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【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】「第14回 春の訪れと愛猫そらの誕生日」

  • 2024.3.1

丁寧な暮らしぶりやセンス溢れる素敵な着こなしで人気を集める内田彩仍さん。日々のなかで内田さんが見つけた小さな幸せや、暮らしの工夫をお届けします。少しずつ春の訪れを感じ始めた2月。内田さんはどのように日々を過ごされていたのでしょうか。「明日もいい日になりそう」と、皆さまが穏やかに前を向けますように。

内田彩仍さん Profile

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『幸せな心持ち』(主婦と生活社)など著書多数。 新刊『変えること変わらないこと: 人生後半を機嫌よく過ごせるよう見直した毎日の暮らし』(主婦と生活社)が発売中。

節分が過ぎ、ようやくわが家のまわりでも春の足音を感じるようになりました。いつの間にか庭の水仙が幾つか咲いていたり、2階の窓越しに見える借景の梅が咲き誇って小鳥が集まったり。玄関先で水耕栽培しているムスカリも、小さな白い蕾をつけたかと思ったらあっという間に満開になりました。春の訪れを実感する今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

この2月、私が住んでいる福岡では雨の日がとても多くて、朝起きてカーテンを開けたときに、「今日もまた雨なんだなあ」と思うことが続きました。私は雨も好きなので、愛猫そらと共に雨粒が草木に落ちる外の様子を眺めたり、YouTubeでレイニージャズをセレクトして聴きながら、友人が持ってきてくれた本を読んだり、原稿をノートに書き込んだり。雨にかこつけていつもよりゆったりと過ごしているところです。

日々暮らしながら、「何かしなくては」とついせかせかしてしまう私が、こんなふうにのんびり過ごせたのにはもうひとつ理由があって、実は足の指を骨折してしまいました。
原因は掃除をしていたときにL字型の猫の爪とぎに指が挟まったままつまずいてしまったこと。「絨毯用の掃除機ヘッドにかえなくては」と次の段取りに気を取られて、足もとが見えていなかったのです。骨粗しょう症気味なので安全面を考えて「床には猫の爪とぎ以外は置かない」と決めているのに、その爪とぎにつまずいてしまうなんて、もう何をやっているんだか(笑)。
雨のおかげで毛布などの大物の洗濯をすんなり諦めることができ、庭に植えてある草木の水やりも心配せずに済んだので、私にとっては恵みの雨で「神様ありがとう!」という気持ちになりました。

そんななかですが、わが家の定番の2月の行事といえば、節分とそらの誕生日。節分の豆まきは結婚してから欠かさず続けてきた年中行事のひとつです。悪疫退散と招福を願って行うのですが、私はこの節分という区切りの日の朝に、一年の目標を白い便箋に記すことも長年続けています。書きながら新しい年に向けて何をやりたいかどう過ごしたいか、自分の願いや目標を明確にしておくのです。歳を重ねて気持ちが少し緩んできた暮らしのなかで、頑張り過ぎず心地よく暮らそうと思う指針にもなっています。

毎年便箋の罫線の数に合わせて、12〜13の目標を書いているのですが、今年は13の内容を記しました。家族の健康を願ったり、今年やりたいことを目標に掲げたり。書き進めながら自分では昨年と全く内容が違っている気がして、手製のお守り袋にお守りとともに入れていた昨年の便箋を取り出して見てみると、書いた順番は違えども、ほぼ同じ内容で(笑)。この年になると、目標とすることもさほど変わらないよう。自分でも読みながらなんだか可笑しくてくすくす笑いながら、昨年分はシュレッダーにかけて、今年の分と入れ替えました。
夜には夫と共に豆まきをして、この日の夕食は節分そばならぬ片口鰯で出汁をとった節分うどんに。お腹がいっぱいのなか、歳の数だけ豆を食べようと小皿に分けていると、あまりの量に少しでも香ばしくと思い、福豆を再度フライパンで炒ってから食べることに。毎年食べながら口の中の水分を奪われてしまうから、今年は、コーヒーと福豆のセットにしていただきました。来年の節分は2月2日。節分などの年中行事は、共同作業で進めることが多いから、来年も幸せな気持ちで行えるように、この一年もなるべく喧嘩することなく仲良く健康に過ごせたらと思います(笑)。

もうひとつのイベントが愛猫そらの誕生日。保護猫なので、正確な誕生日はわからないのですが、保護されたときの大きさや歯の生え方などから、2月28日に決めました。偶然にも、いつも写真を撮ってくださっているカメラマンの大森さんの娘さんと同じ誕生日で、最近知ってちょっとうれしい驚きも。
上の画像はわが家に来た頃のそら。こんなに小さかったそらも今年4歳になりました。

そらは遊ぶのが大好き。今は私があまり動けないのでキャットタワーのそばに立って猫じゃらしを使って遊んだり、ラグに座って好きなドラマをチラ見しながら、紐付きおもちゃを投げたり。1時間ほどのドラマが1本終わっても全く疲れ知らずで目を輝かせて続けるのです。「もうやめようよ」とそらに伝えるのですが、やる気満々のそら。わが家の猫はそらで3代目ですが、こんなに飽きもせず全力で遊ぶ子は初めてです。

そんなそらにも弱点があって、それは玄関チャイム。「ピンポ〜ン」と玄関のチャイムが鳴ると、2階のリビングから一目散に1階の寝室まで駆け降りて隠れます。私が玄関先で荷物を受け取ったり、訪れた方が帰られたりすると、「もう誰も居ない?」と言わんばかりに半身だけ出して私の顔を覗き込みます。そのそらの様子がとてもかわいくて、愛おしく眺めながら「そらリビングに行こう」と声をかけると、我先にと駆け上がります。今年もそらが元気で過ごせるように見守っていこうと思います。

今、玄関先に飾っているのは、白いムスカリに合わせて選んだ大ぶりのラナンキュラス。以前、好きな花の名前をあげてみたらほとんどが春の花でした。この時季の生花店には色とりどりの好きな花が幾つも並ぶから、春は花選びが楽しくて仕方ありません。
柔らかな花びらに浅い春を感じつつ、皆さまも私も明日もいい日になりますように。

photograph: Kyoko Omori, Ayano Uchida text: Ayano Uchida
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