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キャディが提出する“大変な作業”とは…?米女子ツアーのカメラマンが発見!

  • 2024.3.10

近ごろアテストエリアで、キャディがせっせと何かを紙に書き込む場面をよく目にする。あれはいったい何を書いているのか、に突撃!

キャディが提出する“大変な作業”とは…?米女子ツアーのカメラマンが発見!
記入表は、横軸がホールナンバー。縦軸はTEE、SHOT2、3、4……、PUTTSで、その横には「使用番手」と「打った球が止まったライ」。2打目以降のショットは「残りの距離」「使用番手」「打った球が止まったライ」。パットは「ピンまで距離」を書く。これが毎ラウンドとなるとかなり大変な作業だ

プロの試合は選手がホールアウト後に「アテストエリア」と呼ばれる場所でスコアカードを提出する。それは見慣れた風景だが、米女子ツアーでは、キャディもなにやら書いて提出しているのが気になり調べてみた。キャディたちが書いていたのは「KPMGパフォーマンスインサイト」と呼ばれるデータ表。

毎日ラウンド後に、全ホールの全ショットの使用クラブと飛距離(グリーン上はパットの距離)と、各ショットのライを書き込むという、かなり面倒な作業をしていた。試合中、キャディは距離を調べたり、選手のクラブを拭いたりとさまざまな業務に追われるので、試合中にデータ表を書き込むキャディは少ない。したがって、選手がスコアを提出しているラウンド後の時間に一気に書き込むのだ。

最近では試合中でもレンジファインダー(距離計測器)を使用できるため、かなり正確な数字を把握できる。また、帯同キャディになると、ヤーデージブックの余白に実際に使ったクラブや距離をメモしていることも多い。これは、翌年に同じコースをプレーした際に参考資料として役立つ「プロキャディならではの財産」にもなるので、それを書き移しているキャディもいる。

同じアメリカのツアーでも、男子は「ショットリンク」という計測システムが確立しており、飛距離やボールの位置などが記録され、事細かにデータ化されている(※同システムは使用クラブまではわからない)。これによりツアー中の選手の各種統計データを集計、表示できているが、米女子ツアーにはまだそのシステムは導入されていないため「キャディの申告に頼る」という方法が採用されているのだ。

KPMGパフォーマンスインサイトで集計されたデータの使用目的をLPGAに尋ねてみると、「集計されたデータは、各選手の統計データとしてオンラインで公開され、ラウンド後のインタビューやテレビ放送などに役立っています」とのこと。たしかに、使用クラブや飛距離がわかれば、さまざまな場面で活用できそうだ。

ただ、プレーした2日から4日間、全ショットの情報を書き出すとなると、それだけでかなりの量があるため、多くのキャディには不評。ある程度の回数を重ねることで慣れてきそうだが、はじめて書かされるキャディにとっては大変な作業だ。会計会社であるKPMGがスポンサーとなっていて、提出したキャディには1試合につき70ドルの謝礼が支払われているが「作業量の割に金額が少なすぎる」という声も聞かれる。

今のところ大きなトラブルはない、とツアー側はいうものの、アナログなこの作業、近いうちにデジタル化される?

いかがでしたか? キャディの仕事の一面も、選手たち同様に注目してみてください。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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