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サラ・ジェシカ・パーカーが語る「子育てとエイジング」

  • 2024.3.8

つい先日、イギリス版ウィメンズヘルスの美容エディターである私は、5歳の娘がとあるポップスターを美しいと思っているのは「おなかが出ていないから」だということを知り、ショックを受けた。そんな話をサラ・ジェシカ・パーカーは本当に心配そうな面持ちで聞いている。一応言っておくけれど、ロンドンの高級ホテルのスイートルームでハリウッドの大スターに子育ての悩みを聞いてもらう予定など、私には当然なかった。

それでもサラは、温かい笑みを浮かべながら本気で役に立ちそうなアドバイスをくれている。「私が親として学んだのは、会話に時効がないということ。だから、昔の会話にはいつでも戻れる」。そう言って、彼女はタイムライン付きのアクションプランを練ってくれた。

「私なら2~3週間待ってから『そういえば、この間、面白いことを言っていたよね。私たちの体型やサイズは1人ひとり違うでしょう? だから私は、その人が何を美しいと思うかに興味があるのよ。みんな何を基準に決めるんだろうね?』みたいなことを言うと思う」

夫マシュー・ブロデリックとの間に双子の娘(マリオンちゃんとタビサちゃん)がいるだけあって、サラは21世紀の複雑な社会を若い女性と生きることに慣れている感じ。

私にも5歳と2歳の娘がいるので、女の子の母親になることの難しさはよく分かる。「少しずつ楽になるんですよね……?」と私が聞くと、サラは足首をキレイにクロスさせたまま身を乗り出してほほ笑んだ。どうやら彼女も、外部のプレッシャーから娘を守るために頭を悩ませることが多いそう。

「いくらSNSの危険性が分かってきたといっても、人と関わり合う中で傷ついたり悪い影響を受けたりすることはいまだにあるから。誰だって友達が欲しいし、自分と他者の共通点をたくさん見つけてつながりを感じたい。でも、その願望には『他の人みたいにならないと』というプレッシャーが付きまとう」

「私の娘たちは聡明であると同時に普通の人間。彼女たちにはできる限りの知識を与えてきたから大丈夫だと思うけれど、あの子たちの価値については、これからもリマインドしていくつもり」

娘たちが親の言葉に耳を貸さないことはない? 「あの子たちに『ママは私の母親だから、そう言うに決まってるよね!』と言われることは多いけれど、私が(娘に自信を与えようとして)言ったことに2人のうちの片方が同意することはあって、そのときは『よし! 自分が粉々になりそうなときも、その自尊心を持ち続けて』と言っている」

サラいわく自分が崩れそうになる瞬間は絶対にやってくる。「娘たちには当然それを乗り越える必要があるわけだから、そのための対処メカニズムを身に付けさせている」。実際、彼女は親として、3人の子供たち(20歳になる息子のジェームスくんを含む)に感情コントロールの重要性を教え込むことを何よりも重視している。

「子供たちには、ブルーのサドルに座り続ける、つまりブルーな気分を引きずることの危険性を説いている。若いうちは特に危険。気持ちが不安定なとき、嫌なことやショックなことがあったときは、その感情の存在を認めてあげるべき」

「私は、その感情を片付けて前に進むために何ができるかを考えることが好き。でも、それは、その感情を忘れたり無かったことにしたりするためじゃない。感情の存在は無視されるべきじゃない」

Women's Health

エイジングの話には心底ウンザリ

子育てに関しては時間を一切惜しまないサラが逆に時間を割きたくないのは、エイジングに関する話。このスタンスは称賛に値する。そもそも私たち女性の価値は外見だけで決められるものじゃないし、こういう話をやめないと、若さや美しさの基準を男性目線で決める傾向もなくならない。とはいえ、エイジングに対するサラの自然な考え方は頻繁にニュースになるので、ちょっとは意見を聞いてみたい。

「私と同年代の男性のほとんどは、エイジングに関する質問を一切受けない。本当に解せない話よね。私たちは無数のタスクに負われながら毎日を頑張って生きている。だから、わざわざ時間を割いてまで老化の話をすることが私には理解できない」

今回のインタビューが成立したのは、ビューティーブランドRoCとサラのパートナーシップのおかげであることを考えると、彼女の意見には少し違和感があるかもしれない(RoCの最新の商品ラインナップ'Correxion'は、肌を滑らかにするレチノールの力に焦点を当てている)。

