最近よく聞く「コーチング」って何?
自宅で何気なくみていたSNSや動画配信サービス、街中の本屋に立ち寄った時に「コーチング」という言葉を耳にした人は多いのではないでしょうか? 最近では、企業内研修としてコーチングが実施されていたり、SNS上で“コーチ”と名乗る人がいたり、コーチングという言葉が以前に比べ浸透してきているように感じます。
しかし、実は内容がよくわからないままコーチングという言葉を使っている人も少なくありません。本記事では、産業カウンセラーの資格を保有する筆者が、「コーチング」の意義や具体的な進め方について解説します。コーチを選ぶ際のポイントについても紹介しますので、ぜひ最後まで読んで理解を深めた上で実生活にコーチングを活用してみてください♪
【コーチングの意義】 コーチングとは、目標達成に向けてクライアントを導くことを言います。“コーチングを行う側”をコーチ、“コーチングを受ける側”をクライアントと呼びます。スポーツで言えば、何かの技術を習得したり大会で優勝したりといったことを目標として、クライアントである選手を目標達成に向け指導することがコーチングであり、その役目を担うのがコーチです。
コーチングでは、目標達成のためのロードマップを引き、クライアントが今どの段階にいてどう進めば目標達成できるのかということを提示するのがコーチの役目です。こう書くと「コーチがいなくてもクライアント自身が努力できればいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、目標をまだ達成していないクライアントにとって、目標までの道のりは未知の世界であり、どの道をどう進めばよいか自分自身の現状を把握することは難しいものです。第三者であるコーチが道を指し示し、かつクライアントがどの段階にいるかを見せることで、クライアントが道に迷うことなく最短距離で目標達成に向かえることとなります。
「コーチング」と「カウンセリング」の違い
コーチングと似た概念をもつものとして、「カウンセリング」があります。コーチングとカウンセリングはどちらも目標達成に向けたガイドを行うものです。
【それぞれの違い】 コーチング:何かを習得、成績を残すといった目標を達成するためもの カウンセリング:主に悩みの解決を目標とする
カウンセリングは“マイナスをゼロに持っていく”に対して、コーチングは“ゼロをプラスに持っていく”というように表現されますが、イメージ的にはその通りと言えます。
ただし、コーチングとカウンセリングの間に明確な線引きはありません。コーチングを受けて目標達成に向かう中で悩みが出てくれば、クライアントはコーチに相談し協力して悩みの解決にあたります。一方、悩みがありカウンセリングを受けていたクライアントが、悩みを乗り越えて新しい目標を立てて前進しようとする場合、悩みに寄り添っていたカウンセラーがそのまま伴走するケースもあります。コーチングとカウンセリングは、入口の時点では異なるサービスですが、中身は似たようなサービスであると言えます。
コーチングの進め方
【第一ステップ】 コーチングはまず、コーチとクライアントの間で達成したい目標について確認するところから始まります。「技術を得たい」「勝負に勝ちたい」といったように、ざっくりとした目標であれば、そこから「資格に合格できるくらいの技術レベルになりたい」「大会で優勝したい」といった具体的な目標まで落とし込みます。
【第二ステップ】 目標が決まったら、コーチはクライアントの話を聞きながら目標までのロードマップを描きます。コーチ自身にその目標をクリアした経験があればそれを元にしますし、経験がなければ必要に応じて経験者にヒアリングを行ったり、実際に体験してみたりすることもあります。ロードマップができ、クライアントがその内容に納得できれば、クライアントが今どのステップにいるかを確認します。
ロードマップが完成し現在位置が把握できたら、コーチはクライアントにロードマップに沿って日々を進めるよう促します。その後もコーチとクライアントで定期的に状況を確認し、ロードマップのどこにいるのか、ここからどう進めていくか、「何か問題があればどう軌道修正するか?」ということを話し合いながら進めていきます。
以上が、コーチングの大まかな流れです。
こんな“コーチ”には要注意!
コーチングを行うコーチには、国家資格のようなオフィシャルな資格がありません。民間資格は多数存在しますが、資格がなくてもコーチと名乗ればコーチングセッションを実施できてしまうのが現状です。それゆえに、コーチを選ぶ際にはそのコーチの実績や、人としての相性などを鑑みて慎重に選ぶ必要があります。
【“コーチ”を選ぶ際に気を付けたいポイント】 1:気づきを与えて満足していないか 2:クライアントの意見を聞かずに話を進めようとしていないか
上記の2点には注意する必要があります。1の場合、毎回のセッションは気づきが多く満足しがちですが、コーチング期間が終わっても気付きばかりで目標達成ができていない、という結果になってしまいがちです。一方2の場合、ロードマップとしては美しいものが出来上がっていても、クライアント自身がそれに納得していないため、実行が伴っていないパターンです。その結果、やはりコーチング期間が終わっても目標達成に届かないという結果になってしまいます。
【まとめ】 コーチングについて解説してきましたがいかがでしたか? これから実際に依頼をしようと迷っている人に関しては、コーチングの概念をしっかりと理解し、実績を出していて、かつクライアントの話にもしっかり耳を傾けるコーチ選びをしましょう。また、「自身の性格と相性が合いそうか?」話していて安心する、任せられるという感覚も大切だと言えます。目標達成に向けたコーチの選び方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(まっきー)