1. トップ
  2. 恋愛
  3. #MeTooを越えて 水原希子さんが女性の性や権利について発信する理由。「今言わなければ、きっと一生後悔する」

#MeTooを越えて 水原希子さんが女性の性や権利について発信する理由。「今言わなければ、きっと一生後悔する」

  • 2024.3.8

水原希子さんはモデル、俳優として国内外で活躍しながら女性の性や権利についても積極的に発信してきました。エンタメ業界での性被害が話題になるなか、自身のつらい体験を「#MeToo」として告発し、性的場面の撮影時には「インティマシー・コーディネーター」の導入を提案するなど、その勇気ある行動も注目されています。そうした挑戦の裏側にあった思いや、この時代を女性として生き、歳を重ねていくことなどについて語ってくれました。8日は国際女性デー。

直感に従う生き方がしたい

――水原さんは、女性のセクシャルウェルネスや権利を守ることに積極的に動いていらっしゃいますが、そうした考えを持つようになったきっかけは、何だったのでしょうか?

水原希子さん(以下、水原): やっぱり自分が女性だから、ということが大きいと思います。自分がおかしい、嫌だと感じていることは、多くの女性たちも同じように感じているはずで、それを私が思い切って声に出せば、きっと共感してもらえるという自信がありました。

それに、もうそういう時代が来たから、ということもあると思います。これまで、「こうでなきゃいけない」と、いろんな枠の中に押し込められ、声を出せなかった女性たちが、今はSNSというツールによって、自分の声を直に伝えることができるようになりました。もちろん大変な時代でもありますが、そういう面では、いい時代になったなと感じています。

朝日新聞telling,(テリング)

――「#MeToo」告発は、日本のエンターテインメント業界に大きな波紋を投げかけ、多くの女性に希望を与えました。とはいえ、とても勇気がいることだったのではないかと思います。

水原: 怖かったですね。でも言わない方がもっと怖い。私のなかでは勇気というよりも、“カードがそろってしまった”という感覚があって、「これは言わないといけない」と直感的に思ったというのが大きかったんです。

例えば、あのプロデューサーに対する告発も、それまでずっと嫌な思いを抱えていたけれど、言うきっかけもないし、無理矢理気持ちを収めていたんです。でも、若い女性俳優2人から彼に対する告発があった。彼の素性をよく知っていて、彼女たちと同じ経験をした私が、このタイミングで言わなければ、たぶん一生後悔するだろうなと思ったんです。

そこにちょうど週刊文春から取材の話が来て、“カードがそろった”と感じました。私はいつも、そうした直感を大事にしてきました。だからそのときも、叩かれるんじゃないかとか、嫌な声を浴びるかもしれないとか、怖さはありましたが、自分を信じたんです。そうできた理由には、自分の立場がわかっていたということも大きかったと思います。

――ご自身の立場というのは?

水原: きっと他にもたくさん嫌な思いをした女性たちはいたと思うんです。でも、大手の事務所に所属していたり、身の危険を感じる環境にいたりして、多くを失う可能性がある人が、告発するというのは、すごく大変なこと。その点、私は芸能事務所に入っていませんし、モデルや俳優の仕事以外にも、いろんなことをやっています。たとえ役者の世界から抹殺されたとしても、私にはファッションがあるし、世界という舞台もある。すべてを失うわけではない。 “言える立場”にいる私が言わなきゃ、という思いがありました。

朝日新聞telling,(テリング)

年齢を重ねるほど、自分とも周りとも深くつながれる

――「telling,」の読者層である20代後半から30代の女性たちは、結婚、出産など大きな選択を突きつけられ、悩みを抱えている人もいます。水原さんは今後、女性として、どのような歳の重ね方をしていきたいと考えていらっしゃいますか?

水原: すごくよくわかります。私の場合は、20代はすごくめまぐるしくて、自分の意思とは関係のないところで振り回されて、苦しい思いをすることもたくさんありました。でも、30代になった今思うのは、私にとってはつらいことも必要だったんだということ。いろんな経験を重ねるなかで、私はこれが嫌だとか、好きだとか、私はこういうことで立ち上がれるんだとか、自分自身のことをより知ることができましたし、自分がどんな人になりたいかということも明確になりました。視野や選択肢も広がって、どんどん生きやすくなっていくように感じます。そう考えると、年齢を重ねるって素晴らしいことだなと思うんです。

もちろん年齢とともに体は変化するし、体力的にきついと感じることも増えましたが、だからこそ、ケアをしたときに自分の体が喜ぶ感覚がわかるし、より自分の体や心と深くつながれるようなった気もします。そうすると不思議と周りの人とも深くつながれるようになって、いろんな人やものに対して、感謝や幸せを感じることも増えました。若い頃は目の前にあることが特別だなんて感じられなかったけど、今は「ご飯がおいしい」とか、「自然が気持ちいい」とか、なんでもすごくありがたいんですよね。私は、今の自分が一番好きです。

朝日新聞telling,(テリング)

■秦 レンナのプロフィール
ライターやエディターとして活動。女性の様々な生き方に関心を持ち、日常の中のセルフケアや美容、ウェルネスをテーマに取材・執筆を続ける。また、ファッションやコスメブランドのコピーライティングなども手がけている。

■慎 芝賢のプロフィール
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。

元記事で読む
の記事をもっとみる