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MINJIが見た、シャネルのサヴォワールフェール。

  • 2024.3.19

シャネルのアンバサダーを務める、NewJeansのMINJI。初めてパリでのオートクチュールのショーに出席し、その感動を語ってくれた。

CHANEL 2024 SPRING & SUMMER HAUTE COUTURE

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オートクチュールコレクションのショー会場にて。レーシーなフレアスカートのセットアップで登場したMINJI。ダブルCのイヤリングもチャーミング!

「パリの街並みが大好き。特にシャネルのブティックやアトリエがあるカンボン通りに行くと、パリにいることを実感できます」とMINJI。「シャネルと一緒に一年間、新しいさまざまなスタイルに触れながら、個人的にもファッションに対する挑戦ができました」。昨年2月にシャネルのビューティ、ファッション、ウォッチ&ジュエリーのアンバサダーに就任した彼女は、2024年1月23日にパリでオートクチュールのショーを初体験した。

会場となったグランパレ・エフェメールのエントランスでは、巨大なハサミがゲストを迎えた。それは、ジャケットの袖口から消えたボタンの行方を追うファンタスティックなショーのティザー「ボタン」に登場する、アトリエのシンボルそのもの。これから始まるショーへの序章を奏でるインスタレーションだ。会場へと歩みを進めると、そこには、天井に大きなロゴ入りのボタンが飾られた円形のステージが広がっている。2024年春夏オートクチュールコレクションのシンボルとなったボタンは、衣服の開け閉めを容易にして、他人の手を借りなくても服の着脱を可能にしたばかりか、身体の動きを解放し、女性たちを文字どおり自由にした存在。それはまさに、ガブリエル・シャネルが女性の衣服にもたらした大きな改革を象徴するディテールだ。

ショーの幕開きは、真っ白なツイード。

招待客が席につき、照明が暗転するとゲストたちのざわめきが止み、壁にティザーが映し出される。やがて、まるで映像からそのまま現れ出たようなタイミングで天井から巨大なボタンが斜めに迫り出してくると、ファーストルックに身を包んだマーガレット・クアリーが姿を現した。ショーの幕開きを告げたのは、真っ白なツイードジャケットにミニスカート、真っ白なタイツを合わせたセットアップ。

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(上)会場デザインは、天井に大きなシャネルのロゴが入ったボタンがポイント。ファーストルックを纏ったのは、バレエダンサーの経験もある、メゾンのアンバサダー、マーガレット・クアリー。ルマリエが制作したラフカラーは、1935年のガブリエル・シャネルのポートレートからのインスパイア。 (中)ブルーやサーモンの淡い色彩がコレクション全体を包む。 (下)円形の会場を歩くフィナーレのモデルたち。

「コレクションごとに再解釈されるツイードの、エレガントでさりげない魅力が好き」ーーーMINJI

「メゾンのシグネチャーはいろいろありますが、シャネルのルックの核となるツイードが真っ先に浮かびます。コレクションごとに再解釈されて生まれ変わるツイードのエレガントでさりげない魅力に惹かれ、ツイードを着るたびにさらに好きになります」とMINJIが言うように、セットアップのほか、ショート丈のカシュクール、チュールの襟やスカートと合わせたルックなど、いくつものツイードの表情がショーの始まりを飾った。

今回のコレクションでティザーと舞台デザインの主役を務めたボタンから、アーティスティックディレクターのヴィルジニー・ヴィアールがさらに連想したのは、自由な身体の動きを象徴するバレエとダンスだった。真っ白なツイードのファーストルックからミニウェディングの白で幕を閉じた全56ルックは、レースやチュールをふんだんにあしらった、軽やかでフレッシュなコレクションだ。

「シャネルはダンス界と友好な関係を築き、衣装も制作しています。身体と衣服が持つ力と優雅さを、チュールやフリル、プリーツ、レースで構成された軽やかで優美なコレクションに集約させようと試みました」とヴィルジニー・ヴィアールは語っている。

