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今年の岩井千怜プロはひと味違う!? トータルドライビング1位が示す大きな意義とは【国内女子ツアー豆知識】

  • 2024.3.6

国内女子ツアー開幕戦、ダイキンオーキッドレディスでは、岩井千怜プロが大会レコードとなる18アンダーで優勝を飾りました。ツアー通算5勝目ですが、22年以来3シーズン連続での優勝となります。試合のスタッツを見て気になったのが、1位となったトータルドライビングです。実はここに千怜プロの努力が隠されていたのでした。

◆飛んで曲がらないドライバーショット

トータルドライビングとは、ドライビングディスタンスの順位とフェアウェイキープ率の順位を足した数字がポイントとなり、若い数字ほど上位にきます。千怜プロはドライビングディスタンスが247.63ヤードで10位、フェアウェイキープ率が82.1429%で6位でした。合計が16ポイントとなり、2位以下に6ポイント差をつけての1位です。人によっては、「なんだ、ドライビングディスタンスもフェアウェイキープも5位以下じゃないか」と思うかもしれません。しかし、千怜プロがすごいのは、どちらもトップテンに入っていることなんです。

今回、どちらもトップテンに入っていた選手は他にいませんでした。ちなみに、ドライビングディスタンス1位となった穴井詩プロのフェアウェイキープ率は61位、フェアウェイキープ率1位の野澤真央プロのドライビングディスタンスは37位でした。ドライバーの飛距離が伸びれば、それだけ左右に曲がる確率も高くなりますし、フェアウェイキープを心がければ、多少はコンパクトなスイングとなり、飛距離は落ちるでしょう。

要は、飛んで曲がらないドライバーショットを打つのは、ツアープロでも難しいということです。にもかかわらず、千怜プロはどちらもトップテン入りをしたわけです。もちろん、まだ1試合を終えたばかりなので、今回の数字に対する信用度はそれほど高くないかもしれません。ただ、千怜プロが昨年マークしたフェアウェイキープ率は64.1165%(54位)だっただけに、明らかに数字が伸びたことは確かです。一体どのように方向性をアップさせたのでしょうか。

◆想像以上にキツかったトレーニング

千怜プロは今大会ではシーズンオフのトレーニングについて語っていました。「飛距離は分かりませんが、トレーニングで下半身を重点的に鍛えたことで、去年よりもスイングが安定してきたと思います」。安定したスイングとは、常に同じスイングプレーンでクラブを振れるということです。スイングの土台となる下半身がどっしりとしているからでしょう。

「シーズンオフは所属先であるホンダの野球部だけでなく、クラブを契約するヨネックスのバドミントン選手とも一緒にトレーニングを行いました。今までにないキツいトレーニングをしたので、フットワークは強くなっていると思います」。

野球にしても、バドミントンにしても、ゴルフ以上に瞬発力や体力が求められます。当然、練習内容もハードになるため、千怜プロも苦しかったと言います。優勝スピーチの際に涙をこぼしていましたが、その理由の一つにトレーニングがあります。「辛い思いをしながらキツいトレーニングを最後までやり切って良かった、報われた」というホッとした気持ちが涙となったわけです。

キツくても最後までやり遂げようと思ったのは、いろんなモチベーションがあったからです。自分や他人に負けたくない、世界に行って対等に戦いたい、自分を応援してくれる人たちの笑顔を見たい、後悔したくない。今回の優勝ではその思いのいくつかが叶ったように感じられます。やはり、努力は決して裏切らないのでしょう。ひと皮もふた皮もむけた今後の千怜プロは要注目です。

写真/Getty images

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