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【今見たいアート案内:3~5月】 マティスから坂本龍一まで、見逃したくない展覧会4選

  • 2024.3.9
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絵画、ガラス、インスタレーションなど幅広く、注目の展覧会が開催中。 『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、今見ておきたいアート&イベントを厳選してご紹介します。

1. マティス 自由なフォルム

■巨匠マティスの切り紙絵に焦点を当てた、日本初の展覧会

左から、アンリ・マティス《ブルー・ヌード IV》1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託) ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez、アンリ・マティス《ザクロのある静物》1947年 油彩/カンヴァス 80.5×60cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

20世紀最大の巨匠のひとり、アンリ・マティス(1869-1954)。さまざまな作品を残したマティスが晩年、精力的に取り組んだ「切り紙絵」に焦点を当てた、日本初の展覧会「マティス 自由なフォルム」が開催中です。

「フォーヴィスム(野獣派)」の中心人物として頭角を現したマティス。後半生は南フランスのニースに移り、大病を患って以降は切り紙絵という新たな表現手法に到達。アシスタントが彩色した紙をハサミで切り抜き、それらを組み合わせることで、いきいきとした構図に仕立てました。1948年からはヴァンスのロザリオ礼拝堂の構想を通じて、巨大な壁画制作という夢を実現。芸術家人生の集大成ともいうべき境地に達しました。

アンリ・マティス《花と果実》1952-1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

本展では、5つのセクションにわけて、約150点の作品を一挙に紹介。フランスにあるニース市マティス美術館が豊富に所蔵する、大型の切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイルなどの作品や資料を見ることができます。

なかでも同館が所蔵する切り紙絵の大作《花と果実》は、本展のためにフランスでの修復を経て、日本で初公開される必見の作品。また、マティスが建築から室内装飾、司祭服までデザインし、最晩年に取り組んだロザリオ礼拝堂が再現され、時間によって変わるステンドグラスの光を体感することができます。

ヴァンスのロザリオ礼拝堂(内観) ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez

色彩とデッサンの関係を模索し続けたマティス。カラフルな色彩で光に満ち、のびのびと流れるような線やフォルムの作品は、見ているだけで元気がもらえそうです。

『マティス 自由なフォルム』   開催中~5月27日(月)/国立新美術館 企画展示室 2E/10:00~18:00 ※金・土は20:00まで、入場は閉館30分前まで/火曜休み(ただし4月30日〈火〉は開館)/一般¥2,200/https://matisse2024.jp

2. ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家

■ガラス食器を画家が描く、アートプロジェクト

三部正博《伊庭靖子のアトリエに佇むガラス食器》2021

スウェーデン在住のガラス作家・山野アンダーソン陽子さんのガラスの器を18人の画家が静物画に描く、「Glass Tableware in Still Life(静物画のなかのガラス食器)」というアートプロジェクトがスタート。

古くから身近なガラスを媒介に、山野さんとさまざまな文化的背景をもつ画家たちが、言葉と想像力を通じた対話を経て作品を制作。

木村彩子《Stem for pink / 7 May》2021

宙吹きならではのわずかな歪みが美しいクリアーガラスの器、画家たちによる静物画、写真家の三部正博さんが画家のアトリエで撮り下ろしたモノクロームの写真などで構成され、空間全体で、アーティストたちの物語を紡ぐような展覧会です。

三部正博《ニクラス・ホルムグレンのアトリエに佇むガラス食器》2022

カール・ハムウド《Still Life With Books and Glass》2021

『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』   開催中~3月24日(日)/東京オペラシティ アートギャラリー/11:00~19:00 ※入場は閉館30分前まで/月曜(ただし祝日の場合は、翌火曜)休館/一般¥1,400/https://www.operacity.jp/ag/

3. 麻布台ヒルズギャラリー開館記念『オラファー・エリアソン展: 相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』

色彩や光、動きを用いた、新たな知覚体験

《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》(部分) 2023年 展示風景:麻布台ヒルズ森 JP タワー オフィスロビー、2023年 撮影:木奥恵三

私たちを取り巻く世界との関わり方に疑問を投げかけ、再考をうながす作品で、世界的に注目されるアーティスト、オラファー・エリアソンさん。

本展では、麻布台ヒルズの開業にあわせて制作された新作のパブリックアート《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》で取り組んだ主題を軸に、新作インスタレーションや水彩絵画、ドローイング、立体作品を通し、線や振る舞い、動きなどのモチーフを探究。光と水を使った大型インスタレーション《瞬間の家》のほか、本展のために制作された新作《呼吸のための空気》など、日本初展示作品15点が紹介されます。

オラファー・エリアソン 《瞬間の家》2010年

また、麻布台ヒルズギャラリーカフェでは、展覧会の会期中限定で、スタジオ・オラファー・エリアソン キッチンとコラボレーションし、東京近郊の食材を使用した特別メニューを考案。スタジオの創作的な家庭料理を楽しみながら、彼らの姿勢や環境に対する考え方に触れることができます。

スタジオ・オラファー・エリアソン キッチンでの昼食の様子(2017年) 撮影:María del Pilar García Ayensa

『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』   開催中~3月31日(日)/麻布台ヒルズギャラリー/10:00~19:00 ※火曜17:00まで、金・土・祝前日は20:00まで。入館は閉館30分前まで/会期中無休/一般¥1,800、《終わりなき研究》体験付きチケット¥2,800/https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/olafureliasson-ex/

4. 坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア

坂本龍一の活動を未来へと受け継ぐ企画展

Photo by Neo Sora ©2022 Kab Inc.

メディア・アート分野においても多大な功績を残した、音楽家・坂本龍一さん。

会場であるICCとは、開館前のプレ活動期間から深い関わりがあった坂本龍一さんの追悼とともに、ライゾマティクスの真鍋大度さんを共同キュレーターに迎え、残された演奏データをもとにした作品や、ダムタイプや李禹煥さんなど、国内外のアーティストによる作品を通して、未来に向けた坂本龍一像を提示します。

毛利悠子《そよぎ またはエコー》 2017年(部分)「札幌国際芸術祭 2017」特別イベント 「After the Echo」での演奏風景 写真:佐々木育弥

Dumb Type + Ryuichi Sakamoto 《Playback 2022》2022/23 年

開催中~3月10日(日)/NTTインターコミュニケーション・センター〔ICC]/11:00~18:00(3/8、3/9、3/10は20:00まで) ※入館は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥800/https://www.ntticc.or.jp/

text & edit:Mayumi Akagi
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