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韓国プロ野球、ネット中継“有料化”で反発の声「月額550円」「映像二次利用可」でも冷ややかなワケ

  • 2024.3.5

ネット中継の“有料化”が決定した韓国プロ野球KBOリーグで、ファンの激しい反発が続いている。

韓国野球委員会(KBO)は3月4日、「CJ ENMと2024~2026年のKBOリーグ有無線中継放送権契約を締結し、2024年から3年間、韓国国内を代表するOTTサービスのTVINGを通じて有無線中継放送を実施する」とし、韓国プロ野球のネット中継独占事業者がTVINGに決定したことを発表した。

「KBOは公正かつ客観的な事業者選定のため、昨年12月4日から今年1月3日まで、優先交渉対象者選定のための競争入札を実施した」と明らかにしたKBOは、「CJ ENMは今回の契約を通じて、2024~2026年のKBOリーグ全試合の韓国国内有無線中継放送権利とともに、中継放送権を再販売できる独占的権利を保有することになる」と伝えた。

今回の有無線中継放送権契約規模は3年総額1350億ウォン(日本円=約135億円)で、年間450億ウォン(約45億円)に達する韓国国内のプロスポーツ史上最大規模の契約だ。

以前の有無線中継放送権契約(5年総額1100億ウォン=約110億円/年間220億ウォン=約22億円)と比べると、年間の放映権料が2倍以上も増加した。

TVING、KBO
(画像=KBO)
「初月10円イベント」「ファンも映像二次利用可」でも…

KBOにとっては史上最大の成果と見られる超大型契約だが、野球を見るファンの立場では残念な部分がある。

韓国ではこれまで、NAVER(ネイバー)やDaum(ダウム)、Kakao(カカオ)など多様なプラットフォームを通じて、プロ野球を無料で視聴することができた。

しかし、これからはTVINGが独占でネット中継することで、韓国プロ野球を視聴できるプラットフォームが減ることになったからだ。

また、長年“無料”でプロ野球を楽しんできたファンの立場からすれば、ネット中継が有料に転換されることへの拒否感は大きい。

KBOは「CJ ENMはオープン戦が開幕する3月9日から4月30日まで、KBOリーグを無料で視聴できる特別イベントを実施し、該当期間中にTVINGのサービスに会員加入した利用者は、全員が無料でKBOリーグの生中継を視聴できる。また、テレビを通じて中継放送が制作されないオープン戦をCJ ENMで直接制作し、TVINGを通じて中継放送し、野球ファンが応援する球団のオープン戦をすべて視聴できるようにサービスする予定だ」とし、4月まではプロ野球を無料視聴できる点を強調。

「無料イベント期間以降はTVING利用券を購入すれば、KBOリーグのレギュラーシーズンおよびポストシーズン全試合を視聴できる」と、段階的に有料中継に転換されると伝えた。

ファンがTVINGを通じてプロ野球のネット中継を視聴するためには、少なくとも月額5500ウォン(約550円)を支払う必要がある。

KBOは「無料イベント期間後にTVING利用券を購入すれば、KBOリーグのレギュラーシーズンとポストシーズンの全試合を視聴できる。特に、本日(4日)発売される“広告型スタンダード”料金制を通じて、最低価格である月5500ウォンでKBOリーグ全試合を1080P以上の画質で楽しめるのはもちろん、多彩なバラエティやドラマ、映画など16万個以上のコンテンツも視聴できる。特に、KBOリーグ生中継サービスではプレロール広告(動画再生前に挿入される動画広告)を運営しないことにし、野球ファンがより早く試合視聴ができるようにして、視聴経験を増大させる予定だ。生中継サービスを除いた全試合の再視聴、全試合ハイライト、VOD、文字グラフィック中継などのサービスは、TVINGを通じてすべて無料提供される予定だ」と説明した。

TVINGもプロ野球の放映権確保と広告型スタンダード料金制発売に歩調を合わせ、「韓国国内の事業者において初めて低価格型“広告型スタンダード”商品を発売するTVINGは、利用者負担をさらに一段階下げるために100ウォン(約10円)イベントを進行する。今日から4月30日まで、TVING利用券を初めて購読する利用者は“広告型スタンダード”商品を初月100ウォンの価格で利用できる」とし、利用者増加のためのイベントに乗り出した。

高尺スカイドーム
(写真提供=OSEN)高尺スカイドーム

KBOは今回の放映権契約を通じて、これまで多くの議論があった“中継映像の二次利用”も可能になり、ファンの接近性がさらに高まったと強調した。

「今回の契約を通じて、野球を愛するファンの誰もが40秒未満の分量で、試合のショート映像をユーチューブ、インスタグラムなどすべてのソーシャルメディアプラットフォームで自由に活用できるようになった。KBOリーグの試合映像はこの5年間、野球ファンのソーシャルメディアプラットフォームにおいて活用が制限されていた。しかし、今シーズンからは野球ファンが各種“ミーム”と“GIF”を積極的に生産できるように許容される。KBOと各球団はこれを通じて、新規野球ファンの接近性が高まり、ファンの多様な映像活用を通じてコアファン拡大を期待している」という説明だ。

無料に“慣れた”ファンの「拒否感」

それでも、ファンの反応は冷ややかだ。

KBOのホ・グヨン総裁が“普遍的視聴権”を強調してきたため、例え低画質であっても無料中継になるだろうという期待が大きかったためだ。

「プロ野球のスポーツ産業化のためにはやむを得ない選択だ」と理解するファンも少なくないが、大半のファンはプロ野球の有料中継に強い拒否感を感じている状況だ。

有料中継転換によって、韓国プロ野球に対する関心が落ちるだろうという懸念もある。

実際、過去にはリュ・ヒョンジン(36、ハンファ・イーグルス)やチュ・シンス(41、SSGランダース)がメジャーリーグで活躍した頃、テレビやネットで無料中継された時期は大衆の関心も高かった。だが、有料中継に転換された後、一般的なファンの関心度が大きく落ちた事例がある。

そして今回、長年ネット中継サービスを提供してきた各種プラットフォームがすべて中継を中断し、新たにTVINGが中継を担当することになり、安定的な中継サービス提供が可能になるか憂慮する声もある。

快適な環境でネット中継が行われるのか、テレビ中継などとの時間差があまりに大きく広がるのではないかなど、ネット中継環境の変化を心配するファンも多い。

LGツインズ
(写真提供=OSEN)2023年シーズン統合優勝のLGツインズ

KBOは「KBOと10球団もまた、公式ソーシャルメディアチャンネルを通じてKBOリーグの試合場面が含まれた多様なコンテンツをより幅広く制作し、従来は見られなかった楽しさを野球ファンに提供する予定だ。KBOはCJ ENMと中継放送権契約優先交渉を進め、KBOリーグの視聴経験および中継品質の向上とともに、野球ファンがKBOリーグをより多様に楽しめるようにするための多様なサービス協力方案について議論を進めた」として、野球ファンが十分に満足できる中継サービスを提供することを約束した。

KBOとTVINGがファンの反発と憂慮を払しょくさせ、韓国プロ野球のネット中継有料化を無事定着させることができるか、今後の動向に注目が集まる。

(記事提供=OSEN)

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