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ドイツで出産! 小山遥が体験したへその緒カットやニューボーンフォト、産後ケアなど完全レポート

  • 2024.3.3
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ドイツ・デュッセルドルフ在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお届け。今回はドイツでの妊娠・出産を経験した小山さんに、出産直前直後のお話を綴っていただきました。

何もかもが初めての連続〜忘れられない大切な記憶②〜【フリーアナウンサー小山瑶の海外生活in Germany Epi.30】

ドイツで絶賛子育て中の新米ママですが、月日の流れが早くあっという間に第二弾の時期になりました。第一弾、多くの方に読んでいただきありがとうございました。妊婦生活のわたしの日常の一部を詳しくお伝えしたわけですが、今回はドイツでの出産について、赤裸々に話したいと思います。

臨月前に思い出を。 ドイツならではでフォト撮影

臨月に入ったころ、お腹の大きい姿を思い出に残そうとBabybauch photo(妊婦写真)をデュッセルドルフで撮りました。ドイツ人の方にお願いをして撮影したわけですが(わたしの着用していたワンピースがお腹の分かりづらい服だったため、撮りにくく苦戦したという小話は置いといて……)、Babybauch photoはやってよかったイベントの一つです。私はインスタグラムのDMを通じてお願いをしました。ぜひ海外やドイツで出産される方はBabybauch photoと検索をして、自分たちだけの思い出づくりの参考にしてみてはいかがでしょうか。

お腹の写真をどうしても撮りたく、外でワンピースを持ち上げたら「You are crazy!」と言われてしまいました……(笑)。

出産予定日を超過 6日後に爆誕!

比較的穏やかなトツキトオカを過ごしたわけですが、予定日になってもなかなか娘が産まれてこない……。ドイツでは予定日を超過すると、毎日産院か分娩室(Evangelical Hospital DUS)に行かなくてはなりません。いつ産まれてもおかしくない状況下で病院に通い、予定日6日後についに娘を出産をしました。予定日から出産まで陣痛が来てなかったのか? と言われるとそうではなく、何度か定期的な痛みを伴っていたために分娩室に2度ほど行きました。
 
前回のコラムでもお話しましたが、ドイツでは産院(いわゆる妊婦健診)と、分娩室(実際に出産をする病院)が異なるため、それぞれ予約が必要です。「陣痛かも? と思ったら分娩室に行ってね」というアドバイスを頂いたので、12月5日の15:00ごろ、出産前に足を運んだものの「子宮口が1.5cm開いていない」と言われて自宅に返されてしまいました。それが出産前日のことです。日本であればそのまま入院ということも多いそうですが、わたしの場合は「帰ったほうがいいね!」となり、泣く泣く帰ることに……。
 
そしてその24時間後、娘が誕生します!

産まれるまでのドキュメント 痛みとの長い戦い

自宅に返されたあとは10分に1回、5分に1回、3分に1回のペースでくる痛みの波に耐えながら過ごしていたのですが、また返されては困ると思い、手伝いに来てくれた母と彼と3人で映画『20世紀少年』を観て話しながら、ゆったりすごしていました。痛みの波が頻繁になってきたタイミングで、出産中はお風呂に入れないと思いシャワーを浴びてスッキリした状態で病院に向かうことに。
 
12月6日の16:00過ぎでした。病院に着くと「子宮口5cm開いてます」と言われ、そこからはスムーズにお産に向けての準備が行われました。点滴、無痛分娩の麻酔など、医師や助産師さんが次々と部屋を出入りし、夜中2時を回ったところで産声を聞きました。
 
分娩室にいる間は彼も最初から隣に居てくれました。日本は病院によりますが、産まれてくる直前しか分娩室に入れないことがあるそう。私の場合は分娩室に入ってから産まれるまでずっと一緒でした。お産が長丁場になると見込んでいたため、子宮口が全開大になるまで、母が事前に作ってくれたおにぎりやお菓子、飲み物を持参し、分娩室で食べながら過ごしていました。日本では食事を提供してもらえるそうですが、ドイツではなかったので事前に持ち込むことをお勧めします。

