」

フレイセクシュアルのパートナーとの性生活って、どんな感じ?

まずは、セックス、親密さ、官能の違いを理解しよう。「セックスは通常(絶対ではないけれど)肉体的な欲求を表す行為です」とクレチェフスキー氏。「親密さは人が他者と築く感情的な絆です。そして、官能は触れ合いや愛情を通して築く自分自身や自分の体を楽しむことです」

パートナーがフレイセクシュアルの場合は、お互いを尊重し、思いやりながら、お互いにとって無理のない関係性を話し合おう。「私たちに自分以外の人のニーズを満たす責任はありません」とクレチェフスキー氏。「でも、自分のニーズを伝え、お互いにとって可能なことを理解して、そのニーズを満たすために2人の関係性を進化させていく方法を考えるのは個人の義務です」

完全にセックスレスになるとは限らないけれど、フレイセクシュアルの人にはセックスをあまり好まない人や、セックスよりも抱擁やキス、触れ合いを通して官能や親密さを味わいたい人が多い。

フレイセクシュアルだからといって人と親密な関係を築けないわけじゃない?

フレイセクシュアルであることと、人と親密になれないことは全然違う。クレチェフスキー氏によると、親密さは人が自分自身や他者と築く感情的なつながりで、自発的に人と共有したいと思わなければ共有できない。「フレイセクシュアルの人は親密になれないのではなく、いったん親密になるとセックスをしたくなくなるだけです」

フレイセクシュアルは流動的?

流動的。「私たちがオープンかつ自分に正直である限り、どのアイデンティティも流動的です」とクレチェフスキー氏。そのラベルが自分にもう合わないと感じるときは、ラベルを変えてしまえばいい。

フレイセクシュアルのようなラベルがあると、孤独感が和らいで、自分の欲求を自分自身と人に伝えるのも楽になる。「ラベルを使えば、精神的に自分を疲れさせることなく、自分の認識を人に伝えることができます」とクレチェフスキー氏。「ラベルがあるということは、自分と同じ認識の人が他にもいるということです」 ※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。Text: Addison Aloian Translation: Ai Igamoto

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