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「安い外国産使うから取引停止」長年取引してたレストランの二代目オーナーから契約を打ち切られた結果

  • 2024.3.5

去年娘が生まれ、結婚してもうすぐ5年がたとうとしていました。私の義実家は有機野菜を扱う農家で、夫は跡取り息子。農家の嫁は大変そうでしたが、持ち前のコミュ力を義父に見込まれ、営業に挑戦。丹精込めて育てた野菜が売れるとやりがいを感じます。そんな、忙しくも充実した毎日を過ごしていました。

お得意先から電話が!

ある日、わが農家の売上7割を占めている取引先のオーナーから電話がかかってきたのです。彼は人気レストランを3店舗展開していて、全店でうちの野菜を使ってくださるお得意様。つい最近息子さんに代替わりしましたが、取引は継続したいと再契約したばかりでした。ところが……。

「いろいろ考えましたが、お宅とは取引を中止します。もう納品しないでください」

突然の電話でサラッと言われた私は思考が停止し頭が真っ白に。つい先日の再契約は何だったのでしょう? 理由を尋ねると、「もう決まったことだからね」の一点張りで、そのまま電話を切られてしまいました。

1年ごとに話し合って締結する契約を踏みにじり、理由もなく一方的に打ち切るなんて違法行為です。売上激減の危機ももちろんですが、「何かこちらに落ち度があるならできる限り善処したい」と、私は諦めきれませんでした。

その理由とは?

オーナーと直接話をしたかった私は、ひとりでレストランへ。実はこのとき義父は腰を痛めて入院中でした。おまけに多忙な収穫期を迎えており、夫は畑で手一杯。ここは営業を任された私が奮闘しなければ、と覚悟を決めたのです。

レストランに到着すると、慌てたように隠れようとするオーナーをとっつかまえて直訴を開始。「せめて理由を教えてください。改善に向けて尽力します」

するとオーナーはにべもなく言ったのです。

「今どきさ、有機栽培なんて割高なんだよ。虫も多いしすぐに腐る。正直面倒なんだ。改善するって言うんなら、半額以下で卸してよ。できないだろ? うちはもう、あんたのとこの有機野菜は不要。外国産の安い野菜使うから取引停止で」

聞く耳を持たないオーナー

私は冷静を保つよう努めながら、オーナーの言葉に反論しました。「お言葉ですが、虫が付いているのはおいしい証拠です。それでも定期的に管理をしていて虫食いは少ないはず。長持ちするよう収穫時期にも配慮し、納品するまで徹底した品質管理をしています!」

懸命な説明にもかかわらず、オーナーは鼻で笑いました。「農薬がどうのと言う客もいるけど、どうせ食ったってわかりゃしねーだろ」

私は、これがレストラン経営者の言葉かと耳を疑いました。それにメニューにも有機野菜使用と書いてあるのに、そこはどうするつもりなのでしょう。すると彼はヘラヘラしながら豪語したのです。

「うちは有名人気店の看板があるから、今さら野菜を変えたところで気付くやつなんていないよ」

お客様のことをそんなふうに言うなんて、本当に信じられません。「なんてことを!」私は思わず口走っていました。「あなたそれでも食に関わる立場の人ですか?」

「面倒だな……たかが農家が口を出し過ぎだ。もう無関係になるんだし、帰ってくれませんか。とにかく契約解除、話は終わりで」

救世主登場!

うなだれて帰宅すると、納品先を失った野菜が山積みに……。他の取引先は地元のスーパーや個人の八百屋、無人販売機のみ。とてもではないけれど、すべてをさばけそうにありません。

ところがそのとき、私たちの畑に救世主が登場したのです。

「突然すみません、ここが例の畑ですね」と言いながら頭を下げたのは、すてきな老紳士。一体誰かと首をかしげていると、「先日まで私は入院していまして。こちらの農家の方と懇意になり、有機栽培の話を聞いてご自慢の野菜を届けてもらったんだが、新鮮な味に感動しました。ぜひ私の店にも納品していただければと思ってね」

そう、その紳士は、義父が入院先で知り合い意気投合した人でした。おまけに、飲食業界で名だたるレストランとホテルを経営する企業の社長さんなのだとか。そういえば、義父から個人的に野菜のお届けを頼まれたことがあったことを思い出しました。

感謝感激雨嵐の私は、一も二もなく納品の手配を整えました。こうして私たちが丹精込めて育てた野菜は廃棄されることなく出荷され、たくさんの方に食べてもらえたのです。

驚きの結末とは

それからしばらくして……。うちとの取引をやめたオーナーの店は、3店舗とも廃業してしまったのです。家族でテレビを見ていたら、彼のレストランが食品表示法違反で摘発されたというニュースが流れてビックリ。衛生面もひどい状態だったようで調査が入ったそうです。

さらに数年が経過し、今もうちの農家は皆で頑張って良い野菜を作っています。大手の納入先のおかげで収入も安定し、より良い栽培環境を整えることもできました。最近ではとある番組の取材も来て大忙し。義父の腰もすっかり回復して退院し、今は元気にこだわりの野菜を育てています。

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まさに捨てる神あれば拾う神あり。いきなりの契約解除は非常識すぎますが、新たな取引先、それもちゃんと有機野菜の良さを理解してくれる人が見つかってひと安心。何より、新鮮な野菜が無駄にならずに済んで一件落着ですね。

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著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

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