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【佐藤健・長澤まさみ・森七菜】10年にわたる愛と別れを描いたラブストーリー『四月になれば彼女は』

  • 2024.3.22
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sweet誌面で映画や小説・漫画を毎号紹介している物書き・SYOさんが今月の推し映画を紹介する連載【ものかきSYOがスウィートガールに捧ぐ今月の推し映画】もとうとう18回目。

今回は3月22日(金)より公開する『四月になれば彼女は』。45万部突破のベストセラー恋愛小説が待望の映画化!ということでこの春、誰しもの心にグッと刺さるラブストーリーをご紹介します。

佐藤健・長澤まさみ・森七菜が共演した『四月になれば彼女は』が、3月22日より劇場公開。「それでも人は恋をする」のキャッチコピーが象徴するように、傷つきながらも誰かと寄り添いたいと願う人々の姿を美しい映像と共に描いたラブストーリーだ。

まずは簡単なあらすじを紹介しよう。恋人の弥生(長澤まさみ)との結婚を控えた精神科医・藤代(佐藤健)。しかしある日突然、弥生は姿を消してしまう。時を同じくして、大学時代に付き合っていた恋人・春(森七菜)から手紙が届き……。物語は過去と現在を行き来する形で、藤代をめぐる2人の女性の“秘密”が明かされていく。

大学時代の青い恋、30代になった現実的な恋、大人になったと思っていてもまだまだ未熟で自分のことも恋人のこともちゃんと見えていない――といったような恋愛の様々な側面が描かれていく本作。「幸せになるのが怖い」「独り占めしたい」「本音を打ち明けて嫌われたらどうしよう」等々、愛に憶病になったり、自分でも知らなかった欲望が生まれたり、一番近いはずの恋人を信じきれずに気持ちを隠してしまったり……。ハッピーなだけではなく、恋という事象の前で冷静でいられなくなるある種の痛々しさにも言及されており、甘々だけではないビターさも味わえる。

エスカレーターを上ってくる道中で泣き崩れてしまうシーン等々、佐藤をはじめとするキャスト陣の繊細な感情表現に加え、ボリビアのウユニ湖やチェコのプラハ、アイスランド等で撮影された息をのむような映像美、東京の街並みやインテリアをアーバンに切り取ったセンスのよさ等々、視覚的な“観る喜び”も感じられ、お洒落で綺麗な純度の高い恋愛映画に仕上がっている本作。そんななか、個人的に印象的だったのが“懐かしさ”と“新しさ”だ。

新しさの部分は、米津玄師の「Lemon」、あいみょんの「マリーゴールド」、宇多田ヒカルの「Gold 〜また逢う日まで〜」、サカナクションの「ナイロンの糸」ほか錚々たるMVを手掛け、本作で長編監督デビューを飾った山田智和監督の映像センスに負うところが大きい。古臭さがなく、それでいて主張しすぎず、洗練されて居心地の良い空間を創出している。これは僕の私的な感覚だが、恋愛映画で映像表現が「ダサい」と感じてしまうと一気に冷めてしまうのだが、本作においてはその心配は無用だ。

そうした世界観の中で描かれるのが、王道を丁寧に踏襲したラブストーリー。『世界の中心で、愛をさけぶ』や『余命1ヶ月の花嫁』『君の膵臓をたべたい』といったような東宝恋愛映画のエッセンスが織り込まれ、どこか懐かしさを感じさせる。山田監督や佐藤を含めた30代のクリエイターが、ここに至るまでに通ってきた恋愛映画を踏まえていま、その系譜を意識した新作を作り出したような感覚――。かれらと同世代である僕自身は本作を観ている最中に『セカチュー』のことを思い出して胸がきゅうっとしたし(あの頃のピュアだった自分に一瞬立ち返ったような)、スウィートガールの皆様においても同じような感覚になる方もいるのではないか。もちろんストレートに本作単体で楽しむことも可能だが、夜桜を見て大学時代の初恋を思い出す藤代のように観客が自身の恋愛映画遍歴が蘇る体験は、『四月になれば彼女は』の特徴の一つとして記しておきたい。

四月になれば彼女は

story:精神科医の藤代俊のもとに、かつての恋人である伊予田春から手紙が届く。「天空の鏡」と呼ばれるボリビアのウユニ塩湖から出されたその手紙には、10年前の初恋の記憶がつづられていた。その後も春は、プラハやアイスランドなど世界各地から手紙を送ってくる。その一方で藤代は現在の恋人・坂本弥生との結婚の準備を進めていたが、ある日突然、弥生は姿を消してしまう。春はなぜ手紙を送ってきたのか、そして弥生はどこへ消えたのか、ふたつの謎はやがてつながっていく。

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

text : SYO

web edit : KAREN MIYAZAKI[sweet web]

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