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厚生年金基金が廃止...掛けてきた年金はどうなる?

  • 2024.2.28

厚生年金基金は、会社員のための上乗せ年金の1つとして会社が運用する年金制度ですが、今では新規に設立することができず、事実上廃止されることとなりました。 今回は現在厚生年金基金に加入している人や、昔加入していた人の年金がどうなるのか、その受給方法まで紹介します。

厚生年金基金とは

日本の年金制度の仕組み

日本の年金制度は3階建ての構造になっています。1階部分は国民全員が加入する「国民年金」、2階部分は職業によって上乗せ給付が行われる「厚生年金」です。そして、3階部分の年金は「企業年金」です。 1、2階部分は国が行う「公的年金」と言われているのに対して、3階部分は会社がこの制度を採用していなければ加入することはできません。 ちなみに、「厚生年金基金」は「厚生年金」と名前が似ていますが、3階部分に当たる全く異なる年金です。

厚生年金基金は廃止された?

厚生年金基金が他の企業年金と異なる点は、2階部分の「厚生年金」の給付を一部代行し、プラス会社が独自に上乗せ給付を行っている点です。 しかし、社会情勢の低迷などで、上乗せ給付ができないどころか、代行部分の積立不足まで生じるようになりました。代行部分はそもそも会社員であれば加入しなければならない公的年金なので、会社がこの部分を払えないと公的年金に不平等が生じてしまいます。 このような問題を受け、厚生年金基金の存続の基準が厳しく見直された結果、2014年4月以降は新規に厚生年金基金を設立することができなくなりました。そして、今ある基金は解散するか、多くが確定給付企業年金へ移行されました。

今まで掛けてきた年金はどうなる?

では、これまで厚生年金基金に掛けてきたお金はどうなるのでしょうか。前述の通り、基金は解散するか別の企業年金(確定給付企業年金)に移行されています。 基金が解散した場合は「企業年金連合会」という機関から支給されることになりますし、会社が確定給付企業年金に移行すれば、その企業年金の積立金に回されます。

厚生年金基金の加入状況はどうやって確認する?

厚生年金基金の加入記録は、下記の方法で確認できます。ご自身の加入記録はしっかり把握しましょう。

  • ねんきん定期便で「厚生年金基金」の加入期間を確認する
  • 企業年金連合会の「企業年金記録確認サービス」で確認する
  • 所属していた会社に直接電話などで確認する

受給には特別な手続きが必要…!

現在勤めている会社の厚生年金基金が解散したり、過去転職により厚生年金基金を脱退したりした場合、特別な手続きが必要なのでしょうか?

1:厚生年金基金が解散したケース

厚生年金基金が解散した場合は、年金資産を引き継いだ先がどこになるかで受け取り方が変わります。 平成26年3月31日以前に解散した基金は、基本的に企業年金連合会へ引き継がれています。平成26年4月1日以降に解散していた場合は、企業年金連合会または国のどちらかに引き継がれています。

勤務している会社が、厚生年金基金を解散して新たな年金制度に移行している場合は、厚生年金基金の加入記録は引き継がれますので特に手続きは必要ありません。

2:厚生年金基金を脱退したケース

平成26年3月31日までに転職などを理由に厚生年金基金を脱退した場合、企業年金連合会から支給されます。年金を受給するためには、企業年金連合会への問い合わせが必要です。

もらえる年金を把握するためにもしっかり確認を

厚生年金基金は一昔前まで人気の企業年金でしたが、今は実質的に廃止されました。ずっと同じ会社にいる方であれば、基金が解散したとしても、手続きなどの説明があるので心配は不要ですが、転職などで過去の年金が不明な方は、一度前の会社などに確認しておくことをおすすめします。また、「企業年金連合会」から通知が届いた時は、身に覚えがないと思わずに、しっかり対応するようにしましょう。

文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー) 新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。

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