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稲田俊輔が解説。明日がわかる「食」の最新時事用語事典

  • 2024.3.10
稲田俊輔が解説。明日がわかる「食」の最新時事用語事典

食の嗜好は保守化のトレンドが進む一方で、個人の専門店はますます先鋭化し、アーティスト性が求められるように。「おうち時間」に変化が起こった家庭料理でも二極化が見られ、“安・楽・旨”が重宝される一方で、趣味的に楽しむ人も。“分断”は食の世界でもキーワードになっている。

スキマバイト

慢性的な人手不足に悩まされている飲食業界で、近年重宝されている就労形態。長期的に雇用契約を結ぶのではなく、飲食店とワーカーにとって都合のよい時間をマッチングして業務を行う。フレキシブルで即時性があり、雇用側の負担も小さいのがメリット。

スキマバイトアプリ「タイミー」は、サービス開始から5年間で急成長しており、優良な店舗、人材ほどウィンウィンの関係を築ける好循環が生まれている。競合サービスが増えるのは必至で、マッチングする仕事内容、職能レベルなども細分化する可能性が。

配膳ロボット

チェーン店を中心に導入が進む、料理を運ぶ配膳ロボット。愛嬌のあるルックスは、ファミレスなどとの相性が良く、人間と違和感なく共存している印象だ。

ただし現時点では、通路幅が一定以上確保されていたり、ある程度の店舗面積がないとメリットを生かしきれないため、導入は中〜大規模店に限られている。よりコンパクトなタイプ、あるいは通路以外の空間も利用可能なタイプなどが登場すると、さらなる普及が見込めるだろう。

ネコ型配膳ロボット、BellaBot
案内、配膳・下げ膳などのサービスを行うネコ型配膳ロボット、BellaBot。©PUDO

懐古的トレンドフード

飲食に対する価値観は、近年コンサバティブに。新しいムーブメントに飛びつくのは40代以降が中心で、若い世代は食に対してむしろ保守的。タピオカやクリームソーダのブーム再来は、その好例といえる。見たことのあるもの、味が想像しやすいものが受け入れられる傾向は続くだろう。

フードテック

代替肉の先進国である欧米は、セレブが積極的に実践するヴィーガニズムへの憧れが根底にあるのに対して、日本の場合は一部置き換えとしての用い方が主流となっているのが大きな違いといえる。動物性タンパク質の旨味が、だし文化として食の基本にある日本において、それらが含まれていない食品への抵抗感は、実のところ欧米以上に強そうだ。

その点で言うと、培養肉の方が受け入れられる可能性は、もしかしたら高いかもしれない。すでに普及しているホタテやウナギのフェイクが、そのモデルケースになっていくのではないだろうか。

培養肉
培養肉は食料危機問題の解決策として、世界中で開発競争が激化している。

profile

稲田俊輔(料理人、飲食店プロデューサー)

いなだ・しゅんすけ/和食、ビストロ、インド料理など、幅広いジャンルの飲食店を展開。近著は『お客さん物語 飲食店の舞台裏と料理人の本音』(新潮新書)。

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