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社長「今年は新卒が1人入社してくれた」→愛知県缶メーカーの“尊すぎるOJT研修”に、新卒「楽しく過ごせてる」

  • 2024.4.16
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4月は新しい年度の始まり。現在、新入社員研修真っただ中という会社も多いことでしょう。

石川貴也(@LWITBR1906)さんが、新入社員の迎え入れ方の変化についてX(旧Twitter)に投稿すると、「みんな変わろうとしている」「新しく入ってきた人も嬉しい」と注目を集めています。

新入社員の迎え入れ方はどのように変わったのでしょうか。

注目の投稿がこちら!

これは新入社員の方も嬉しいでしょうね。新入社員を温かく迎えたいという気持ちが伝わります。

石川貴也さんは、愛知県にある明治創業の缶メーカー側島製罐株式会社の代表取締役。既製品からオーダー品までさまざまな缶の製造を請け負っています。

側島製罐さんでは、今年度から研修のやり方をガラリと変えたとのこと。

たしかに一昔前は、「やって覚える」というやり方が多かったかもしれません。これまでの方法を変えるのは簡単なことではないでしょうが、新入社員を思って体制を変えていく姿勢が温かく、素晴らしいですね。

新しい研修制度に対する社員たちの声

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出典:石川貴也(@LWITBR1906)さん

新入社員の迎え方について、社員さんたちに詳しくお伺いしました。

---本年度からやり方が変わったきっかけや、どういった取り組みをしたのか、教えてください。

【2022年入社の社員さん(24歳)】
「私は入社して1年ほどです。入社時は、研修制度がまだ完璧に整備されておらず、業務中に分からないことがあると自分で調べたり、その都度対処していました。しかし、入社した時点で缶の製造のことや業務の流れを更に理解するために、研修制度をもっと改善できるんじゃないかと思ったのがきっかけです」

---具体的にはどのような取り組みをされたのでしょうか?

「私はデザイナーと広報を兼任しているので、資料作成と研修体系の整備を行いました。自分の入社時に知りたかったことを研修内容に盛り込んだり、他部署のスタッフとも交流を深められるように一部研修を輪番制にしたりしました。また、研修に参加していない他のスタッフも、同部署、他部署関係なく新入社員さんと交流できるきっかけになればと思い社内で研修の様子を共有しています」

---営業職の新人研修についてはどうですか?

【2022年入社の社員さん(30歳)】
「これまでは、師匠弟子のように『○○さん流だな』『△△さんの良いところを受け継いでるな』など、歴史のある会社らしい研修体制が素敵だなと思っていました。ただ業界職種未経験の新メンバーも増えている中で、これからチームとして進歩するためには、共通した入門研修体制を整える必要がありました」

---具体的にはどのようにされているのでしょうか?

「人によって差異がない基礎知識の整理、製造~物流までの体験研修、習熟度の見える化などからみんなで手分けして着手しました。まだどんな方法が良いか試行錯誤している段階ですが、最初に確かな基礎知識を身に着けた状態で、安心してこれまでのように先輩たちの技を盗んでいける環境を整えていけたら良いなと思います」

長く働いている従業員の声

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出典:石川貴也(@LWITBR1906)さん

---この変化について、長く働いている従業員さんたちはどんなふうにおっしゃっていますか?

【1990年入社の社員さん(55歳)】
「私自身は30年以上勤務させていただいてますが、今までのやり方に慣れてしまい『こうした方が新入社員にとっていいんでは?今のやり方は伝わりづらいのではないか?』という問いを立てることをしなくなっていました。ここ数年で新しい人が増え問いを立ててくれとても勉強になります。自身もバージョンアップしていきたいですね」

---新しい人たちの意見に耳を傾けるだけでなく、さらに自身をバージョンアップしていくという姿勢が素晴らしいですね。

【1999年入社の社員さん(40歳)】
「私が25年前に入社した時は、今のような新人研修や詳しい会社説明もなく、入社初日から黙々と箱入れ作業などを行いました。私には同期入社が4人いましたが結局残ったのは私1人でした。その後も新卒や中途採用で多くの人が入社されましたが長く続く人はごく一部でした」

---研修制度もその原因の一つだったのでしょうか?

当時から今のような丁寧な説明をして、会社のことを深く理解してから仕事をしていればそれらの状況はかなり違うものになっていたと思います。実際に私も会社全体のことを理解して馴染むのに時間がかかりましたから…」

---貴重な人材が辞めてしまうのはもったいないですね。

「時代は少子高齢化が進み、若く有望な人材を見つけるのが難しくなってきています。せっかく入社しても会社のことがよく分からず辞めていってしまうのは非常に残念なことです。若い力がリーダーとなり、社内一丸となってこの様な取り組みをしていくことは今後の側島製罐の未来をつくるうえで大切なことなので、とても嬉しく思っています」

新入社員の声

---新入社員さんからは、研修に対してどのように思いましたか?

【2024年入社の新入社員さん(34歳)】
「中途で入社したにもかかわらず、社員の皆さんが違和感なく温かく迎えてくれたことを非常に嬉しく感じました

---それは嬉しいですね。研修についてはどうでしたか?

「研修については、研修実行メンバーからは前置きで『あなたの入社タイミングから初めて研修の運用を開始したので、良かった点・改善点、なんでも遠慮なく話して、一緒にブラッシュアップしていきましょう!』と言われたことで、風通しの良さや議論のしやすい組織の土壌を肌で感じられました

---研修内容はどのようなものだったのでしょうか?

「研修では側島が大切にしているMVVについての座談会から、社内の各部署の方の業務についてざっくばらんに質問したり、時には歴史を感じる小話があったりしながら進行し、数日経てばスムーズに側島の一員として溶け込めるような内容でした」

---新入社員にとって嬉しい研修内容ですね。

「今回の研修を受けた実経験の中から良かった点・課題点の情報を整理して、自分発信で次回の研修内容のブラッシュアップにも参入していきたいと思っています」

---さらに次に生かしていくという姿勢が素晴らしいですね。新卒の方にもお話をお伺いしました。

【2024年入社の新入社員さん(18歳)】
「研修内容は、仕事内容の説明や工場の案内をしてもらい、まだ製造の知識がない自分でもとてもわかりやすいものでした。また、会社の長い歴史も感じることができました!最初は、他の部署の人と交流がないと気まずくなってしまうかなと不安がありましたが、研修中に他部署の人とも話す機会が多く、今では楽しく過ごせています!」

---初めての会社で、安心して仕事に取り組めるのはとても良いですね。

変化を遂げた会社に

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出典:石川貴也(@LWITBR1906)さん

こちらの投稿には、次のようなコメントが寄せられました。

こういう会社もありますもんね。みんな模索しているし、みんな変わろうとしている。完全無欠なベストはあり得なくてもベターであろうとする会社は存在する。そういう人や組織との出会いは人生における特典だと思っています。これからの人生でよい「場」と出会えますように。
みなさんのリアクションボタンが温かい…。
これは新しく入ってきたひともうれしいでしょうね

誰でも最初は不安なもの。その不安を少しでも取り除き、仕事に対して前向きになれる研修があるのは有難いことですね。



取材協力:石川貴也(@LWITBR1906)さん