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「伏せ丼」論争…覚えてますか?ラーメン丼を伏せて完食⇒「テーブルが汚れる」と批判され絶滅か

  • 2024.3.6

2010年代半ば、ツイッター(当時)で話題に

「伏せ丼」とは?
「伏せ丼」とは?

かつて、インターネットを中心に「伏せ丼」という“文化”にまつわる議論が巻き起りました。主にラーメン店でラーメンを注文した際、麺や具はもちろんスープまで1滴も残さず飲み干して完食し、「本当においしかった」という感謝の意を表すために空っぽの丼を逆さまに伏せる行動を指す「伏せ丼」。これに対してSNSなどでは議論が百出。近年ほとんど聞かなくなった「伏せ丼」の今を探りました。

※ ※ ※

ワードごとの人気度動向の経年変化を調べられるGoogleトレンドで検索すると、「伏せ丼」という言葉が最も注目を集めたのは今から11年前の2013年2月。一方、X(旧ツイッター)では2015~2017年頃に多くの投稿が見られます。

「おいしいラーメンを提供してくれた店や店主に敬意を表す……そんな文化もあるんや」と驚くユーザーがいる一方で、多くの投稿は「テーブルが油まみれになるやろ。どう考えてもただの迷惑」「ラーメン屋やってるけど伏せ丼なんかされたらブチ切れる」「ラーメンオタクの自己満足では?」と批判的な意見が大半を占めていたもようです。

時代背景…やたら見掛けた「謎マナー」の記憶

SNSでも批判された数々の「謎マナー」とは?
SNSでも批判された数々の「謎マナー」とは?

なぜ「伏せ丼」はツイッター(当時)で注目を集めたのか。当時のネット、SNSなどにおける“時代背景”と併せて振り返ると興味深いものが見えてきます。

ちょうど同じ2025~2018年頃、ツイッター(当時)では謎深いマナーや他者への配慮にまつわる議論が活発に行われていました。

ビジネスシーンでの例でいうと、

・社内決裁の書面にハンコを付くときには、上長の印欄の方へ傾けて押印し“おじぎ”をしているように見せないとマナー違反・取引先など社外の訪問先で出されたお茶を飲むのはマナー違反・ビジネスマンが日焼けし過ぎて真っ黒になっているのは、遊びに精を出しているように見えるのでマナー違反・とっくりの注ぎ口からお酌をするのは、円の切れ目=縁の切れ目を意味するのでマナー違反

などなど、さまざまな謎マナーがまことしやかにささやかれていたのです。

マナーや所作に込められた知られざる意味を知ることは知的好奇心をくすぐられる側面もあった一方で、いつどこで誰が決めてどんなメリットがあるのか全く分からない謎マナーが乱立し、食傷したユーザーたちの多くは「マナー講師が食っていくために次々新しいマナーを作り出しているだけでは」と懐疑的になっていきました。

果てには「マナー違反ネタ大喜利」などと称して、あたかも実在しそうなマナーを列挙し合い楽しむムーブまで巻き起こりました。例えば、「結婚式に服を着ていくことは『福を切る』の意味となり極めて失礼。結婚式へは全裸で出席すべき」といった具合です。

このように過度なマナーを敬遠する風潮と時を前後して知られるようになった「伏せ丼」は、ラーメン店のテーブルを汚し店員に迷惑を掛け兼ねないという実害も相まってツイッター内では基本的に批判の対象となり、次第につぶやかれることもなくなっていきました。

絶滅はしていない?ひそかに生き延びる「伏せ丼」

今もときどき使われているワード「伏せ丼」。そのシチュエーションは?
今もときどき使われているワード「伏せ丼」。そのシチュエーションは?

ただし2024年現在、現Xにおいて「伏せ丼」は完全に絶滅したわけではないようです。

タイムラインを単語検索すると、「伏せ丼レベルでおいしかった!」と主に外食での料理を賛美する比喩として用いられていたり、「それは伏せ丼並みにやっちゃアカンやつ」とNG行動の例として使われていたり、乳幼児やペットの猫がご飯の器をひっくり返してしまった状態を「伏せ丼!」と表現したりと、数は決して多くないものの今も確かに息づいていることが分かります。

良くも悪くもインパクトを残しmネットユーザーらの記憶に刻まれたワード「伏せ丼」。これからも何らかの文脈で人々の前に姿を現し、「生きとったんか!」と懐かしい気持ちにさせてくれる言葉かもしれません。

(LASISA編集部)

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