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子どもの不登校で仕事を辞める親は5人に1人…家計にも影響?【不登校離職】の実態

  • 2024.2.26
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子どもの不登校による「離職」は5人に1人

子どもの不登校がきっかけの離職【不登校離職】
子どもの不登校がきっかけの離職【不登校離職】

「NPO法人キーデザイン」(宇都宮市)が、「子どもの不登校が親の仕事や家計にどう影響を与えるのか」をテーマに調査を行いその結果を発表しました。

調査は、2024年2月16日~20日までの4日間、「NPO法人キーデザイン」子どもの不登校に悩む保護者向けのLINE相談窓口“お母さんのほけんしつ”内の3500人の利用者を対象に行われました。そのうち、376人から回答を得ました。

「子どもの不登校が保護者の仕事に影響しているか」という質問について、「退職した」が14.8%、「休職した」6%と、あわせると5人に1人が仕事から離れる決断をしていることがわかりました。

家計への影響だけでなく、保護者自身が社会とのつながりを失ってしまっている可能性があります。「特に変化はない」29.6%から、約7割の保護者の仕事に影響が出ていることがわかります。

仕事から離れる理由について、下記のようなコメントが寄せられました。

「小学生姉弟3人が不登校となり、さすがにそれぞれに付き添いや対応が働きながらは難しく、早退欠勤が増え辞めないと職場に理由を伝える辛さなどでどうにもならなくなってしまった。 収入が減るのは苦しいが、辞めて子供の側にいなくてはとも考えていたこともあり退職を選びました」

「気持ちに寄り添うため、パートをしている場合ではないと思いました。 毎日、送り迎えに時間がみえないから、働くのは無理でした。給食は食べられなくなっていたので、家で食べさせてまた、学校に送ったりもしていました。 私がやるしかないと、思っていました」

「行き渋りが始まってから、遅刻や欠勤が増えました。ある程度融通の効く仕事だったこと、また上司の理解もあったため、1年ほどはその状態で仕事を続けました。完全に不登校になってからは、さらに遅刻、欠勤が増えました。思うように仕事を進められず、職場に申し訳ない気持ちと、小学生の子どもを家に1人置いていく罪悪感を持ちながら過ごしていました。経済的なこと、職場環境や条件が良かったことを考えると辞めたくはありませんでしたが、これ以上子どもを1人にしてまで仕事を続けることはできないと思い、子どもと過ごすことを優先して、退職しました」

子どもの状況を考えると仕事を続けたくても辞めざるを得ないため、苦渋の決断をしている保護者が多いことがうかがえます。

不登校による離職…家計へのダメージも

子どもの不登校について夫婦間で満足に相談できているか?
子どもの不登校について夫婦間で満足に相談できているか?

家計への影響について質問すると、「収入が減った」37.8%、「収入がゼロ・ほぼゼロになった」1.9%と回答が出ました。そのうち月8万1円以上の減収となったのは35.8%で、家計へのダメージがとても大きいことがわかりました。

夫婦間での連携がとれているかの調査のため、「夫婦間での相談ができているか」という質問をしたところ、「満足に相談できている」と回答したのは22.6%でした。「話はするが、満足のいく相談はできていない」45.5%、「ほとんど・全く話はできていない」8.5%、「意見の食い違いが大きいため、最近は相談をしていない」10.9%と回答が出ました。

さらに、「シングルマザー・ファザーである」は12.5%と決して小さくない結果が得られ、片親で仕事と家庭のことを毎日こなしながら、不登校の子どもを支えることは相当な苦労があると推測できます。

学校や教育委員会への評価は依然低い

学校・教育委員会の対応についての5段階評価
学校・教育委員会の対応についての5段階評価

不登校に対する学校や教育委員会の対応について満足度を聞くと、5段階評価で平均2.34と集計が出ました。(1:大変不満足 → 5:大変満足)

低評価の理由として、以下のような回答が寄せられました。

「担任の怒鳴り声が怖くなり行けなくなったが、当の担任から連絡がほとんどなかった」

「毎朝の欠席、遅刻連絡が本当に辛かった。 ちゃんと朝起きて朝食はとっているのか、夜は早く寝ているか、その都度教頭先生に聞かれた。 夕方担任からの翌日の授業連絡の電話がすごく負担だった。 電話がきそうな時間に外出できなかったり待つ時間がすごく長く感じた。 なんとかして学校に来るようにプレッシャーがすごかった。 本人を電話に出させようとしたり、しばらく断り続けると自宅に姿を見に来たり、それがきっかけで私との関係も悪くなった」

「小学校で理解が得られず、転校しました。学校の教頭先生から『学校は来るべき場所、ストレスのかかる場所、我慢すべき場所』『不登校は親が子どもを甘やかした結果』。スクールソーシャルワーカーさんから『精神科を受診してください』と言われました。 不登校が理解されていない学校でした。こちらから働きかけても全くわかってもらえなかったし、変人扱いみたいなことをされて苦しかったです」

「仕事から疲れて帰って、家事で忙しい時間に自宅に来られるのは嫌だった。クラスの子が手書きで書いたその日の学習予定やメッセージが書かれたプリントを毎日もらうのはプレッシャーだった。オンラインがあると良かった」

「学校に来てもらえなければ何もできない、教育相談に行ってくれ、と言われたが行ったところで何も変わらず、学校と教育相談とも繋がっているのかよくわからないような対応をされ、結局個人で調べて動かなくてはいけないと感じている。オンラインの授業参加もしてもらえないし、何も変わらない。ただ、授業時間外に毎日対応してくださる先生には感謝している」

「先生方やカウンセラーの方々はとてもお話を良く聞いて下さり、気にかけていただいて、それは良かったのですが、どうしても目標が復学であるように感じ、子供達にはプレッシャーだったようです。学校に行きたいのか、行きたくないのか、もう少し汲み取って、行きたく無い子に対してどうすれば幸せに過ごせるか、アドバイスいただけたら良かったなと思います」

高評価だった声ももちろんありました。

「学校の担任の先生によって対応が違ったので、どうしたらよいか悩むことはありました。 学校へ登校することだけを目標とせずに、当人のスモールステップを応援してもらえたことはありがたく感じました。メールで連絡をやりとりできるようになったのはよかった」

「学校以外に相談できる教育支援センターを紹介してくれたことがよかった。 教育支援センターでは子供のために何ができるかを一緒に考えてくれ話を聞いてくれたことがよかった。 教育支援センターは中学3年までの支援となるので、その後の支援先を早々紹介してくれて感謝している」

回答から、学校の都合優先(学校復帰が前提など)で親子の気持ちや状況に配慮のない対応を受けたことに対する不満が多く見られました。

しかし、学校側も、精神面を理由に休職する教員が過去最多になるなど余裕がない現場も多く、不登校の子どもや保護者への対応に手が回らない現状があるかもしれません。

今回調査にあたったNPO法人キーデザインが運営する「お母さんのほけんしつ」は、全国の子どもの不登校に悩む保護者向けに無料LINE相談窓口です。

「NPO法人キーデザイン」は、「教育機会確保法が2017年に施行され、不登校は問題行動ではないことが言われるようになりましたが、学校にも家庭にも周知が満足にされておらず、学校復帰を前提に子どもに関わるようになるため、子どもはますます社会から孤立する現状があります。

全国的には『親の会』のような当事者同士の支え合いの取り組みが普及しつつあるが、より加速度的に支援が増えていくことが必要です。行政からの助成等も今後増えていくことで、孤立している親子が外とつながるきっかけを増やしていくことができるはず」とし、クラウドファンディングを活用した資金調達などを行っています。

(LASISA編集部)

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