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ルイ・ヴィトンで10周年、 ニコラ・ジェスキエールによる秋冬コレクション。

  • 2024.3.10

ルーヴル宮殿の中庭に設けられた巨大な透明のテント。その中でルイ・ヴィトンの2024~25年秋冬コレクションが発表されたのは2024年3月5日のこと。アーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエールにとって感慨深いショーとなった。というのも彼によるルイ・ヴィトンの初のプレタポルテコレクションが発表されたのが10年前の同じ3月5日だったからだ。

フィナーレの様子。

メゾンのアンバサダーやフレンド......このアニバーサリー・コレクションのために世界各地から集まった大勢のセレブリティ。ルーヴルの有名なピラミッドの後方に設置された4つのブースで彼らのフォトコールがすすむ間、会場では各シートの上に置かれた真っ白な封筒が4000名の招待客の来場を待っていた。その中に収められていたのはニコラからのメッセージ。10年を振り返り、先を見据えて''今宵は新しい朝''と彼は記している。彼とともにこのショーからまたクリエイションの新たなる革新の旅を続けることになるのだと、我々も居住まいを正してランウェイに目を向けることになる手紙だった。

アーティストのフィリップ・パレーノと、プロダクション兼デザイナーのジェームズ・チンランドによる舞台美術。

63ルックからなるショーは真新しいページを象徴させるような、全身白のコーディネートで開幕。9ルック目に登場したモデルはストレイキッズのフィリックスで、プロのモデルとは異なる独特なオーラを放ち、圧倒的な存在感だった。まるで光り瞬く天体のようなシャンデリアをいただく会場の舞台美術を担当したのはアーティストのフィリップ・パレーノと、プロダクション兼デザイナーのジェームズ・チンランドだ。ショー開始の前はテントの上から会場の様子を撮影するドローンの低い響音と強い照明が、特別な晩であることを強調していた。

ストレイキッズのフィリックス。

ファーストルック(左)とラストルック。

発表されたのは2024~25年秋冬コレクションだが、それは過去10年に渡るファッションの証人でもある特別なコレクションである。ニコラがこの間に蓄積したボキャブラリーの不変性を証明しつつ、全く新しいスタイルがそこから生み出されたのだ。広いショー会場を闊歩するモデルたちがまとったルックは異素材の組み合わせ、ひねり、ハードとソフトやスポーティとドレッシーのコントラストなどが見事で、未来的でありノスタルジーも感じさせ、また洗練されていて大胆で。多数登場したバッグの中には、10年前のファーストコレクションで登場したミニ・トランクのバッグ「プティット・マル」もあった。メゾンのオリジンという点では、古いトランクをプリントしたネオプレンのワンピースのスカート部分がまるでトランクのような角形のフォルムで目を奪われた。そして、大胆な筆致で描かれたタブローのような刺繍を始め、人間の手と知恵だけが生み出せるサヴォワールフェールを守り、発展させていく強い意欲も感じられて・・・パワーに満ちたコレクションを作り上げたニコラを、スタンディングオベーションの嵐が包み込んだ。

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