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【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」

  • 2024.3.8

「メシマズ」とは?

「作るメシがマズイ」の意。ネットの世界では「味が極端にマズイ」「見た目も味もひどい」など、激しいものを指すことが多いですが、この連載では「料理歴はそこそこあるのに味が微妙・たまに成功するけれど、だいたいおいしくない」といった意味で使用しています。

【登場人物】

教えてくれるのは…

料理研究家

小田真規子さん

著書やテレビ出演多数! 長年第一線で活躍しているプロ中のプロ。料理初心者にも寄り添ってくれる、手取り足取りなレシピに定評あり。

教わるのは…
エディター オギ

料理歴は大学時代から一応10年以上の独身アラサーエディター。健康や美容に興味はあるが、基本ズボラ。

マンガでわかる「チャーハン」の作り方

【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」

パラパラチャーハンなんて幻! 絶対ベチャッとします

オギ

世の中には「チャーハンをパラパラにするための方法」がいろいろ出回っていますよね。「解凍したごはんを使うといい」とか、「冷やごはんがいい」とか、「卵を先入れ(もしくは後入れ)するといい」とか。


小田先生

それで、パラパラになりましたか?


オギ

それが……一度たりともパラパラしたためしがないんです。「家庭の火力でパラパラにするのは難しい」ってよく聞くので、ベチャッとしてもしょうがないのかな~と半ばあきらめていました。


小田先生

そんなことじゃないかと思って、メシマズさん用のパラパラチャーハンレシピを考えてきました!


*パラパラチャーハン*

【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」

■材料(2人分)
白飯(粗熱を取ったもの):350~400g(茶碗2杯分)
卵:2個
焼き豚(かたまり):80g
長ねぎ:1本(80g)
生しいたけ:4枚
塩:小さじ1/2
サラダ油:大さじ1
ごま油:大さじ2
しょうゆまたはオイスターソース:小さじ1~2

■作り方
焼き豚は1.5cm角に切る。長ねぎは縦四ツ割にし、1cm幅に切る。しいたけは根元の硬い部分を切り落とし、1.5cm角に切る。
大きめのボウルに卵を割りほぐし、ごはんを加えて木べらで切るように混ぜ合わせる。ごはん全体に卵が絡み、色が均一になったら塩2つまみ(分量外)を加えてさっと混ぜる。
フライパンにごま油大さじ2を入れて中火で約2分熱する。焼き豚、長ねぎ、しいたけを広げて1~2分焼き、さらに1分炒める。中央をざっと空けて、卵液ごはんを加える。
ごはんと具材を全体に広げて1~2分焼いたら、木べらでほぐしながらごはんが乾いてパラリとするまで6~7分炒める。
塩小さじ1/2を全体に振り、1分炒める。中央を空けてしょうゆを煮立て、さっと炒め合わせて器に盛る。

べチャッと対策は、具材の選び方から!

小田先生

まずは具材を1~1.5cm角に切っていきましょう。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

もっと細かく切るのかと思っていましたが、意外に大きめサイズなんですね。


小田先生

このくらい大きいほうが、食べごたえが出るんです。今回の具材は、メシマズさん用に「水気が少ない=べチャッとしない」ものを選びました。


オギ

いつもながらメシマズフレンドリーな先生、助かります!


小田先生

玉ねぎは水分が多めなので、長ねぎがおすすめです。


パラパラの秘訣は「卵コーティング」!

小田先生

チャーハンに使用するごはんは「炊きたてで粗熱をとったもの」でも、「温め直したもの」でも、どちらでもOKです。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

冷やごはんはどうでしょう? 「水分が少なくてパラパラしやすい」とネットで見たことがあるのですが。


小田先生

冷やごはんというのは温度が冷えていればいいのか曖昧です。冷蔵庫で冷やしてしまうと具材との温度差があってフライパンの温度が下がりやすいので、炒める時間が長くなり、かえって具材の水分が出やすくなったり、反対に焦げやすくなったりしてしまうので。その代わり、べチャッと対策として、ごはんに「卵コーティング」をします。


オギ

卵コーティング!?


小田先生

説明しますね! しっかりほぐした卵にごはんを加えていきましょう。卵は、卵焼きの回のときのように、菜箸を立ててしっかり混ぜてください。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

しゃもじでごはんに卵液をまんべんなくからめていきます。しゃもじでごはんを切るようにからめていくと、米粒がつぶれず粘りが出るのを防げます。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

火を通す前に、卵をごはん粒をコーティングするんですね。


小田先生

それによって、火を通したときに卵のタンパク質が固まって、コーティングされたごはんがベタつかずパラパラになるんです。卵コーティングには、ごはん1粒1粒の旨みを高める役割もあります。


オギ

もしやアツアツごはんを使ってはいけないのは、卵が熱に触れる時間が増えてしまうからでしょうか?


