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水原希子さん、女性の心と体についての新たな挑戦。コスメブランドをローンチ

  • 2024.3.7

モデルとして、俳優として、国内外で活躍する水原希子さん。自身の体験や考えをもとに女性の心や体、権利について積極的に発信を続けています。このほど、自然派コスメブランド「kiiks(キークス)」をローンチしました。最近では、女性のセルフプレジャーアイテムのアンバサダー就任も話題に。枠にとらわれない姿勢が同世代を中心に多くの支持を集めています。プロダクトに込める思いや、新たな挑戦を続ける水原さんを突き動かすものは何なのか、お話を伺いました。

海に潜るようになって気づいた自然の豊かさ

――コスメブランド「kiiks」を考案されたきっかけは何だったのでしょうか?

水原希子さん(以下、水原): コロナ禍に、スキューバダイビングの免許をとったことがきっかけで、日本各地でダイビングをするようになったんです。いろんな場所に行って、その土地の自然や歴史に触れ、日本にはこんなにも豊かな環境があるのだと改めて気づかされました。

自然との距離が近くなったことで、環境問題についてもより意識するようになりました。例えば、ダイビングをする際にゴーグルに曇り止めの薬品を塗るのですが、それは海に負荷をかけることでもあります。ところが、あるダイバーの方に「この葉っぱをすりつぶして塗ればいい」と教えてもらい、言われるがまま塗ってみたところ、本当に効果があってびっくり。自分の知らない植物や花の持つパワーに触れて、もっと追求してみたいと思ったんです。

朝日新聞telling,(テリング)

――100%自然由来のモノづくりにこだわっているそうですね。

水原: 自然由来のものって、シンプルに心地いいんですよね。でもそれって、私たちが潜在的に持っている感覚だと思うんです。例えば、仕事でケミカルなヘアスプレーをつけた後、ちゃんと洗い流したくなるのは、どこかで「体に良くない」とわかっているからではないでしょうか。

今回kiiksのプロダクト開発を支えてくださった鹿児島県南大隅町の「ボタニカルファクトリー」は、廃校を使った工場で、100%自然の恵みを生かした安全な化粧品をつくっています。私たちは、食べるものには割と気を使うけれど、肌や髪には平気でケミカルなものをつけている。でも、食と同様に、肌から吸収したものは体に影響すると知り、すべて自然由来という点にこだわりたいと思いました。

身近な植物の力に目を向けて、再び伝える

――どんな材料から出来ているのですか?

水原: 商品第一弾となる「ハマナスローズバーム」は、ジャパニーズローズとも呼ばれる日本原産のバラ、ハマナスがキー成分になっています。ビタミンCやタンニンなどのポリフェノールを豊富に含み、抗炎症作用や美肌効果があるといわれ、北海道では、昔からアイヌ民族がハマナスを煎じて薬として飲んでいたそうです。ただ、私が訪ねたハマナス農園のある北海道の浦幌町では、ハマナスはどこにでもある花の一つ。地元の人にとっては身近すぎて、そのパワーも知られていませんでした。

新しい何かを作るということも素敵だけど、kiiksでは、既にあるもの、でもまだ知られていない身近な植物の恵みや力を活かしたもの作りをしたいと考えています。豊かすぎる時代の中で、忘れ去られてしまった自然への尊敬の気持ちや知恵のなかに、サステナビリティを実現するヒントがあると感じます。

朝日新聞telling,(テリング)

――ブランドのロゴなどは縄文時代にインスピレーションを受けているそうですね。そこにはどんな理由があるのでしょうか?

水原: 縄文時代は、人と自然が調和して暮らしていた時代です。日本では最も長く続いた時代だそうで、武器などが見つかっていないことから、1万年以上もの間、大きな争いがなかったのではないかとも言われています。私は、生まれてから戦争やテロなど、争いが常にある世界に生きてきました。だから、人間というものは本能的に争う生き物なんだと思っていたのですが、その話を聞いて、希望を感じたんです。私たちのルーツは、自然と共存する中で続いた「愛に満ちた時代」にある。それをkiiksを通して伝えられたらと思ったんです。

自分の気持ちに素直にいたい

――海外での活動や、ご自身が監修・出演するネット上の番組「キコキカク」のような新たな発信に加え、先日は女性用セルフプレジャーアイテムのアンバサダーも務めるなど、常に枠にとらわれず挑戦し続けています。そのエネルギーの源はどこにあるのでしょうか?

水原: 自分が心地いいと感じることや、面白いと思うこと、本当に100%パッションを持って取り組めるようなことは、必ず周りにも伝わると思っているんです。だから、そうした自分の気持ちにはいつも素直に従うようにしています。今回のkiiksも、植物の力や効能、縄文時代のことを知って、私自身が心からときめいたから、自然と形になっていったという気がします。

私自身、ここ数年は特に、自然にパワーをもらったりヒントを得たりして、改めて自分のエネルギーの源は自然にあるのだと実感しています。忙しい日々の中で、つい忘れてしまいがちですが、私たちは自然の大きな流れの中で、自然に恵みをいただいて、生きているんですよね。今、改めてそこに着目することができたら、私たちの生き方はどんなふうに変化していくのでしょう? すごく興味があります。

朝日新聞telling,(テリング)

■秦 レンナのプロフィール
ライターやエディターとして活動。女性の様々な生き方に関心を持ち、日常の中のセルフケアや美容、ウェルネスをテーマに取材・執筆を続ける。また、ファッションやコスメブランドのコピーライティングなども手がけている。

■慎 芝賢のプロフィール
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。

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