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〈ATLUS〉橋野桂の、思い出のゲーム。『真・女神転生』

  • 2024.3.20
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ゲーム『真・女神転生』

ゲームクリエイター:〈ATLUS〉橋野桂

林田秀一 イラスト
はしの・かつら/1994年にアトラスに入社。『真・女神転生if…』以降開発に関わり、『真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE』のディレクションを手がけた。『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』のディレクションとプロデューサーを兼任。現在『メタファー:リファンタジオ』を開発中。

思い出のゲーム

ゲーム『真・女神転生』
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

Information

ゲーム『真・女神転生』スーパーファミコンパッケージ

真・女神転生(1992)

対応機種:SFC
ナムコのファミコン用ソフト『デジタル・デビル物語 女神転生』『デジタル・デビル物語 女神転生Ⅱ』の流れを汲むRPG。1990年代の吉祥寺を舞台に、善悪や宗教間対立を織り交ぜたダークな世界を描く。悪魔を“仲魔”として使役できる斬新なシステムが話題に。

学びがあるエンタメ。生きるヒントを教わった、自由で多様なゲーム

昔から『ウィザードリィ』や『MOTHER』のような物語性のあるRPGやシミュレーションゲームが好きでした。中でも惹かれたのが、『真・女神転生』。神につくか悪魔につくか、結末はプレイヤー次第という、勧善懲悪でない、当時にしては珍しいゲームでした。社会というのは決めつけが多いけれど、もっと自由かつ多様でいいんだと思わせてくれた。

学びがあり、それでいてエンタメで面白い。そのリッチさにしびれて、アトラスに入ろうと思いました。といっても、自分も『真・女神転生』を作りたい!というのとは少し違って、“あの作品を良しと思って世に出した人たちがいる!”というリスペクトが強かったですね。

ゲームを作る時はゴールから考えます。クリアした時、プレイヤーがどんな気持ちになるとやってよかったと思えるかな、と思いを巡らせる。そして結末を作り、ラストの手前にどんでん返しを置いて、辿り着くための肉付けをしていきます。意味付けも大事です。

『ペルソナ』はユング心理学における、社会上身につける仮面「ペルソナ」がテーマ。僕にはディレクターとしての顔、インタビューを受ける顔、家で家族と過ごす顔と、様々な顔がある。どれが本当の自分かといえば怪しいけれど、でも全部自分じゃないですか。それが生きていく力なんだろうなと思うんです。

制作時、親戚の高校生の悩み相談に乗ったことがあるんですが、親やクラスメイト、バイト仲間くらいしかコミュニティがなくて、チャンネルが少ないなと感じました。僕みたいな日頃ゲームを作っているおじさんが介入するだけでも、新しい顔ができますよね。いろんな人と付き合っていろんな顔を持てば、流されずに済む力が身につくはず。そのことをゲームを通じて伝えられたらと思って「コミュ」や「コープ」といったコミュニティを作るシステムに落とし込みました。

普段からゲームに限らず、アニメや映画、音楽など、世の中で爆発的にムーブメントになっている作品を見るようにしています。『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『VIVANT』。みんなが面白いと夢中になっているものを、自分も同じように思えるか気になってしまう。ゲームも同じように夢中で遊んでほしいし、想像以上のものを感じて、リッチな体験をしてもらいたいですから。

橋野さんの代表作

ゲーム『ペルソナ5』
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

Information

ゲーム『ペルソナ5』PS4パッケージ

ペルソナ5(2016)

対応機種:PS4/PS3
アトラスの人気シリーズ5作目。東京を舞台に「ペルソナ」能力を持つ主人公たちが、昼は学生、夜は怪盗として活躍するRPG。2023年11月にシミュレーションRPGとして『ペルソナ5 タクティカ』が発売予定。

ゲーム『メタファー:リファンタジ』
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

Information

ゲーム『メタファー:リファンタジ』ビジュアル

メタファー:リファンタジオ(2014)

対応機種:PS5/PS4/Xbox/PC
橋野がディレクターを務める、アトラス初の大型ファンタジーRPG。『真・女神転生』でも『ペルソナ』でもない新たな作品として鋭意制作中で、公式サイトでビジュアルが公開されている。2024年に発売予定。

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