小田先生

そうなんです。炊きたての状態で卵と混ぜると、すぐに固まってかえってボソボソした食感になってしまうので、ごはんを素手で触っても大丈夫な程度まで、粗熱をとるのを忘れないでくださいね。下味の塩も加えておきましょう。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

よく見たら卵の色が均一! 本当にまんべんなく卵液がごはんにからんでますね。自分で作ったときは、サクッと混ぜただけでこんなに丁寧にはからめていませんでした。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

それだと火通りや食感にムラができてしまいます。1粒1粒に卵液をまとわせるようにしてくださいね。

では、いよいよ炒めていきましょう。ごま油をフライパンに投入します。


オギ

ごま油、こんなにたっぷり入れるんですか!


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

油で卵液ごはんをコーティングすることで熱が入りやすくなるし、効率的に水分が飛ばせるので、よりパラパラになります。


オギ

卵と油のダブルコーティングですね!


小田先生

これで2分ほどフライパンを温めます。パラパラチャーハンを作るには、フライパンの温度を下がらないようにするのがポイントなので、ここはしっかり温めましょう。


「強火でフライパンをあおる」より「中火でじっくり」が最適解!

小田先生

具材を投入してフライパンに広げます。最初の1〜2分はあまりいじらず火を通し、香りを出します。


【チャーハン大成功!】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

チャーハン=スピード勝負だと思っていたので、早く火を通そうといじり回していました。あ、香ばしい香りが漂ってきました!


小田先生

ね、いじらなくても大丈夫でしょ? 香りがしてきたら木べらで混ぜながら炒めます。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

具材全体に油が行き渡ったら、中央をざっと空けて卵液ごはんを投入しましょう。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

全体に広げ、2分ほどいじらず卵液のタンパク質を固めていきます。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

私の失敗ポイントは、卵液ごはんを入れてすぐに具材と混ぜて炒めていたことですね。タンパク質が固まってコーティングされるまで、動かしちゃいけなかったんですね。


小田先生

さあ、いよいよ木べらで底からすくって上下を返し、切るように混ぜながら炒めていきます。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

もうすでにパラリとしてます! フライパンを振って具材を飛び散らせたり、めちゃくちゃ手早く混ぜて疲れ果てたりしていたのは、何だったんでしょう……。


小田先生

フライパンを振ってあおると、家庭のガスの火力だとフライパンの温度が下がってしまうのは、野菜炒めの回でお話しした通りです。


オギ

いじらずに焼く→混ぜるを繰り返すだけで、パラパラチャーハンが作れるなんて、卵コーティングの効果、偉大です! ところで、もう5、6分炒めていますが、けっこう長く炒めるんですね。


小田先生

強火×短時間で炒め上げるのは難易度が高いので、最初から最後まで「中火」で好みのパラパラ具合になるまで、気長に炒めていきましょう。ちょうどいいパラパラ具合になったら、仕上げの味付けをします。まず塩を投入します。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
小田先生

さらにフライパンの中央を空け、しょうゆを投入して煮立てます。


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

チャーハンのしょうゆといえば、鍋肌というか、フライパンの斜面にぐるっとまわしかけるものだと思っていました。


小田先生

フライパンの中央部分も「鍋肌」ですよ。直火にあたっていて確実に熱することができる場所に調味料を入れて焦がすことで、しっかりと味を出すことができます。


オギ

なるほど。「きちんと熱すること」を考えたら、温度が高いフライパンの中央部分の方が確実ですよね。なぜかチャーハンって「プロの作り方のイメージ」が強すぎて、それを踏襲しようとしちゃうんですよねえ。


小田先生

調味料をしっかり炒め合わせて……


【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」

完成!

【理想のチャーハンの作り方】べチャッとしない!パラパラ食感の秘訣は「中火でじっくり」
オギ

パラパラだけど、ちゃんとしっとり感もあって、わが家では食べたことがない仕上がり! 具材もちゃんと食べごたえがあり、満足感がすごいです!


【今回の学び】「思い込み」がすべての失敗のモトでした

チャーハンといえば強火でスピーディに仕上げるもの、フライパンをあおりまくるもの、と思い込んでいましたが、これらすべてが「べチャッと」あるいは「焦げ焦げ」の原因だったとは! 「卵液をよく混ぜる」「フライパンを2分間しっかり温める」という細かな過程にもちゃんと意味があって、それらをすっ飛ばすと失敗するというのもよくわかりました。改めて「レシピに書いてあることをちゃんとやろう」と胸に刻んだ回でした。

次回予告:理想の肉じゃがの作り方

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撮影/国井美奈子 監修/小田真規子 イラスト/大窪史乃 取材・文/伊藤彩子

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