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「非常時にパニックになったら…」不安で避難をためらう人も…障害があっても安心して過ごせる「日常の延長」“みんなの家”【北海道・安平町】

  • 2024.3.18
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大きな災害の時、避難に特別な配慮が必要な人たちがいます。

中でも精神や発達、知的に障害がある人やその家族は、特有の難しさがあるといいます。

Sitakkeでは、【特集】秋冬の”じぶんごと”防災で、北海道で暮らす私たちの、こころと身体を守るための「防災の知恵」 を考えていきます。

ルーティンができない「非常時」に…

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北海道安平町に住む、青木功士さん(27)。

自宅の農園で採れた卵を、丁寧に磨きます。

ここは母親の明子さんが開く、小さなカフェ。

地域の人たちの場所にもなってほしい。

色々な人に関わってほしい。

そんな思いを込めて明子さんは「みんなの家」と名づけました。

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常連たちが、ゆっくり時間を過ごします。

自閉症や知的障害がある功士さんにとって、日々のルーティンは自分を守る大切なもの。

正午を過ぎたら、お昼ごはんです。

5年前の胆振東部地震。

明子さんは、避難所に行くことは考えなかったといいます。

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功士さんにとって、気持ちを落ち着かせるために必要なのは「部屋でビデオを見る」という行動。

でも、地震の直後はなかなか思うようにできません。

功士さん自身もそのことをわかりながらも、「ルーティン」ができないことへの不安が募ってしまい、大きな声を出してしまったのだといいます。

明子さんはこのときを振り返って「本人がすごく不安定になって、自傷したり他害したりとなると大変なので、そこにも気を遣ってしまう」と話します。

大勢の人がいる場所や環境の変化が苦手な人たちも、安心して避難できる場所がほしい。

防災拠点にもなるコミュニティをつくりたいという安平町の取り組みと、明子さんがクラウドファンディングも募り、生まれたのが「みんなの家」です。

「自分のスペース」を守れる工夫

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布団やランプ、自分のスペースを守る簡易テント、物置には発電機も用意しています。

功士さんとも、みんなが顔見知りです。

明子さんは「日常の延長上に避難して来られる場所があって、関わってくれる人たちがいるということが非常時でも安心できる」とこの場所の大切さを話してくれました。

20年以上、児童発達支援に携わる古川孝士さん。

1月に発生した能登半島地震でも現地入りし、3月も石川県門前町で、まだ機能できていない放課後等デイサービスの支援にあたりました。

普段は、子どもたちそれぞれの発達の課題を解決するためにアプローチしていく古川さんですが、こうした震災のときの支援は違うのだと話します。

「まずは気晴らし発散。『遊ばせる』というのが一番重要」

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災害があるたび被災地に支援に入り、胆振東部地震では、札幌でも炊き出しや遊びを提供しました。

「ぼくらはスピード感とかフットワークのよさがやっぱり一番」

そして、行政と役割を分担し、「協働」するのだといいます。

災害のときも個別のニーズを後回しにしないための、モデルケースになりそうです。

避難できる場所はみんなに必要…できることは

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被災地支援の経験もある精神科医の香山リカさんは、発達障害などがある被災者に対してもまず、「プライバシーが守られる環境づくり」が必要と話します。

また、精神科医などが被災地で支援する場合、「精神」と書かれたゼッケンをつけるケースが一般的。

だけど、「偏見の目で見られるのでは」と不安になり、相談できない人もいると話しています。

香山さんは、精神疾患や発達障害などは特別なことではなく、みんなの問題だという意識を持つことが、「偏見の目」を減らすために必要と指摘します。

地震などの災害は日常の中で、突然起きます。

備えとして、日ごろからの情報交換が大切です。

【特集】秋冬の”じぶんごと”防災

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年3月6日)の情報に基づきます。

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