「ファッションの中に何かを伝える声をもつことが夢でした」ドリス・ヴァン・ノッテン、自身のブランドのクリエイティブディレクターから退任することを発表

2024.3.22
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ベルギー人デザイナーは、1986年に自ら設立したブランドのクリエイティブ・ディレクター引退を発表した。6月が最後のコレクション発表となる。

4e57956176522755f5dd57e6fafd635affcacc371a64114cf36f29245bbdcd51.jpeg — 2020-2021年秋冬コレクションで観客に挨拶をするドリス・ヴァン・ノッテン。3月19日、退任を発表した。 (パリ、2020年2月26日） photography : Victor VIRGILE / Gamma-Rapho via Getty Images

3月19日のニュースにファッション界は揺れた。ドリス・ヴァン・ノッテンがドリスヴァンノッテンを去る。6月にパリで開催される2025年春夏メンズコレクションをもってブランドのクリエイティブディレクターを退任することが発表されたのだ。インスタグラムに投じられた本人の声明には次のようにある。

「1980年代初頭、アントワープ出身の若者だった私が描いた夢は、ファッションの中に何かを伝える声をもつことでした。ロンドン、パリ、さらにその先へ私を導いたこの旅を通して、そして数え切れないほどの人々の協力や支えによって、その夢は実現しました。そしてこれからは、これまで時間を割くことのできなかったすべてのことに焦点を移したいと思っています」

ドリス・ヴァン・ノッテンは、新しい世代の才能がブランドに新たなビジョンをもたらしてくれることを願いつつ、以前からこの旅立ちの準備をしていたことを認めている。

©Dries Van Noten (04) - Credit Richard Haines

9月の2025年春夏ウィメンズコレクションについては、長年にわたり非常に緊密に協力してきたスタジオチームが制作すると述べ、チームに全幅の信頼を寄せた。そして「今後適切な時期に、ドリスヴァンノッテンのメンズとウィメンズのストーリーを引き継ぐデザイナーを発表する予定です」とも。退任発表の翌日には早くも悲嘆に暮れるネットユーザーの間で何人かの名前が浮上した。有力視されるのはハイダー・アッカーマン、サラ・バートン、あるいはすでにドリス・ヴァン・ノッテンと一緒に仕事をしているヘヴン・タヌディレージらだ。

38年のキャリア

e8ceb9b6b3a51dd07ac97c256afd891e3224810ed839d0271397f97c56f8dc3a.jpeg — 初の公式ファッションショー、1992-1993年秋冬メンズコレクションでのドリス・ヴァン・ノッテン（パリ、1992年1月）photography : Victor VIRGILE / Gamma-Rapho via Getty Images

デザイナーはプーチ・グループをはじめとした協力者たちに感謝の言葉を述べる前に、「しかしながら、私は自分がとても大切にしているこのメゾンに引き続き関わることになります」と述べてファンを安心させた。だからこれはひとつの幕引きであってお別れではない。アントワープ出身の65歳は、38年のキャリアを通じてファッション界に足跡を残した。

仕立て屋の孫に生まれたドリス・ヴァン・ノッテンは、アントワープ王立美術アカデミーで学び、アン・ドゥムルメステールとともに「アントワープの6人」のひとりとなった。この同窓デザイナー集団は、同世代のマルタン・マルジェラやラフ・シモンズら、多くのデザイナーに影響を与えた。セレブや広告に安易に頼ることは決してしなかった彼は、明確でゆるぎない記憶をファッション界に残すことだろう。繊細な刺繍が施され、さまざまな影響が感じられる独特のテクスチャーや色彩、モチーフの記憶を。