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セブン・セカンド・サミット登頂で世界記録を樹立した40代7児の母に学ぶ3つの教訓

  • 2024.2.26
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7児の母(!)で著書『BreakProof』を執筆したジェン・ドラモンド氏は、致命的な交通事故から奇跡の生還を遂げたのち、自分のため、そして家族のために、もっと大きなスケールで壮大に生きることを決意した。

あれは2018年、車でユタ州パークシティの自宅に帰る途中の出来事だった。目の前の車がスピードを落としたので追い越し車線に移ろうとしたけれど、間に合わなかった。彼女の車はひっくり返ってコロコロ転がり、中央分離帯で逆さまになって止まった。

ジェンはフロントガラスから救出されて病院へ搬送されたけれど、その場で帰宅を許可された。なんと彼女は無事だった。数週間後、警察から電話があって「今回の事故をいろいろな方法で再現してみましたが、あなたが入院しないどころか生き残るなんていうシナリオは、どう考えてもあり得ない」と言われた。

こういう経験をすると、急にすべてが奇跡のように思えてくる。ジェンをひどくイライラさせていた小さなこと(例えば子どもたちのケンカや口論)も、美しいと思えば美しい。

その事故の3週間後、友人がトレイルランニングの最中に滑って転び、頭を打って帰らぬ人となった。そして、この2つのケースに向き合う中で彼女は気付いた。いつ死ぬかは選べない。でも、どう生きるかは間違いなく自分の意思で決められる。

それまでのジェンは、母親である以上、いつも家にいなければならないと思っていた。でも、私たちは物事を並行して行うべきで、そのほうがいい親子関係が築けるのではなかろうか。

そう感じた彼女は、自分が本当にしたいことを少しずつ探し始めた。自分が好きな食べもの(子どもたちの残りものではなく)を思い出すために、自分1人で外食したこともある。そしてもう一度生きられるなら、他の人を幸せにするよりも何か壮大なことがしたいと思った。

そこからは早かった。死ぬ前にしたいことのリスト(セーリングをする、ピラミッドを見る、インドでインド料理を食べるなど)を作り、2度目の人生の指針となる3つの原則(自分の人生を存分に味わうこと、困難に立ち向かうこと、人にインスピレーションを与えること)も定めた。

そして2020年、40歳の誕生日を迎えたジェンはネパールでアマ・ダブラムという山に登る決意をし、コーチを雇ってトレーニングを開始した。ある晩、息子が算数の宿題についてブツブツ文句を言っていたので「困難に立ち向かうのが人生よ」と励ますつもりで言ったところ、「それが本当なら、どうしてママはエベレストみたいな本物の山じゃなくて、“私はバカな金髪娘”なんていう変な名前の山に登るの?」と聞いてきた(子どもの耳には、アマ・ダブラムがI’m a dumb blondeーアイム・ア・ダム・ブロンドに聞こえたらしい)。彼女は彼の誤解を解いて彼が眠りについてから、こう思ったー「エベレストが世界一難易度の高い山なら、私たちのエベレストが何であろうと絶対に登れることを彼に証明してみせる」と。

ところが彼女のコーチは、それ以上に大きな挑戦を提案してきた。それはセブン・セカンド・サミットに登頂した史上初の女性になること。セブン・セカンド・サミットは7つの各大陸で2番目に高い山の総称(急勾配で訪問者が少なくアクセスしづらい場所にあるため、一番高い山よりも登るのが難しいと言われている)。こうして彼女の挑戦は始まった。ときとして私たちの目標は進化する。そして、その目標を達成する方法がまったく分からないときもある。それでもやってみればいい。2023年6月、彼女はセブン・セカンド・サミットの登頂に成功し、世界記録を樹立した。

自分の生き方を見直して本格的な登山を始めてから学んだことは数知れず。その中でもとくに重要と言えるのは次の3つ。

過程を楽しむ

目的地にとらわれすぎてはいけない。ジェンはエベレストの山頂に10分間立つために1,232時間のトレーニングをしたけれど、その目標を追い求める過程と、その過程における自分の成長を楽しんでいなければ、登頂しても意味を感じなかったと言う。

失敗の手本を見せる

彼女には登れなかった山が2つある。さまざまな理由から、2回ずつ登らなければならなかった山も2つある。失敗談は誰もしたがらないけれど、ジェンの子どもたちは全部見ている。しかも、失敗から立ち直る方法を彼らに教えられるのは母親だけ。失敗する余地を自分自身に与えるのは間違ったことじゃない。不完全を受け入れるのも、あるがままを受け入れるのも間違ったことじゃない。それはプロセスの大事な一部。

自分を褒める

山では世界を見ながら歯を磨く。そこには鏡もなにもない。ただ世界と、その美しさに目を見張る。それが家に帰った途端、「早く眉毛を抜かなきゃヤバイ、根元を染めなきゃカッコ悪い」と自分をけなすようになる。けれど厳しい世の中で、自分まで自分に厳しく当たるわけにはいかない。だからジェンは歯磨きをする2分間だけは、自分で自分を褒めるようにしている。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: As told to Abigail Cuffey Translation: Ai Igamoto

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