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三浦大知さん「好奇心が刺激されて毎日が楽しくなる音楽」/アルバム『OVER』インタビュー

  • 2024.2.27

圧倒的なボーカル力と、華麗なダンス・パフォーマンスで、日本中を魅了させているエンターテイナー、三浦大知さん。実に7年ぶりとなるオリジナル・アルバム『OVER』は、さまざまな枠を<超えて>さらに進化する姿を表現した内容。そのアルバムに込めた思い、またステージ上では伝わらない普段の暮らしぶりもうかがいました。

今の自分を<超える>アルバム『OVER』

━━実に7年ぶりとなるオリジナル・アルバム『OVER』は、全曲この作品のために書き下ろされたものばかりですね。

ありがたいことに、この7年間でいろんな活動をさせていただいて、その時々に出会った方たちと1曲ずつクリエイティブなことをさせていただきました。ただ、それらを全部入れるとなると、アルバムというよりかはシングル・コレクション的な作品になってしまうなって。アルバム1枚として聴いて、楽しんでいただくためには、一新する必要があるだろうと思い、先にシングル・コレクションを発表してから、まったく新しい楽曲のみで構成しようと思いました。

━━そうすると、アルバム全体にテーマがあるのですか?

テーマみたいなものは、そこまでなくて。自分を含むチームがいま興味のあること、好奇心が刺激されるようなこと。また、今の自分たちを超えていく、つまり<オーバー>していくものを10曲すべてで表現するという気持ちで取り組みました。なので、どの楽曲にも、自然と一貫性がでてきたというか。まとまりがある流れになっているのかなって思います。

━━なるほど。<超える>という意味での『OVER』というタイトルだったのですね。ゲームオーバーという使われ方もするので、そういう意味が込められているのかな?とも、思いましたが。

音楽に限らず、モノづくりは、何かを終わらせて何かを始めるみたいなところはあると思う。今回は、これまで培ってきたものを全部捨てるという思いはないのですが、積み上げてきたものをもう一度考察して、そこをさらに<超える>音楽を作ろうという思いが込められていますね。

━━確かに、アルバム全体からは、日本の音楽という枠を超えて、グローバルな視野で音楽と向き合っている姿が伝わってきました。前作の制作方法と異なる部分もあったのでは?

基本的なことはあんまり変わらなくて。とにかく、今作りたいもの、自分が楽しいと思えるもの。また、現在のチームでやったら面白いんじゃないかっていう、 好奇心に忠実でいることを大切にしました。だから、これまでご一緒させていただいた方はもちろん、新たなトラック・メーカーさんなどにも依頼して、試行錯誤しながら制作しました。だから、自然にこれまでにないサウンドが表現できたのかなって思います。

━━また、収録曲はどれも、三浦さんの表現力豊かに歌う様子と、華麗にパフォーマンスしている姿が、同時に浮かぶものばかりですね。どちらを重点的に考えて、制作されましたか?

意識はあまりないのですが、踊りたいという思いが強くあったことは確か。それは、自分がダンスをするのはもちろんなのですが、自然に踊りたくなるというか。耳にして、自然に身体を動かしたくなるような楽曲が揃ったアルバムになったらいいなと考えていました。

━━確かに、心躍らせる内容になっていますよね。では、歌詞の部分では、どういう思いやメッセージを込めようと思いましたか?

まずトラックが先にあって、そこからから聞こえてくる言葉だったりメッセージは何かみたいなものをキャッチしながら、自分が思ってることを言葉にしていくという作業が多い。だから、今回もそれぞれの楽曲の中から聞こえてきた言葉みたいなものをキャッチして歌詞にしている感じですね。

大好きなアーティストとのコラボレーション楽曲も収録

━━では、今回のアルバム制作において、最もキーになった楽曲は何ですか?

今回のアルバムの根幹になった楽曲は「全開 feat. KREVA」なのかもしれません。どの曲も、自分の思いを表現していることに間違いはないのですが、これがアルバムの方向性を与えてくれたというか。いまを全開で生きていきたいから、それを出し惜しみなくアルバムに表現したいと思わせてくれたのが、この楽曲だったので。

━━KREVAさんとの共演が、そういう思いを導かせたのでしょうか?

