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大正ロマンを感じる旅館にときめいて。〈旅館 花屋〉

  • 2024.3.5

誰かと一緒に過ごすのはもちろん楽しいけれど、時にはひとりになりたい時間がある。そんな誰もが抱く欲求に、ひとり時間の楽しみ方を提案し、ひとりホテルステイに“沼っている”まろさんが寄り添います。第14回目となる今回は、長野県・上田市の別所温泉にある〈旅館 花屋〉をご紹介。

ひとり時間の楽しい過ごし方を提案するメディア「おひとりさま。」(@ohitorigram)をInstagramを中心に運営。年に200泊以上ひとりホテルステイをし、その圧倒的な経験に基づいた情報発信が人気を博している。原案の漫画『おひとりさまホテル』(新潮社、漫画・マキヒロチ氏)コミックス第3巻が好評発売中。ハナコラボパートナー。

初めてのクラシカルな旅館に、心躍る。

以前にも連載で、〈富士屋ホテル〉でのひとりステイを記事に書いたように、私はすっかり“クラシックホテル沼”にハマっていまして。その中で、どちらかというと洋の要素が強いホテルも素敵だけど、日本の伝統的な旅館にも泊まってみたいなと思うように。
そしてディテールに目を凝らして、ひとりでじっくり堪能してみたい!と、ついに先日、レトロな旅館のひとりステイデビューを果たしました。

デビュー戦”で訪れたのは、長野県・上田市の別所温泉にある〈旅館 花屋〉。大正6年創業、自然豊かな6500坪(!)の敷地に点在する木造建築が棟ごとに渡り廊下で結ばれ、なんとほぼ全館が登録有形文化財指定という由緒ある旅館です。
別所温泉の駅舎から、レトロな温泉街の街並みが広がっているのですが、お宿に着いてすぐ、長い歴史を感じる、味のある木製の看板を見た時には、もう興奮状態。かっこいい!

そして、玄関に足を踏み入れると、こんな光景が。あまりに感動して、靴を脱ぐ前に「ちょっとまずは、ここで写真を撮っていいですか?!」とスタッフさんに食い気味にお願いしてしまう始末。乗っけからこんなテンションで、私の体は保つのだろうか…。笑

そしてチェックインは、こちらのロビーで。そう、実はここの写真を雑誌で見かけて一目惚れし、今回宿泊するに至ったのです。美しい白熱灯のシャンデリアに照らされた空間で広大なお庭を眺めながら、柔らかい色合いのエメラルドグリーンの椅子に腰掛けて…。

なんという、うっとりする幸せなひとり時間!いつもなら、できるだけ早くチェックインの手続きを済ませてお部屋へ行きたいところなのに、このままずっとここにいたいなあと思ってしまうほどでした。

しばし夢のひとときを味わったところで、お部屋へ。お部屋に行くまでには、この渡り廊下を通るのですが、見渡す限り見事な庭園が広がっていて、お風呂に行くたび、お食事に行くたび、毎度この景色に癒されました。少し雪が残っているのも風情があって素敵。

晴れた日には、日差しが優しく差し込む渡り廊下。
お庭には立派な水車まで!

今回私が宿泊したのは、このお宿の中ではコンパクトな、本館の「和室8畳」のお部屋。綺麗にリノベーションされているところがありつつ、創業当時の調度品がところどころ置かれていてきちんと当時の趣も感じられる、とてもバランスの良い空間でした。

鏡台とランプシェードは特にお気に入り。
電話もなんとダイヤル式!

