記憶喪失の男（松下洸平）は何者か…金夜ドラマ『9ボーダー』第一話に早速「沼る」人が続出

川口春奈が主演するTBSの金曜ドラマ『9ボーダー』（毎週金曜22時）が4月19日スタート。19歳、29歳、39歳と、各年代のラストイヤー＝「9ボーダー」の3姉妹が、父の突然の失踪を機に一つ屋根の下に集結。「LOVE」「LIFE」「LIMIT」をテーマに、それぞれの年代特有の悩みにぶつかりながら仕事に恋に立ち向かい、幸せになりたいともがきながら人生を前向きに進んでいく姿を描く。『恋はつづくよどこまでも』『着飾る恋には理由があって』などを手掛けた金子ありさ脚本のオリジナルのヒューマンラブストーリーだ。

3姉妹の未来は前途多難？

川口が演じる29歳の主人公・大庭七苗（なな）は仕事ができるしっかり者の次女。しかしキャリアアップによってやりたかった仕事から遠ざかり、恋愛もご無沙汰…。上司からはプレッシャーをかけられ、マイペースな後輩に手を焼き、偶然会った元彼からの「仕事ばっかりじゃ寂しいもんな」という言葉が突き刺さる…。そんなやりきれない毎日で心が疲弊してセンシティブになったり、強がってしまったり、自分の生き方に自問自答する七苗の姿に、男女問わず働き盛りの社会人は共感させられずにはいられないのではないだろうか？ 「食べることしか生きがいが…」とグルメに興じたり、姉妹の前で絞り出した「幸せになりたいな」、幼なじみの高木陽太（木戸大聖）の前で「歳を重ねて自由にやれると思ったけど、どんどんやりたいことが遠くなる感じ」という七苗の本音が、あまりにもリアルで痛切だった。

 

一方、木南晴夏演じる39歳の長女・成澤六月（むつき）は夫の浮気が原因で別居生活を送っているが、夫と復縁したいと思っていた。だが、久しぶりに会った夫から離婚届を渡され、かつ浮気相手が嫌いな女性だったと知り、怒りが収まらない。夫に会うためにオシャレしていた六月の健気な気持ちを思うと、その衝撃は計り知れない。

畑芽育演じる19歳の三女・大庭八海（はつみ）は、ダラダラと目標もなく過ごしている浪人生。マッチングアプリで出会って間もない男性から「交際ゼロ日婚」を申し込まれるといういきなりの展開。だが八海は、3姉妹を良く知る七苗と同い年の酒店の息子・高木陽太を目で追っていて…。その姿が切なく、胸を締め付けられる。

六月の「復縁」、八海の「進路」、七苗の「結婚」。リミットに対して、それぞれが思い通りには進まない状況のなかで、顔を合わせた3姉妹が派手に衝突。「結婚できても、仕事ができても、幸せそうじゃないし、何の希望もない」と姉2人の心をえぐる八海の言葉が、まさにナイフのよう。お互いに家族ならではの“土足”感で相手に本音をぶつけ合う様子が生々しい。同時に、お互いが本音をぶつけ合える健全な関係性であることが尊く感じられた。

記憶喪失の男・コウタロウ、本当は何者なのか？

自分には仕事しかないことにやりきれない思いを抱えた七苗は、ギターの弾き語りをする男性（松下洸平）に遭遇し、まっすぐなラブソングに足を止めて聴き入っていた。立ち去ろうとする七苗の腕をいきなりつかみ、驚いた七苗に「僕のこと知ってますか？」「僕が誰か分かりますか？」と問いかける。

いきなり腕をつかむという不自然な行動には、訳があった。実は1か月ほど前から記憶喪失で、自分がどこの誰だかわからないというのだ。コウタロウと呼ばれる彼は七苗が自分を知る人物だと思って、初対面で七苗を引き留めたのだろうか…。ラストでは「まさか彼にあんな秘密があったなんて…」という七苗の回想もあり、コウタロウが何者なのか今後の展開に注目だ。

七苗とコウタロウの出会いのシーンに、SNSでは「まさかドラマ内で松下さんの歌が聞けると思ってなかった」「優しい歌声が良すぎた」と感嘆の声が飛び出した。歌手活動もしている松下の歌が劇中で聞けることも本作の魅力の一つだといえるだろう。

それぞれの場所で人知れず涙する3姉妹に“愛”が沁みる！

3姉妹の言い争いで心のモヤが濃くなる七苗だが、コウタロウとのお花見で、思わず本音を漏らしながら涙する。以前、「嘘。本当は寂しい？」とコウタロウに聞かれ強がっていた七苗が、「寂しい」という本音を漏らす。普段から、強がり虚勢を張る七苗だけれど、幸せそうに穏やかに生きているコウタロウ相手だからこそ、本音で接することができるのではないだろうか。

今後、七苗とコウタロウ、七苗を気にかけるもいい人止まりの陽太、そんな陽太に淡い恋心を抱く（？）八海、そして浮気夫と別れないと豪語する六月と朔（井之脇海）の関係がどうなるのか？ そして、記憶をなくしたコウタロウが本当は何者なのか、その秘密も気になるところだ。

そして、水たまりに映った満月を愛おしむコウタロウが立ち上がり夜空の満月を見上げる。それを見た七苗が同じように満月を見上げるシーンが、何ともロマンティック。桜の下で「大丈夫。ステキな人だから幸せになるよ、きっと」と七苗の背中を押し、「じゃあ俺のこと、好きになっていいよ」「俺もきっと君を好きになる。そんな気がする」と言うコウタロウの言葉や、七苗の指に1本、2本…と触れてコウタロウが手をつなぐシーンにSNSでも“沼る”という声も多数。

金曜の夜に甘い夢を見られそうな、極上の胸キュンシーンにも期待したい。

---

番組概要：TBS系 金曜ドラマ『9ボーダー』 毎週金曜よる10時

ライター：小松加奈
ライター／編集者。音楽・映画・ドラマ・アニメなどのエンタメ系を中心にインタビュー／レビュー／コラム記事などを手掛ける。

※記事内の情報は執筆時点の情報です