そうですね。先輩として、大尊敬というか、大好きな存在であると同時に、お互いグループとソロの両方の経験を持っているので、道のりに共感できることが多いというか。自分が抱えている悩みをわかってくださる。だから、学ぶことがとても多くて。 今回も、楽曲をどう作ろうか悩んでた時期に、KREVAさんのライブを拝見したのですが、とても素晴らしいパフォーマンスで。いまできることを200%表現しているようなステージに圧倒されたというか。自分も出し惜しみなく、いまを表現しなくてはという気持ちになれた。それが結果的にアルバムの全体像に繋がってったところはあります。

━━また、コラボといえば本作にはシンガー・ソングライターのFurui Rihoさんを迎えた楽曲「Everything I Am feat. Furui Riho」も収録。

僕が、純粋にFuruiさんの音楽が大好きで、リリースする楽曲は全部チェックしているほど。今回、トラックメーカーさんが用意してくださった楽曲に、女性ボーカルがあうイメージがわいたので、これはFuruiさんにお願いするしかないと。ただ、面識がまったくないなかで、コンタクトをしたのですが、ご快諾いただき実現したものです。

━━初めて、とは思えない息のあったハーモニーでしたね。

スタジオに入って、コミュニケーション取りながら作っている時に、音楽に対する姿勢とか、モノづくりに対する情熱とか、 自分とリンクする部分がたくさんあって。初対面とは思えない雰囲気で、スムースにかつお互いリスペクトを持って制作できたのかなって。Furuiさんも楽しそうな様子でしたし。

━━これをきっかけに、次のコラボレーションが生まれていきそうな雰囲気がしました。

そうなるとありがたいですが、純粋にこの楽曲でFuruiさんの歌声に初めて触れる方がいるかもしれないから、いい音楽を知っていただくきっかけになったらうれしいですね。

━━また、先行配信トラック「Pixelated World」は、未来的なイメージのする楽曲。新しい三浦さんの姿を感じられる仕上がりですね。

これまで多くの楽曲を手がけてくださっているNao’ymtさんが、今の三浦大知がこれをやったら面白いのではないか?というものを提示してくださって、自分は歌い手というかストーリーテラーのような役割で、それをどう表現するか、ということを追求して完成させましたね。Nao’ymtさんは、今後の三浦大知の指針になるような、軸になるような作品をいつも作ってくださる。今回もデモを聴いた瞬間から、 決意を持って、自分で選んだ道を突き進んでいく強い意志を感じた。と同時に、アルバムの世界の扉が開く、鍵のような存在になるものになると思いました。

━━また「好きなだけ」という楽曲は、感情をあえて抑えめにしたボーカルが印象的でした。

この楽曲のデモを聴いた瞬間に、力を抜いて歌えたらいいなみたいな考えが浮かびました。それと同時に、どうして自分が音楽を作ってるのかとか、歌を歌ってるのかとか、パフォーマンスしてるのかを改めて考えさせられたのです。結果わかったことは、好きだから続けられているんだということ。だから、それを連呼する曲にしようと思って。サウンド的には面白い展開なのですが、隙間のあるボーカルや歌詞にしました。

━━そのほかの楽曲も、先に何が起こるかわからないスリリングな展開で、その音を三浦さん自身も楽しんでいるような雰囲気が伝わってきました。

今回は、いろんなチャレンジができた。また新たな、これまでの自分をオーバーした10曲が完成したという充実感がある。アルバムを通じて、三浦大知チームの今後に期待してもらえたら。

━━3月23日から、4年ぶりとなるアリーナ公演がスタート。こちらも楽しみになります。

アルバムのイメージ同様に、会場にいるみなさんと全員で身体を揺らして踊れるライブにはしたいなと。昨年末から開催しているホール・ツアーですでに披露しているものもあるのですが、今回の収録曲はすべてパフォーマンスしたいと思う。それらをどうステージ上で構成して、みなさんを踊らせるのか。楽しみにしていてください。

とっておきの 1 杯を楽しむ夜の自分時間

━━楽しみにしています。ところで、楽曲やステージ上では、完璧なエンターテイナーの姿を披露している、三浦さん。ふだんの暮らしにも、こだわりはありますか?

