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広州の路地裏で見つけた街猫ボックスとは?野良猫に寝床やフードを提供、QRコードで寄付できる仕組みも

  • 2024.2.29

野良猫と地域住民の関わり合い方は国によってさまざま。日本では地域猫活動を進めるケースが増えてきていますが、他の国や地域ではどういった取り組みが行われているのでしょうか。

中国南部の都市・広州で暮らしている日本人のNR(@NR_Guangzhou)さんは先日、下町の古い住宅街にある路地を歩いていると、野良猫のために用意された珍しいスポットを発見。

それが「街猫」と呼ばれる猫専用スペースです。

中国にある猫用フード・お水・寝床を備えた猫専用スペース「街猫」ボックス
実際の写真(提供:NRさん)

ブラウン管テレビをくり抜いたような箱の中で、ゆったりと座って寛いでいる一匹の茶白猫。

その下には猫が少しでも快適に過ごせるようにクッションや毛布などが敷かれているほか、横にある透明なプラスチック容器の中にはキャットフードが、更にその手前にはペットボトルを逆さにした水飲み場もあり、外猫が生きていくために必要な環境が用意されています。

NRさんの話によれば、この箱が置いてある場所は、日本で例えるとお地蔵さんが置いてあるようなちょっとした公共スペース。

以前から野良猫が定着していたために設置したのではないかと思われるそうで、少し奥まった場所にあるため多少の雨風ならしのぐことができそうです。

中国・広州に路地裏に置かれている野良猫専用スペース「街猫ボックス」
奥に見えるのが街猫ボックス

また、箱の上にはQRコードが貼られており、スマホでスキャンすると、決済サービスを通じて猫の餌代を寄付することが可能。住民だけでなく偶然通りがかった人でも、外猫の生活をサポートできるような仕組みになっているようです。

街猫ボックスの寄付用QRコード
寄付用のQRコード

とても素晴らしい取り組みの街猫ボックス。中国でどれくらい普及しているものなのでしょうか。

目撃者のNRさんに聞いてみると「詳しいことは私も分かりませんが、他の方から上海に多いと聞きました。実際この街猫ボックスも上海の会社によるサービスのようでした。因みに広州ではこの1台しか見たことがありません。」と回答。

自身でも初めて見た猫用スペースとのことで、「餌代を簡単に寄付しやすくて良い取り組みだと思いました。」と街猫ボックスへの印象を語る一方、「箱には猫や餌にイタズラをしないよう、厳しい内容の警告ポスターが貼ってあったので、イタズラをかなり警戒しているようです。」ともコメント。

確かに街猫ボックスの右端を見ると、何やら注意書きがされているようです。

街猫ボックスの警告ポスター
警告ポスター

その文字を翻訳してみると、「”街猫”を破損したり撤去した場合には刑事責任を問われる」といった内容が太字で記載されています。実際、過去にはそのような違反行為によって通報されたり逮捕勾留された人がいたようで、その行いや日付が記されているほか、最低罰金が4028元(約8万円)となった事例も明記。このような刑罰が課せられるということは、条例などによって定められている可能性が高そうです。

NRさんが暮らしている広州市は広東省の省都(省政府の所在市)で、1,800万人以上の人口を擁する華南エリアの中心都市。もともとは仕事でやってきたのが住み始めたきっかけで、その後は、日本に帰ったりしながらも15年ほど現地で生活していると言います。

そこで大都市・広州における猫事情について聞いてみると、猫と暮らしている人は室内飼育している人が大半で、若い女性の間では飼うのがブームになっているほど猫は人気のペット。

それでも古い下町を歩くと外猫を見かけることが多く、人間に対する警戒心も少ないため、地域住民の間で可愛がられているような存在なのだとか。

一方で以前はネコ好きな人には受け入れ難い食文化があったようです。

「実は、広州でも20年くらい前には猫の肉を調理するような店がありました。しかし、猫の食用に対する世間の目は非常に厳しく淘汰されましたし、犬食も10年くらい前に淘汰されました。中国のかなり田舎の地域に行くと犬肉はまだひっそりとあります(猫はほぼほぼないと思います)が、大都市ではそのような食文化は認められない状況です。」

今回、広州のことについて色々教えてくれたNRさん。

街猫ボックスに興味を示していることからも察せられるとおり、自身もネコ好きなのだそうで、現在は家庭の事情で飼うことができないけれど、いつか一緒に猫と暮らしたいと願っているのだそう。

インタビューの最後に広州の魅力について聞いてみると、「広州のいい所は地域の古い文化があるところですね。(犬猫食は論外ですが)食事や建物、独特な風習など、中国の他地域にはない特色があり、現地の人はそれに愛着を持っています。逆に深センのような近年発達した都市は、立派ですが文化的な魅力を感じません。」としたうえで、「私はそんな広州が大好きなので、皆さんにも安くて美味しい飲茶を楽しみに来て欲しいですね。」とメッセージを寄せてくれました。

取材協力:NR@中国広州、下町グルメ(@NR_Guangzhou)さん

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