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“カスハラ”被害者は6割超え「使えねえなぁ!」理不尽な実態 背景に社会全体の疲労?

  • 2024.3.8

客が従業員に暴言を吐くなどする「カスタマーハラスメント」。

札幌市が独自の対策に乗り出しています。

Sitakke
「動画で学ぼう『カスタマーハラスメント』」厚労省HPの動画より

「あんたほんと鈍いな、こんなに並んでる。使えねえな!」
(「動画で学ぼう『カスタマーハラスメント』」厚労省HPの動画より)

こんな風に、客や取引先が、立場の優位性を利用し、理不尽なクレームや暴言を吐いたり不当な要求をしたりするカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」。

ココロバランス研究所の島田恭子代表理事は「お客様は神様なんだから、お金を払っているんだから、もっとサービスしろみたいな気持ちが積み重なって、出てきている」と分析します。

いまや深刻な社会問題となっているカスハラの実態を、取材しました。

連載「じぶんごとニュース」

6割が被害…「ボロクソに言われて」

Sitakke

接客業など、さまざまな業種で起きている「カスタマーハラスメント」。

昨年度、北海道内で2541人を対象に行った調査では、およそ6割の人が、カスハラの被害を受けたことがあると回答しました。

マチの人に聞いてみると、こんな体験談が続々…。

医療関係(30代)
「何度もあります。ボロクソに言われて、患者から『じゃあ帰る』『もう二度と来ない!』と言われることもあります」

過去にコールセンターで勤務(40代)
「コロナ禍でなかなか電話がつながりにくい状況だったので、出たとたんに『一体どうなってるんだ!』『コロナなんて理由にならないから』って。同期が10~20人入っても、1か月後に残るのは半分以下になっていた。中には病院に通わないといけない人もいた」## 社会全体が疲れている

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この問題を受け、道議会・自民党道民会議は、会派内にカスハラの防止条例制定に向けた検討部会を設置。

早ければ2024年内の条例制定を目指します。

そして、国も対策に乗り出しています。

厚労省が制作した「カスハラ」の啓発動画を見てみると…

客役の男性が、店員に向かって「「あんた、ほんとに鈍いな。頭悪いんじゃないの。この役立たずが!」と詰め寄ります。

映像では、対応策などを分かりやすく解説しています。

さらに、企業に対して「相談体制の整備」や「対応マニュアルの作成・研修」などを推奨しています。

現代社会に蔓延する「カスハラ」の実態について、ココロバランス研究所の島田恭子代表理事は「SNSの普及や社会全体の疲労」が背景にあると話します。

「コロナ禍、そして、戦争も社会経済も悪くなってきているので、イライラのはけ口みたいなところが、カスハラをより一層顕在化させた」というのです。

カスハラの被害は自治体にも広がっています。

札幌市広報部市民の声を聞く課の谷川晋介係長によると、

「このやろう!」「バカヤロー」「このガキ」

などといった発言を受けることが多いといいます。

窓口対応の職員はほぼ全員被害者

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「慣れているとはいえ、やはり傷つきますし、心理的な圧迫感もあります」と率直な思いを話してくれました。

札幌市が、窓口で対応する職員に行った調査では、職員のほぼ全員がカスハラの被害を受けたことがあり、そのうち7割が「強いストレスを感じている」と回答しました。

これを受けて札幌市は、全国の自治体として初めて独自の啓発ポスターを作成し、去年7月から掲示を始めました。

さらに、電話対応の前には、自動音声で案内をした上で、通話記録を録音しています。

これは効果を上げているようで、市民の声を聞く課の谷川係長によると、「暴言を履いていた人が発言を控えるようになってきた」といいます。

取材した市民の声を聞く課は、4人体制で電話対応や窓口対応など行っていて、長時間のクレーム対応で他の業務に支障が出ていたそうです。

近年はSNSの普及で、匿名で悪質なクレームもあるそうです。

部署内でも1人で抱え込まず、複数の職員でサポートしていく、ということです。

カスハラの迷惑行為をした場合、罪に問われるのでしょうか。

会社も「カスハラ」から従業員を守る必要

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弁護士の須田布美子さんに聞くと、迷惑行為の内容によって、さまざまな犯罪が成立することがわかってきました。

「土下座をさせるようなことがその人の意に反して無理にさせていたとしたら強要罪、頭を押しつけたり蹴ったりしたら暴行罪。それによってケガをさせられたら傷害罪ということにもなりえます」

ほかにも、須田弁護士によると、「被害にあった従業員が会社を訴える場合もある。従業員を守る責任が会社側には求められる」とのことです。

道議会の自民党会派は、カスハラ防止条例の制定に向けて動き出しています。

今後、罰則の有無を含めて議論が進められることになります。

連載「じぶんごとニュース」

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年2月21日)の情報に基づきます。

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