うちには子どもが3人いますので、なかなか自分のための時間を作るのは難しいですね。特に昼間は、おやつ時間に子どもと一緒にカフェラテでも飲もうと思って淹れるのですが、面倒を見なくてはいけなくなり、結局冷めてしまうことが多くて(苦笑)。それはそれで楽しいのですが、自由な時間は、子どもを寝かしつけた夜になります。最近だと、ハイボールやワインとか、もちろんカフェラテでもなんでも良いのですが、気に入ったものを、気に入った器で嗜むことが、生活のテンションを上げてくれますね。

━━じっくり珠玉の「1杯」を楽しむと?

20代の頃は、味とか関係なくとにかく「いっぱい」飲むこともありました(笑)。その後、飲まない期間を経て、最近になって家族でミネラルウォーターやウイスキーの工場見学などに行くうちに、ていねいに作ることで、お酒や食事がとても美味しくなることに気づいた。それをきっかけに、自分の時間があるタイミングには、1杯だけ飲みたいと思ったものを気に入ったグラスへていねいに注ぐとか、自分が食べたいと思ったものを好きな作家さんのお皿に並べて口にするといったことをするようになりましたね。すると、自然と満たされた気持ちになれるというか。そういう時間が、暮らしでとても大切だと感じるようになりましたね。

━━そうしたら、グラスやお皿もこだわりが?

お金をかけたらいい訳ではなくて、自分が好きだなって思うものが、自分のそばにあるって大切だと思います。それは、香りだったり、なんでもいいと思うんですけど。何かひとつ、好きなものに包まれる贅沢な時間が5分でもあったら、1日の自分としっかり向き合えるというか。頑張った自分へのご褒美になる。とても大切な時間なのではって思います。

━━きっと、三浦さんのアルバムも「ご褒美」効果を与えるものになると思います。

お家でゆっくり聴くという感じではないかもしれませんが、身体を心地よく揺らす時間を与える作品になるのではと思いますね。じっくり掘り下げて聴くと、それはそれで楽しい内容にもなっていると思うのですが、純粋に楽しんでいただける10曲がそろったと思います。しかも、全曲で30分程度の収録時間なので、気軽に耳にしていただけるのでは。何度もリピートしたくなる作品だと思います。

━━朝に聴いたら、元気がでる気がします。

いろんな楽曲が収録されているので、 その日の気分によって聴きたくなるものが異なるのかなって思います。でも、どの楽曲も、暮らしのなかでワクワクする出来事に出会えるきっかけを与えてくれそうなものばかりになったのでは。毎日が楽しいという感覚を、みなさんと共有できたら。

NEW ALBUM『OVER』

三浦大知/¥3,410(CDのみ)、¥5,500(CD+DVD、CD+Blu-ray)
SONIC GROOVE
now on sale

未来を感じさせるビートが印象的な「Pixelated World」などの先行配信曲や、「全開 feat. KREVA」といったゲスト・ミュージシャンとのセッションを響かせるナンバーも収録されたアルバム。世界の音楽のムードを柔軟に取り入れながらも、耳なじみの良いメロディ、そして三浦さんの圧倒的なボーカルが響く、聴きごたえのある作品に。

Profile

みうら・だいち/1987年沖縄県生まれ。05年にソロデビュー。その後、数々のヒット曲を生み出し、ライブでは圧倒的なパフォーマンスで魅了する。3月23日から4年ぶりとなるアリーナ公演「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2023 OVER」がスタート。
https://avex.jp/daichi/

[衣装クレジット]トップス¥35,200/タイオーノット(ヘムト PR)、ジャケット¥66,000、パンツ¥46,200/共にレインメーカー(レインメーカー) その他スタイリスト私物
ヘムト PR︎ 03-6721-0882
レインメーカー 075-708-2280

photograph:Miho Kakuta styling:Tomoya Murata hair & make-up:Takayuki Sato text:Takahisa Matsunaga

リンネル2024年4月号より
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