母が持たせてくれたフルーツの盛り合わせ。全て分娩中に食べきりました。

無痛分娩で使用された麻酔薬。

病院の医師に話を聞いたところ、ドイツで出産される人の半数以上が無痛分娩を利用しているそうです。国によって異なりますが、お隣フランスではほとんどの人が無痛分娩を選択するという話も聞いたことがあります。私の場合、麻酔科医がいない場合は自然分娩にもなるという話だったために「どちらで産んでも全て経験だ!」という気持ちで分娩室へ向かい、この日は麻酔科医がいるということで無痛分娩を選択しました。とても混み合っていたので、麻酔科医が来るまでのあいだは薬を服用して痛みと戦いました。

無痛分娩中の私。この2~3時間後に娘が誕生!

娘の生まれた直後の体重測定。タオルの重さも加っての、適当な測り方をされていたようです(笑)。

家族の絆が試される? へその緒切りやボンディング

12月7日の02:35 に娘が誕生し、まずしたことは彼がへその緒をカットするという儀式! ドイツではパパがへその緒をカットするという文化が根付いています。コロナ渦ではママが自身で切る例もあったそうです。へその緒カットの次なる儀式は、カンガルーケア。産まれた直後に数十分、裸同士で抱っこをしました。そしてそのまま初乳を飲ませます。ドイツではこのカンガルーケアから初乳を飲ませることをとても大切にしています。お母さんと赤ちゃんの肌が触れ合うことで、子どもに対して抱く「愛しい」「守ってあげたい」「大事にしたい」などの愛情、絆(bonding)を感じさせるというもの。彼もカンガルーケアを数十分していたと思います。
 
病室に運ばれ、次の日の朝になるまでカンガルーケアをしました。約6時間、抱っこの仕方がわからない私にとってとてもハードな経験でしたが、彼、私、赤ちゃんの絆が深まった気がします。

へその緒を切るための専用ハサミ。

ドイツの入院食 入院中のすごし方

日本であればお祝い膳やデザートプレートなどが出てくると聞きますが、ドイツは一切ありません。ドイツ特有のKaltessen(冷たい食事)が出てきます。このことは入院前から知っていたので、入院中は妊娠中食べられなかったお寿司のテイクアウトや、母に作ってもらったお弁当を毎日持ってきてもらいすごしていました。母の手伝いがなければどうなっていたかと思うと……感謝の気持ちでいっぱいです。

産後一番最初に食べたのは、お寿司。デュッセルドルフの人気寿司店やばせでテイクアウトしました。

朝はパンにヨーグルト、バター、パテ、お茶。

昼は温かいチキンスープ、トマト、ヨーグルト。

夜は少し? 豪華でシュニッツェルとジャガイモ、コールラビのホワイトソース煮込み、ヨーグルト。

産後の疲れ切った身体に堪えたのが、ドイツ流? 母乳スパルタ指導です。産まれてから生後3カ月まで赤ちゃんを母乳で育てることを大事にしているドイツ。初めは母乳を出すことが難しいため、毎日のように助産師さんにマッサージを教えてもらい、搾乳ポンプを使用して母乳をどうにかしてでも出す、ということを要求されます。心が折れかけましたが、これがあったからこそ退院後の母乳育児をスムーズにできたように思います。

搾乳ポンプ。薬局で期間限定で無料貸し出しも行っています。

産院によっては運がよければ、Newborn photoを病院内で撮ってくれるので、産まれたばかりのほやほやの赤ちゃんを記念に残すことができます。比較的安価な値段でプロの方に撮ってもらうことができるので、これもやってよかった一つのことです。娘は撮影中泣いてしまっていたので泣き顔が記念写真に収められてしまいましたが、それはそれでいい思い出になりました。

日時や名前なども写真内に入れてくれるので、世界に1枚だけの特別な写真となりました。

3月、ドイツはイースター休暇があるため、このところの会話には休暇は何をする? どこに旅行に行く? なんて内容が増えてきました。休暇に重きを置くドイツ人たち。私は日本に一時帰国を予定しています。ドイツに住んでいると日本への旅行が海外旅行のように感じます。3カ月になったばかりの娘を連れての初フライトになるので、今からドキドキです。
 
Vielen Dank!

text : HARUKA KOYAMA

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