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(1)さまざまなメゾン・ダールの手仕事がちりばめられたコレクション。レースの上にペイントを施したトップ。 (2)ボディ部分のドレープのように見える刺繍はモンテックスの仕事。 (3)大輪の花が咲いたようなウールのギピュールレースのコートドレス。「バレエ・リュスの衣装を手がけたレオン・バクストへの想いを込めて」とヴィルジニー・ヴィアール。 (4)パロマによる花刺繍がブラトップを飾る。 (5)優しい色合いの軽やかなドレスたち。 (6)ルサージュのツイードに、チュールのポケットやチュチュをプラス。ツイードのカシュクールもバレエのインスパイア。 (7)ショート丈のジャケットからのぞく白いボディとタイツに、マサロの黒いサンダルが映える。 (8)ガブリエル・シャネルのジャケットを彷彿させる、丸みを帯びた七分袖。スカ―トにはリボンモチーフの刺繍が。

今年は、ガブリエル・シャネルが初めてバレエ「トラン・ブルー」のために衣装をデザインし、その前衛的な衣装デザインで衝撃を与えた年から、ちょうど1世紀目にあたる。ヴィルジニー・ヴィアールは、レオン・バクストが舞台美術を担当し、セルゲイ・ディアギレフが創設したバレエ・リュスに思いを馳せ、白とパウダーピンクで幕を開けた水彩画のような色彩でコレクション全体を包み込んだ。

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(左)スパンコールをちりばめたツイードジャケット。ジュエルボタンの中にはひとつだけダブルCが。(中)トロンプルイユのテーラードドレス。ツイードとチュールのコントラストが新しい表情。(右)トロンプルイユのケープがついたツーピース。襟に花刺繍と羽根があしらわれて。

ピエロのようなチュールのフリル襟、トランスペアレントなミニ丈のストレートスカートやベビードール、チュチュのようにふんわり広がるチュールのスカート。オーガンザに施されたたくさんの花モチーフ。すべてがモデルたちの身体の動きを軽やかに演出する。タイユール(テーラード)とフルー(薄物のドレス)のふたつのオートクチュールアトリエが仕上げる、極上のカッティングと縫製。ルマリエの羽根や小花、ルサージュのツイード、モンテックスの刺繍といった、メゾン・ダール特有のサヴォワールフェールが輝きを添える。1930年代のシューズにインスパイアされたマサロによる黒いヒールサンダルがレトロなテイストを加え、白いタイツのコーディネートからは、バレエダンサーの躍動感が伝わってくる。

初体験のオートクチュールを振り返って。

MINJIの心に残ったのはどのルックだったのだろう?

「思い出に残る服がたくさんありますが、バレエにインスパイアされたコレクションなので、フリルディテールやヘアリボン、柔らかな色使いがとても印象的。最後のウェディングドレスもとてもきれいでした」

初めて体験したオートクチュールのショーで、最高の手仕事を間近に体験したミンジは、最後にこう語ってくれた。

「ディテールの隅々に、アトリエのサヴォワールフェールが感じられました」―――MINJI

「今回のオートクチュールショーは、最初に公開されたティザーからとても興味深く、ショーに込められたストーリーと音楽まで、本当に長く記憶に残るショーでした。ガブリエル・シャネルが自分のためにデザインして始まったオートクチュールだからか、自由なシルエット、すっきりとしたラインがとても印象的。さらに、刺繍のディテール、ボタンの装飾ひとつひとつにもアトリエのサヴォワールフェールと職人技が感じられました。いままでクチュールピースを直接見て体験する機会がなかったのですが、実際にショーを見ながら、各ルックの繊細な生地、そして精巧さを肌で感じることができ、とても楽しかったです!」

●問い合わせ先:シャネル カスタマーケア 0120-525-519(フリーダイヤル)https://www.chanel.com

MINJI/2004年生まれ。2022年に1stミニアルバム『New Jeans』の収録曲「Attention」のMVを公開し、センセーショナルにデビューした5人組グループNewJeansの最年長メンバー。2023年2月より、シャネルのビューティ、ファッション、ウォッチ&ジュエリー部門のアンバサダーを務めている。

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