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「結婚は幸せを保証しない」。パートナー選びの最適解は 『婚活1000本ノック』8話

  • 2024.3.9
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ドラマ『婚活1000本ノック』(フジ系)は、お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴が主演し、ダンスボーカルグループ「FANTASTICS from EXILE TRIBE」の八木勇征がバディ役を務める、婚活ラブコメディー。34歳独身・南綾子(福田)の婚活を、幽霊になってしまった山田クソ男(八木)がサポートする。第8話では、綾子と同期デビューの小説家・九本凛(関水渚)が堂島(風間俊介)にプロポーズされる展開に。

結婚か、独身か? 迫られる幸せの選択

山田が成仏(?)してしまい、大失恋した綾子。友人の鳥羽(中越典子)やおけけ(橋本マナミ)、再会した大池(野村周平)たちと食事したあと、パーッと遊びに行く。「私、いま、ちゃんと楽しいかも」と実感する綾子の気持ちに、思わず共感してしまう。

「この人!」と決めた相手と別れることになったり、フラれてしまったり。人間関係の難しさ、面倒さ、やるせなさや虚しさなど諸々の感情をごった煮にしたのが「恋愛」だとするなら、とことん疲弊した末に、すべてを忘れたくなるのも致し方ない。誰かと暮らしていく安心よりも、一人で生きていく楽しさを優先したくなってしまうときもあるだろう。

そんな心の揺れに呼応するかのように、鳥羽の「結婚したからって、一生涯の幸せを保証してくれるわけじゃないからね」というセリフが効く。

そうなのだ、がんばってがんばって婚活をして、晴れて結婚できても、幸福の太鼓判を押されたことにはならない。結婚はある意味、新たな困難のスタートになり得ることだってある。

結婚か、それとも、生涯独身を貫くか。生き方は人の数だけあり、その選択が自分にとっての幸せにつながるかは、本人でさえわからない。仮に結婚して不幸になったとしても、どん底に落ちて後悔したとしても、「この人とならそんな状況さえ楽しめる!」と確信できる相手と結婚するのが、婚活における今のところの最適解なのだろう。

そんな最適解までが、綾子には遠い。誰かと一緒にいたい、と言っていた彼女が、希望通り幸せになってくれますように、と願うことしかできない。

相手を受け止める、大池の「Yes,And」精神

恋人同士や夫婦が、長く円満に関係を続けていくコツは? なんと、まさかの大池からヒントがもたらされた。それは「Yes,And」のコミュニケーションだ。

相手が言っていることがわからない、受け入れられない……そう感じたときでも「最初から排除しない、まずは受け入れる」考え方を指すという。「他人の言動やアイデアを否定したり拒絶したりせず、まずは聞く」ことは、大池の仕事であるデザイナーの大事な心構えらしい。

しかし、これはどんな人間関係にも取り入れたほうがいいはず。家族や友人、恋人同士や夫婦など、近しい関係性ではなおのことだ。

コミュニケーションの齟齬(そご)は、近しい関係だからこそ勃発しやすいように思う。家族なのに、友達なのに、恋人なのに、夫婦なのに……。関係性に名前がついた瞬間から、なぜか「相手の言っていることがわからない」または「自分の言っていることをわかってもらえない」と、とたんにそれを正そうとする心理が生まれてしまう。

どれだけ親密になろうと、付き合いが長かろうと、元は他者。「Yes,And」の精神で、いったんは相手の言うことを受け止める地点から、心地よいコミュニケーションは始まる。

「ピンとくる」現象は本当にある?

もはや都市伝説かと思ってしまうけれども、まことしやかにささやかれるのは、マッチングアプリや婚活イベントなどで知り合った人を一目見た瞬間に「私、この人と結婚するかも」とピンとくる、という説。

第8話は、夜景(そして花火)をバックに、堂島(風間)が九本(関水)にプロポーズするというサプライズで幕を閉じた。この展開は、おそらくほとんどの視聴者が予想できたはず。なぜなら、九本と堂島は明らかに惹かれ合っていたから。風間俊介をキャスティングしておいて再登場なしなのは、もったいなさ過ぎるというのもある。

九本は、わかっていたはずだ。これまで会ってきた相手と、堂島は違う。少なくとも「結婚相談所で知り合った他の男性」とは一線を画す立場にいると、本能で知っていたはず。

つまり、口では「仮交際を断った」と言っていたけれども、どこかで堂島との縁は繋がっていると感じていたに違いない。世にいう「ピンとくる」現象である。

20代後半から30代前半にかけて、驚くくらいに結婚ラッシュが巻き起こる事象は、多くの女性が経験しているところだろう。それと同時に聞こえてくるのが「ピンとくる」現象だ。なんとなく、この人と結婚すると思ったんだよね~、というエピソードは、惚気(のろけ)でもなんでもなく、事実として語られるように思う。

直感や第六感としか言い表せないこの現象をキャッチするには、どうしたらいいのだろう? より多くの相手に会い、アンテナを磨くしかないのだろうか。

綾子も綾子で、山田のサポートを得ながら婚活に邁進(まいしん)してきたが、結局のところ上手くいっていない。それは、彼女の理想が高いから? いや、もしかしたらすでに綾子も、山田に対し「ピンとくる」現象を発動させているのかもしれない。本人が気づいていないだけで。

■北村有のプロフィール
ライター。映画、ドラマのレビュー記事を中心に、役者や監督インタビューなども手がける。休日は映画館かお笑いライブ鑑賞に費やす。

■モコのプロフィール
イラストレーター。ドラマ、俳優さんのファンアートを中心に描いています。 ふだんは商業イラストレーターとして雑誌、web媒体等の仕事をしています。

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