でも、エイジング関連の話に対する世間の執着と最低限のスキンケアは、彼女の中で全く別物。

「私だって肌の健康を守るためにできることは考える。でも、そのために何時間も何百ドルも使わない。9ステップのスキンケアをする女性は本当にスゴイと思うけれど、私にはそれだけの忍耐力と集中力がないのよね。それにしても理解できない–−時間は誰にとっても貴重なのに、なぜ社会は女性にだけ入念なスキンケアを求めるの?」

サラにとってスキンケアのルーティンは短いほどベター。「撮影中は濃いメイクをするけれど、あれだって私にとっては(人にやってもらっていても)貴重な時間の無駄なのよ。だから私は自分のルーティンをベーシックで効果的なものにしておきたい。その意味でRoCは最高。RoCのマックス・ハイドレーションは保湿力がちょうどよくて重くないから、継続的に使っている」

フェイスパックやピーリング剤、化粧水にはこだわっていないそうで、「出張先でいいホテルに泊まったら、そこに置いてある物を使う」と言って笑った。そして、そこそこのメイク落としが送られてきたら、それをキープしておいて濃いメイクをした撮影後に使うそう。

自分を幸せにするためのスキンケアには大賛成

とはいえ、サラは“アンチエイジング”のスキンケアに本気で取り組む女性や、ボトックス注射などのプチ整形に投資する女性を非難しているわけじゃない。

「美容施術や注射で自分の気分をよくすることには大賛成。自分のしたいことをして、明るい気分で外に出るための手段を見つけるのはいいことだと思う。私自身はやらないというだけで」

この選択には彼女の仕事ー俳優業ーが大きく関わっている(このインタビューが行われたのは映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟SAG-AFTRAによるストライキの真っ最中だったので、『AND JUST LIKE THAT…/セックス・アンド・ザ・シティ新章』のキャリー・ブラッドショー役を含む、サラの俳優としての仕事に関する質問は全カットを余儀なくされた)。

「俳優は感情を表情で伝えるのが仕事だから、私の顔は(自然に)動く必要があるのよ!」と言う彼女の声には憤りとユーモアが混ざっていた。

サラが表情の持つ力を本当に重視していることは、ゴールデングローブ賞を6回、エミー賞を2回、全米映画俳優組合賞を3回受賞していることからも分かるけれど、この話は俳優業で食っていない私たちにとっても、シワは善いものでも悪いものでもなく単なるシワであるということを思い出させるパワフルなリマインダ。

インスピレーションの塊

一般人の予算や時間的な制約をろくに考えることもせず、セルフケアのルーティンをペラペラしゃべるセレブと違って、サラ・ジェシカは沈黙を貫くタイプ。

「ほとんどの女性はシッターがいないだろうし、仕事を掛け持ちしている人もいる。だから、こういう話はあまりしない」

でも、今回は相手が『ウィメンズヘルス』ということで、20年以上通っているヘルスケアサロンの情報を教えてくれた。

「ニューヨークのウェストヴィレッジにリフレクソロジーの小さなサロンがあって、私はそこに息子が生まれる前から通っている。普通の家の下の階段を少し下りたところにあって、椅子も2脚しかないけれど、ここで受ける1時間のセッションが私にとってはすごく大事。それだけで贅沢な気分になれるし、何週間も頑張れる」と笑顔のサラ。「あのサロンは頼りにしている」

このインタビューの中で彼女が明言した通り、サラは女性が老けることに対して世間がああだこうだ言うという話で時間を無駄にしない人。でも、彼女自身の自己表現が年と共にどのように変わってきたか、という質問には喜んで答えてくれた。

「若い頃は、自分に関する人の意見に(服装で)応じようとする傾向が強かったかもしれない。他の人や他の女性みたいになろうとしていた」。でも、いまは?「人を喜ばせるために服装や髪型、メイクを変えるつもりはない」

「誰にでも自分の意見を持つ権利はあるけれど、私の見た目や服装に関するゴシップには興味がない」と彼女は続ける。

「私が気にかけているのは、人と関わり合う中で自分が人に与える印象。自分の立ち振る舞いや人に対する礼儀は、いつも気にかけている」

このインタビューだけで私をメロメロにしたくらいだから、それはもう絶対に大丈夫。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Perdita Nouril Translation: Ai Igamoto

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