そして写真には写っていないのですが、実は畳にはコタツが置いてありまして。ぬくぬくしながら、お茶とお菓子をいただく至福の時間を過ごせました。しかもお菓子は、信州を代表する銘菓「みすゞ飴」。流石のセンスにあっぱれでした。

お菓子の入れ物、飾り付けも上品で美しい。

大理石のお風呂に、“梁”の食堂…メルヘンな世界に包まれて。

さあ、ひと休みしたら、いよいよお風呂へ。お風呂は、内湯2つと露天風呂1つの計3つの掛け流し温泉。内湯は男女交代制で、まずは、内湯の「若草風呂」に入ることにしました。

湯ざめしにくいと言われている、伊豆石(伊豆若草石)をふんだんに使った、“若草色”の美しいお風呂で、開放感があってとても気持ちよかったです。ランプステンドグラスのデザインが、乙女心をくすぐりますね〜。

提供:旅館 花屋

そして、あっという間に夕ご飯の時間になり、食堂へ。入った瞬間に、この重厚感のある立派な“梁”が出迎えてくれて、お食事中も終始、天井を眺めてうっとりしてしまいました。正直、食堂はノーマークだったのですが、瞬く間にお気に入りの空間になりました。

異国情緒漂う照明もひとつひとつデザインが違います。
(左)立派な木彫りの柱も! (右)こちらは昔バーカウンターとして使われていたそう。

お料理は、旬の食材を楽しめる素朴滋味深い和食の会席料理。追加で頼んだ山菜の天ぷらもとてもおいしく、大満足でした。お部屋によっては部屋食にもできるそうですが、ぜひこの空間はひとりでじっくり細部に至るまで味わっていただきたいです。

満腹になってお部屋でひと休みした後は、深夜に「大理石風呂」へ。ラッキーなことに、なんと私しかおらず、カラフルな大理石ステンドグラスに囲まれて、メルヘンな大正ロマンの世界にじっくり浸ることができました。湯気があることで一層幻想的に見えて、本当にタイムスリップしているかのような感覚でした。

提供:旅館 花屋
※特別に許可を得て浴室内を撮影しています

木立に囲まれた露天風呂も夜に行ったら誰もおらず、星空を眺めながらお湯に浸かることができました。人がいる空間もいいですが、できるだけ人気がない時間を狙って、この素敵なお風呂たちを“独り占め”するの、とってもおすすめです!

※特別に許可を得て撮影しています

そして、冒頭でご紹介したロビーは喫茶室としても営業しているので、朝、湯上がりにコーヒーをゆったりいただく時間も最高に幸せでした。こういう自分だけの楽しみ方を見つけられるひとりステイ、いいですね〜。

チェックアウト後には、スタッフさんによる館内ツアーも!お宿のこれまでのストーリーを聞きながら「これは、そういうことだったのか!」と滞在時に気になっていたことの答え合わせができたり、最近移築されたという武家屋敷の中を見学させていただいたり、とても興味深く、楽しかったです。こうして、悠久のときに思いを馳せながら滞在できるのは、歴史があるお宿ならではですね。

華やかな天井画が印象的な21番の客室。
当時の写真も飾られている。

【HOTEL INFORMATION】

今回宿泊した宿:旅館 花屋
 住所:〒386-1431 長野県上田市別所温泉169
 公式HPhttps://www.hanaya.ne.jp/

まろの編集後記 〜Vol.14のステイを終えて〜

いや〜私は完全に、“クラシックな旅館沼”にハマってしまったようです。ここに手をつけ始めたら、もはやダメじゃないかとすら思っていたのですが、ついに一歩踏み出してしまいました。

実はこの“ひとりデビュー”の前に、箱根の老舗宿友人と一泊したんです。なんとなく、夜の和室が怖いイメージがあって、いきなりひとりというのは勇気が出ず…。それで、いざ泊まってみたら案外いけそうだということが分かり、晴れてデビューするに至ったのでした。

ホテルステイに限った話ではないのですが、「いきなりひとりはなあ…」という時は、まずは誰かを誘ってみるのが、おすすめです!そこで、ひとりで過ごすイメージをぜひ膨らませてみてください。

それでは、HAVE A NICE HITORI HOTEL!

text&photo_Maro

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