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古生物学者・平沢達矢の大切な古着の話。〈リーバイス®〉501XX

  • 2024.2.26
70年代の〈ラッセル〉のTシャツ、〈リーバイス®〉501XX

生物学の転換期に作られたジーンズが現存する喜び

実は、私がヴィンテージジーンズに目覚めた時期と、古生物学者を志した時期が同じなんです。小学6年生の時に映画『ジュラシック・パーク』が公開されて、古生物学者という職業があることを知ってしまいました。

その1年後、世間はヴィンテージブームの中、私は初めて〈リーバイス®〉501を買いました。それは新品でしたが、以来ジーンズに熱中して20歳の時に購入したのが、この50年代初期の501XX。約20年かけ、ここまで育てました。一本だけ残せと言われたらこれを選びますね。

このXXが作られた時代は、生物学では1953年にDNAの二重螺旋構造が解明された重要な時期です。そんな生物研究の大いなる転換期に作られたジーンズが、今ここに存在することが私にはとても魅力的に感じるんです。あと、年代ごとに異なるディテールや個体差など資料としての価値もあって、研究者にはたまらない面白さがあるんですよ。

ちなみに、化石の発掘作業時にもレプリカデニムを穿いていて、古き良き古生物学者の姿を体現しています。本当はヴィンテージがいいのですが、ジーンズの稀少価値を考えると、勇気が出ませんね……。

70年代の〈ラッセル〉のTシャツ、〈リーバイス®〉501XX
右は平沢さんの一番のお気に入りの〈リーバイス®〉501XX。左は文字が気に入っている70年代の〈ラッセル〉のTシャツ。和訳すると、“マッドな博士”(MD PhDのパロディ)。東大にある平沢さんの研究室にて撮影。

profile

東京大学准教授、古生物学者・平沢達矢

平沢達矢(東京大学准教授、古生物学者)

ひらさわ・たつや/1981年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻准教授。2020年から東京大学で古生物学と進化発生学を融合させた研究室を主宰。

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